停電で本当に必要なものは、「灯り・情報・水・熱源・電源」を4つの連鎖ごとに1点ずつ押さえた装備です。買い物リストを増やすことより、停電が引き起こす「断水」「通信断」「医療機器停止」「復旧時の火災」という連鎖を、それぞれどこで止めるかを決めるほうが先に効きます。
この記事では、上位記事が並べる一般的なリストは短く済ませ、次の3点に紙面を使います。
- 住まい(戸建/マンション高層階/オール電化)と季節(夏/冬)、同居家族で変わる必要量を数式と実数で確定する
- 停電=断水になるマンション特有の問題を、水道局の一次情報から具体化する
- ほとんどの記事が触れない「停電<後>」(通電火災・発電機のCO中毒・冷蔵庫の廃棄基準)を手順化する
停電対策の失敗は「買っていない」より「量が足りない」「置き場所が悪い」「復旧時の行動を知らない」で起きます。まずは自宅の条件で必要量を出すところから始めてください。
停電で必要なものは結局どれ?まず揃える7点と優先順位
停電でまず必要なものは照明・情報・電源・水・熱源・トイレ・現金の7カテゴリです。1日で使い切る消耗品から先に確保すると、費用対効果が最も高くなります。
上位記事が共通して挙げる基本装備は、すでにご存じの内容も多いはずです。ここは簡潔に確認だけしておきます。
| 優先 | カテゴリ | 具体的な中身 | 目安 |
|---|---|---|---|
| 1 | 照明 | LEDランタン・懐中電灯・ヘッドライト | 1部屋1灯+移動用にヘッドライト |
| 2 | 情報 | 電池式/手回しラジオ、停電情報アプリ | ラジオ1台+スマホ節電設定 |
| 3 | 電源 | モバイルバッテリー、乾電池、ポータブル電源 | 後述の式で容量を算出 |
| 4 | 水 | 飲料水+生活用水(別枠で確保) | 飲料3L×人数×日数 |
| 5 | 熱源 | カセットこんろ+ボンベ | 季節で本数が変わる(後述) |
| 6 | 衛生 | 携帯トイレ、ウェットティッシュ、常備薬 | 5回×人数×日数 |
| 7 | 現金 | 小銭を含む現金 | 停電中はキャッシュレス決済が使えない前提 |
備蓄日数の目安は、内閣府・中央防災会議の南海トラフ巨大地震に関する最終報告(2013年5月)を踏まえ、最低3日分、可能なら1週間分以上とされています。
実際の停電はどれくらい続くのか
復旧までの日数は災害の種類で大きく変わり、数日単位を見込むのが現実的です。
内閣府の令和2年版防災白書(2020年)によると、令和元年房総半島台風(台風15号)では送電鉄塔や電柱の倒壊により最大約93万4,900戸が停電し、千葉県内では復旧が長期化して通信障害や断水が連鎖しました。
一方、2026年7月に発生した令和8年熊本地震(最大震度7・M7.1)では、熊本県内で最大約4万8,530戸が停電し、九州電力送配電は7月31日16時44分に被災地への電力供給復旧を発表、8月1日に復旧率100%となりました(西日本新聞・日本経済新聞の報道による)。震度7クラスでも都市部の全面復旧に約3〜4日かかった実測値です。
「3日分」は都市部での短期停電を想定した最低ラインです。倒木や道路寸断が起きやすい郊外・山間部、離島では復旧がさらに延びる可能性があるため、地域差を前提に日数を上乗せしてください。
7カテゴリを1点ずつ揃えたら、次は「わが家では何個必要か」を数字にします。ここから先が、他の記事にはない部分です。
わが家の停電必要量はどう計算する?自動算出フォーミュラ

必要量は人数N・日数D・季節(夏25℃/冬10℃)の3変数で確定します。以下の6つの式に自分の数字を入れれば、買う個数がそのまま出ます。
6項目の計算式
入力するのは3つだけです。N=人数、D=想定日数(3日または7日)、季節(夏/冬)。
- 飲料水=3L × N × D
- 生活用水=20Lポリタンク × ⌈N × D ÷ 10⌉(トイレ・手洗い用。マンションは必須)
- カセットボンベ=⌈0.45(夏)または0.65(冬)× N × D⌉本
- 携帯トイレ=5回 × N × D
- モバイルバッテリー容量=3,000mAh(スマホ1台分)× N × D × 1.2(変換ロス)
- 乾電池=(懐中電灯2本 × 部屋数 + ラジオ3本)× 2セット
カセットボンベの係数は、岩谷産業「ご存じですか?カセットボンベの備蓄目安」(2024年)の実測値をもとにしています。同社は2人1週間想定で、食事用が25℃で1日0.6本・10℃で1日0.7本、カップ麺用が25℃0.2本・10℃0.4本、飲料用が25℃0.1本・10℃0.2本と示しています。合計すると夏は約0.9本/日、冬は約1.3本/日(2人あたり)で、1人あたりに直すと夏0.45本・冬0.65本になります。
4パターンの実数値
式に代入した結果が次の表です。自分に近い列をそのまま買い物リストにできます。
| 品目 | 計算式 | 一人暮らし(1人3日) | 夫婦(2人7日) | 4人家族(4人7日) | 高齢親宅(2人7日・冬) |
|---|---|---|---|---|---|
| 飲料水 | 3L×N×D | 9L | 42L | 84L | 42L |
| 生活用水 | 20L×⌈N×D/10⌉ | 20L(1個) | 40L(2個) | 60L(3個) | 40L(2個) |
| カセットボンベ | 夏0.45/冬0.65×N×D | 夏2本/冬3本 | 夏7本/冬10本 | 夏13本/冬19本 | 10本 |
| 携帯トイレ | 5×N×D | 15回分 | 70回分 | 140回分 | 70回分 |
| モバイルバッテリー | 3,000mAh×N×D×1.2 | 10,800mAh | 50,400mAh | 100,800mAh | 50,400mAh |
| 乾電池(単3等) | (2×部屋数+3)×2 | 約14本(1K想定) | 約22本(4部屋) | 約26本(5部屋) | 約22本(4部屋) |
同じ7日分でも、4人家族のカセットボンベは夏13本に対し冬19本と約1.4倍になります。季節を「追加アイテム」ではなく「必要量の係数」として扱うのが、この算出の要点です。
モバイルバッテリーは容量を「台数」に置き換えて考えます。3人3日なら32,400mAhとなり、20,000mAh級を2台持つ計算です。ただし公称容量の全量は使えないため、余裕を見て切り上げてください。
生活用水を飲料水と同じ枠で数えないでください。トイレ1回の洗浄には数リットル必要で、飲料用の備蓄はすぐに底をつきます。マンションでは特に、次の章の理由で生活用水の確保が生死を分ける負担差になります。
必要量は「人数×日数×季節係数」で決まります。数式に自分の数字を入れて、冷蔵庫や玄関に貼っておくと家族で共有できます。
なぜ停電すると断水するのか?マンション高層階に必要なもの
マンションやビルでは水道本管が無事でも停電で蛇口が止まります。給水ポンプが電気で動くためで、これは「停電 断水 必要なもの」を考えるうえで最も見落とされている連鎖です。
大阪市水道局「停電によるビル・マンション等の断水に備えましょう」(2024年)によると、受水槽方式の建物は高置水槽に残った水が尽きた時点で、直結増圧方式の建物は増圧ポンプが止まった時点で断水します。同局は、停電時にはエレベーターも停止するため、高層階への水の運搬が大きな負担になると指摘しています。
停電によりポンプが停止すると、水道が使用できなくなる場合があります。(大阪市水道局「停電によるビル・マンション等の断水に備えましょう」2024年)
3階以上で追加すべき4点
階段昇降を前提にすると、必要なものが変わります。
- 生活用水20L以上(ポリタンク+浴槽への貯め置き):トイレ洗浄用。給水車が来ても、水を部屋まで運ぶのは自力です
- 携帯トイレ:水が運べない前提で、流さずに処理できる手段を確保します
- 階段用ヘッドライト:手すりを持ち、荷物も持つため、両手が空く照明が必須です
- 食料の「上げ置き」:エレベーター停止を前提に、重い水・食料を平時から自宅内に置いておきます
20Lのポリタンクは満水で約20kgです。これを階段で6階まで運ぶ現実を想像すると、買い出しより「先に上げておく」ほうが確実だと分かります。
戸建てで追加すべきもの
戸建ての追加課題は断水より「火災」です。
内閣府 防災情報のページ「感震ブレーカーの普及促進」によると、感震ブレーカーは地震時に自動で電気を遮断し、不在時や避難を急ぐ場面での電気火災を防ぐ手段として国が普及を促進しています。ただし普及率は内閣府「防災に関する世論調査」(2022年9月)で5.2%(参考値)にとどまります。
数千円のコンセント型から設置でき、後述の通電火災対策として直接効きます。
マンション3階以上=生活用水と携帯トイレ、戸建て=感震ブレーカー。住まいの構造が違えば、優先して足すものも変わります。
あなたの家に足りないのはどれ?4問の分岐チャート
住まい・熱源・家族・季節の4問に答えるだけで、標準リストへの「追加分」が確定します。順番に読み進めてください。
Q1 住まいはどちらですか
- マンション3階以上 → 生活用水20L以上/携帯トイレ/階段用ヘッドライト/食料の上げ置き(受水槽・増圧ポンプ停止で断水するため)
- 戸建て → 感震ブレーカー(普及率5.2%・通電火災対策)
Q2 調理の熱源は何ですか
- オール電化・IH → カセットこんろは「代替」ではなく生命線です。1台では調理と湯沸かしが競合するため2台想定にし、ボンベも上の式どおり確保します
- 都市ガス・プロパン → 加熱手段は残る可能性が高いため、電源の使い道を情報収集と照明に振り分けます
Q3 同居・近居の家族は
- 乳幼児がいる → 液体ミルク(常温で授乳可能)+使い捨て哺乳ボトル。お湯が作れない前提の備えです
- 高齢の親と別居 → 停電情報アプリに実家の地域を登録します。東京電力パワーグリッドのTEPCO速報アプリは最大8カ所を登録でき、自宅・実家・勤務先を同時に監視できます(各エリアの停電情報は送配電網協議会のページから確認できます)。あわせて、充電済みの携帯電話を親に持たせておくと、停電で固定電話が使えない場合の代替になります
- 在宅医療機器がある → 次章で詳述します
Q4 季節はどちらを想定しますか
- 夏 → 電池式扇風機、冷却シート、経口補水液。停電下の熱中症は実際に死者を出しています
- 冬 → 石油ストーブまたはカセットガスストーブ、寝袋、湯たんぽ。ボンベは夏の約1.4倍
「停電 必要なもの 夏」で最も重要なのは扇風機より体を冷やす手段と水分です。エアコンが使えない室内は屋外より高温になることがあります。「停電 必要なもの 冬」では、電気を使わない暖房と、就寝時の保温(寝袋・湯たんぽ)が優先されます。
石油ストーブやカセットガスストーブを使う場合は、必ず定期的な換気を行ってください。締め切った室内での使用は一酸化炭素中毒の危険があります。
標準リスト+4問の追加分が、あなたの家の完成形です。全部を買うのではなく、該当する分岐だけ足してください。
高齢の親・在宅医療機器がある家庭で必要なものは?
在宅医療機器がある家庭では、外部バッテリーの複数台確保と電力会社への事前登録が最優先です。機器の停止は数分単位で影響が出るため、一般的な防災リストとは別枠で準備します。
福岡県「在宅で人工呼吸器を御使用の方及びその御家族等の方へ(停電への備え)」(2024年)は、外部バッテリーを複数台、常時満充電で確保し、購入年月日を記録して寿命前に交換することを求めています。また、酸素濃縮器の多くはバッテリーを内蔵しておらず停電で供給が止まるため、酸素ボンベの備蓄が前提になるとしています。
準備すべき5点
- 外部バッテリー複数台:1台では復旧までもちません。常時満充電を維持します
- 購入日ラベルでの寿命管理:本体に購入年月日を書いたラベルを貼り、劣化前に交換します
- 酸素ボンベの備蓄:濃縮器が止まる前提で本数を確保します
- 電力会社への事前登録:多くの電力会社が在宅医療機器使用者の登録制度を設けています。契約中の送配電事業者に確認してください
- 24時間連絡先のメモ:主治医・訪問看護・機器メーカーの連絡先を、紙で機器のそばに貼ります
電動ベッドやエアマットも停電で停止します。エアマットは体位変換ができなくなるため、手動での対応方法を事前に確認しておくと安心です。
離れて暮らす親の停電に気づく方法
本人からの連絡を待たず、アプリの地域登録で先に気づく仕組みを作ります。
高齢の親は「停電したくらいで電話するのは悪い」と考えて連絡してこないことがあります。TEPCO速報アプリのように地域を複数登録できる停電情報アプリに実家を入れておけば、プッシュ通知で先に把握できます。エリアが異なる場合は、送配電網協議会のページから各エリアの停電情報を確認してください。
在宅医療機器の停電対応は、機器の種類・設定・持病によって必要な備えが異なります。ここに書いた内容は一般的な考え方です。具体的な準備は必ず主治医・訪問看護師・機器メーカーに個別にご相談ください。
医療機器のある家庭では「電源の二重化」と「連絡先の紙での保管」が要です。年1回、バッテリーの充電状態と連絡先を見直してください。
停電<後>の90分に何をすべき?チェックリスト
停電対応の分かれ目は復旧直後にあります。通電火災と一酸化炭素中毒は、備蓄では防げず「行動」でしか防げないためです。
消費者庁・経済産業省・NITEの合同注意喚起(2023年8月29日)は、停電時の携帯発電機の排ガスには一酸化炭素が含まれ、屋内・車内・テント内での使用が死亡事故につながると警告しています。あわせて、停電復旧後は水濡れした家電や電熱器具の通電による火災(通電火災)が起きるため、避難時はブレーカーを落とし、復旧後は1台ずつ通電して異音・異臭を確認するよう求めています。
発生直後(0〜10分)
- ブレーカーを落とす(特に避難する場合は必ず)
- 電熱器具・ドライヤー・電気こんろのプラグを抜く
- 冷蔵庫の扉に「開けない」と付箋を貼る(後述の4時間ルール)
- 停電情報アプリで、地域の停電か自宅のブレーカー落ちかを切り分ける
10〜60分
- 発電機を使う場合は必ず屋外、かつ窓や換気口から離して運転する
- ポータブル電源とモバイルバッテリーを、高温になる場所から移動させる
- 実家・家族へ安否連絡を入れる(通信は長くもたない前提で早めに)
- スマホを節電モードにし、画面の明るさを下げる
総務省総合通信基盤局 移動通信課の資料(令和7年6月)によると、携帯電話基地局は災害時の停電に備えて予備電源の長時間化(24時間以上、災害拠点病院等をカバーする中ゾーン基地局は72時間目標)が進められています。裏を返せば、一般エリアの基地局は長時間停電で通信が途絶しうるということです。連絡は早い段階で済ませてください。
復旧時
- 水濡れした家電は、通電前に外観を点検する
- プラグは1台ずつ差し、異音・異臭・発熱がないか確認する
- 冷蔵・冷凍食品を判断する(次章の時間基準を参照)
後日
- 使ったボンベ・電池をすぐ補充する
- 製造から6〜7年を超えたカセットボンベ・こんろを交換する
- 劣化したモバイルバッテリーを正規の回収窓口へ出す
「ブレーカーを落としてから避難する」「復旧後は1台ずつ通電する」。この2つだけでも覚えて帰ってください。感震ブレーカーがあれば、1つ目は自動化できます。
停電時の冷蔵庫、捨てる基準はどこ?
判断基準は時間です。米国CDCの日本語版インフォグラフィック(2021年)によると、扉を閉めたままなら冷蔵室は約4時間、冷凍室は満杯で約48時間・半量で約24時間まで安全な温度を保てるとされています。
これを超えた要冷蔵食品は廃棄が推奨されます。見た目やにおいで判断せず、時間で切るのが安全側です。
| 保存場所 | 安全に保てる目安 | 前提条件 |
|---|---|---|
| 冷蔵室 | 約4時間 | 扉を開けない |
| 冷凍室(満杯) | 約48時間 | 扉を開けない |
| 冷凍室(半量) | 約24時間 | 扉を開けない |
ポイントは「扉を開けない」が条件になっている点です。中身を確認するために何度も開けると、この時間は短くなります。停電したら真っ先に扉へ付箋を貼るのは、そのためです。
冷凍室は満杯のほうが長持ちします。平時から冷凍庫に隙間があるなら、保冷剤やペットボトルの水を凍らせて入れておくと、そのまま停電対策になります。
上記はCDC(米国疾病対策センター)が示す目安です。乳幼児・高齢者・妊娠中の方・持病のある方が口にするものは、より慎重に判断してください。少しでも不安があれば廃棄をおすすめします。
備えた道具が事故になる?モバイルバッテリーの保管と廃棄
防災用に買った電池製品は保管環境しだいで発火リスクになります。事故は気温が上がる時期に増え、8月にピークを迎えるとされています。
NITE(製品評価技術基盤機構)が2026年7月15日に公表したプレスリリースによると、2021〜2025年度の5年間にNITEへ通知されたリチウムイオン電池搭載製品の事故は2,140件で、製品別ではモバイルバッテリーが最多でした。事故は気温上昇とともに増え8月にピークとなるため、高温になる場所での使用・保管を避ける必要があるとしています。
さらにNITEは2026年6月4日公表の「2025年度事故情報収集報告書」で、モバイルバッテリー等の『充電器』が製品群別の事故発生件数トップになったと発表しています。2021年度には圏外だったものが年々増加して最多に転じたとのことです。
防災備蓄でやりがちな3つのNG保管
- 車のダッシュボードやトランクに常備する:夏の車内は高温になり、リスクが高い保管場所です
- 南向きの押し入れ・ベランダ収納に数年放置:買ったまま点検しない備蓄は、劣化に気づけません
- 膨らんだバッテリーをそのまま保管し続ける:外装が膨らんでいるものは使用を中止してください
NITEは2026年7月15日、『夏バテ(夏のバッテリー)』注意喚起として、リチウムイオン電池搭載製品の事故防止に「賢く選ぶ/丁寧に使う/正しく捨てる(3つのC)」を示しています。防災用に買った電池製品の保管環境と廃棄ルートが、新しい論点になっているということです。
古いモバイルバッテリーの手放し方
2026年4月1日に改正資源有効利用促進法が全面施行され、モバイルバッテリー・スマートフォン・加熱式たばこが「指定再資源化製品」に指定されました(経済産業省 資源循環経済課)。メーカー・販売事業者に回収と再資源化が義務づけられ、古いモバイルバッテリーを安全に手放す道筋ができています。回収スキーム構築のため2026年4月以降に順次案内される予定とされているため、最新の窓口は購入元メーカーや自治体のページで確認してください。
なお、モバイルバッテリーのPSE技術基準は2024年12月に新基準へ完全移行済みで、旧基準の認証品は販売できません。防災備蓄として数年前に買ったモバイルバッテリーは、基準前の世代である可能性があります。
年2回(春・秋の防災点検時)に、備蓄しているバッテリーを充電し、外観の膨らみを確認してください。「買って置いておく」だけの備蓄が、最もリスクの高い状態です。
専門家・公的情報はどう見ているのか
公的機関の見解は「1週間分の備蓄」「屋内での発電機使用の禁止」「復旧時の慎重な通電」の3点に集約されます。いずれも複数機関が繰り返し発信している内容です。
| 発信元 | 年 | 要点 |
|---|---|---|
| 内閣府 中央防災会議 最終報告 | 2013年5月 | 家庭備蓄は最低3日、南海トラフ想定では1週間分以上 |
| 内閣府 令和2年版 防災白書 | 2020年 | 令和元年房総半島台風で最大約93万4,900戸が停電、断水・通信障害が連鎖 |
| 消費者庁・経産省・NITE 合同注意喚起 | 2023年8月29日 | 発電機の屋内使用はCO中毒で死亡事故に。復旧後は1台ずつ通電確認 |
| NITE プレスリリース | 2026年7月15日 | リチウムイオン電池搭載製品の事故2,140件(5年間)、8月がピーク |
| 大阪市水道局 | 2024年 | 受水槽・増圧ポンプ停止で建物が断水、高層階は運搬が負担 |
| 岩谷産業 | 2024年 | カセットボンベ消費量は気温で変化(25℃と10℃で差) |
| 日本ガス石油機器工業会(JGKA) | 2025年 | カセットこんろ・ボンベは製造から6〜7年で交換推奨 |
NITEは「携帯発電機 室内で使用して一酸化炭素中毒」(2021年)の注意喚起で、携帯発電機を室内で運転させると短時間で一酸化炭素濃度が致死レベルに達すると示しています。「窓を開けているから大丈夫」は通用しないと考えてください。
ここに挙げた数値は各機関の発表時点のものです。制度や基準は更新されるため、実際に準備・判断する際は各機関の最新ページをご確認ください。
停電時にやってはいけないNG対応
避けるべき行動は命に直結するものが中心です。物を買う前に、この6つを家族で共有してください。
- 発電機を屋内・ガレージ・車内・テント内で使う:一酸化炭素中毒の死亡事故につながります。必ず屋外で、開口部から離して使用してください
- 避難時にブレーカーを落とさない:復旧時の通電火災の主要因です
- 復旧後にすべてのプラグを一斉に差す:異常のある機器を見逃します。1台ずつ確認してください
- 停電中に冷蔵庫を何度も開ける:4時間ルールの前提が崩れ、食品が早く傷みます
- モバイルバッテリーを高温の車内・直射日光下に保管する:事故が8月にピークとなる理由の一つです
- ろうそくで長時間の照明をまかなう:転倒や引火のリスクがあります。LEDランタンやヘッドライトを使ってください
加えて、備蓄品の期限切れ放置も避けたいところです。日本ガス石油機器工業会(JGKA)の経年劣化キャンペーン(2025年)によると、カセットこんろ・カセットボンベは経年劣化するため、メーカーは製造から6〜7年での交換を推奨しています。買ったきり点検していない備蓄箱があれば、この記事を読んだ今日、確認してみてください。
台風接近時の「浴槽に水を貯める」は生活用水として有効ですが、小さなお子さんがいる家庭では溺水事故の危険があります。ふたを閉める、浴室に鍵をかけるなどの対策を必ず併用してください。
「発電機は屋外」「避難時はブレーカーを落とす」「復旧後は1台ずつ」。この3つが、停電対応で最も重要な行動ルールです。
まとめ:今日できる3ステップ
停電の備えは、必要量を数字にして、住まいの条件で追加し、復旧時の行動を家族で共有するという順番で進めるのが確実です。
- 今日:この記事の計算式に自分の人数と日数を入れ、不足分をメモする。停電情報アプリを入れ、自宅と実家の地域を登録する
- 今週:不足分を購入する。特にオール電化ならカセットこんろ2台、マンション3階以上なら生活用水と携帯トイレを優先する
- 今月:備蓄箱を開け、ボンベの製造年(6〜7年基準)とモバイルバッテリーの外観を点検する。高温になる場所から移す
災害の規模や地域の事情、住まいの構造、家族の健康状態によって必要な備えは変わります。在宅医療機器の停電対応や持病のある方の備えについては、必ず主治医・訪問看護師・機器メーカー、およびお住まいの自治体の防災担当窓口にご相談ください。
完璧な備蓄を一度に揃える必要はありません。「量が足りない」「置き場所が悪い」「復旧時の行動を知らない」の3つを潰すだけで、実際の停電での困りごとは大きく減らせます。
よくある質問
Q. 停電で必要なものは、夏と冬で何が違いますか?
必要量そのものが変わります。カセットボンベは、岩谷産業(2024年)の実測値をもとにすると1人1日あたり夏約0.45本・冬約0.65本で、同じ7日分でも冬は約1.4倍必要です。加えて夏は経口補水液・電池式扇風機・冷却シート、冬は電気を使わない暖房・寝袋・湯たんぽが追加になります。令和元年房総半島台風では、千葉県内で約64万1千軒が停電し、熱中症とその疑い4人を含む12人が災害関連死に認定されました(千葉県防災危機管理部発表・朝日新聞報道)。夏の停電は暑さ対策が最優先です。
Q. 台風で停電しそうなとき、直前に何をすればよいですか?
充電・給水・冷凍の3つを接近前に済ませます。具体的には、モバイルバッテリーとスマホをすべて満充電にし、浴槽やポリタンクに生活用水を貯め、冷凍庫を保冷剤やペットボトルの水で埋めます。あわせて、飛散する恐れのあるベランダの物を屋内へ入れ、停電情報アプリを入れておきます。令和元年房総半島台風では最大約93万4,900戸が停電し、千葉県では復旧が長期化しました(内閣府 令和2年版防災白書)。数日単位を想定した準備が現実的です。
Q. 地震で停電したとき、他の災害と違う注意点はありますか?
通電火災への警戒が加わります。地震では家具の転倒で家電が水濡れしたり配線が損傷したりするため、復旧時の通電で出火する危険があります。消費者庁・経産省・NITEの合同注意喚起(2023年)は、避難時にブレーカーを落とし、復旧後は1台ずつ通電して異音・異臭を確認するよう求めています。不在時にも自動で遮断する感震ブレーカーは国が普及を促進していますが、普及率は5.2%(内閣府世論調査・参考値)にとどまります。なお2026年7月の熊本地震(最大震度7)では最大約4万8,530戸が停電し、全面復旧まで約3〜4日を要しました。
Q. マンションで停電すると断水するのは本当ですか?
本当です。大阪市水道局(2024年)によると、受水槽方式では高置水槽の水が尽きた時点で、直結増圧方式では増圧ポンプの停止時点で断水します。水道本管が無事でも蛇口から水が出なくなります。同時にエレベーターも止まるため、高層階では給水車から自宅までの運搬が大きな負担になります。3階以上にお住まいなら、生活用水20L以上と携帯トイレを平時から自宅内に置いておくことをおすすめします。
Q. ポータブル電源とモバイルバッテリーは両方必要ですか?
用途が違うため、優先順位で判断します。スマホ・ラジオの維持だけならモバイルバッテリーで足り、必要容量は「3,000mAh×人数×日数×1.2」で計算できます。冷蔵庫や扇風機、医療機器を動かしたい場合はポータブル電源が候補になります。ただしNITE(2026年7月)によると、リチウムイオン電池搭載製品の事故は5年間で2,140件、事故は8月にピークを迎えます。買うより保管環境のほうが重要で、高温になる場所を避け、年2回は充電と外観点検を行ってください。
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本記事の情報は2026年8月21日時点の公表情報にもとづいています。制度・基準・製品仕様は変更される場合があるため、実際の判断にあたっては各機関の最新情報をご確認ください。また、在宅医療機器の停電対応や健康上の判断については、必ず主治医等の専門家にご相談ください。




