マンション断水の給水受け取り方|3kgの水を何往復で運ぶか
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マンション断水の給水受け取り方|3kgの水を何往復で運ぶか

マンションで断水したとき、最初にすべきことは「給水車を探すこと」ではありません。自分のマンションの1階に、地下の水道本管に直結した水栓がないかを確認することです。

熊本市上下水道局(2025年3月25日)は「マンション等の1階には地下の水道本管に直結した水栓がございますので、停電でポンプが止まっている間もそこから給水ができます」と案内しています。つまり停電でポンプが止まっただけの断水なら、外に並ばず建物内で水を受け取れる可能性があります。

この記事では、水の「受け取り方」を次の3層に分けて整理します。

  1. 建物内で受け取る(1階の直結栓・受水槽給水栓)
  2. 拠点で受け取る(自治体の災害時給水ステーション)
  3. 自室まで運び上げる(エレベーター停止時の往復計算)

上位の解説記事の多くは「備えましょう」で終わり、誰が拠点を開けるのか、何リットルまで運べるのか、10階まで何往復かかるのかという物理的な段取りには触れていません。ここを数字で埋めます。

ポイント

東京都水道局は都内213か所に災害時給水ステーションを開設する計画で、給水量の目安は「成人が1日に必要な飲料水の量である3リットル」です。3リットルの水は3kgあり、同局も「重い」と明記しています。

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結論:マンション断水時の給水は「3層」で受け取る

断水時の給水は、①1階の直結栓、②自治体の給水拠点、③自室への運搬、の3層で考えると迷いません。まず建物内の取水口を管理会社に確認し、なければ拠点へ向かいます。

受け取り方は断水の「原因」で変わります。全国どこでも同じ手順にはなりません。まずは自分の断水がどのタイプかを見極めてください。

全体の流れ(5ステップ)

  1. 家中の蛇口を全部閉める — 復旧時の出しっぱなしによる漏水事故を防ぎます。最優先です。
  2. 断水の範囲を確認する — 近隣の戸建ても止まっているか、自分の建物だけか。
  3. 受け取り場所を決める — 建物内(直結栓・受水槽給水栓)か、自治体の給水拠点か、管理会社手配の給水車か。
  4. 容器と運搬手段を用意する — リュック型給水袋が基本。ポリタンク20Lは階段では現実的ではありません。
  5. 受け取った水を管理する — 受取日を油性ペンで書き、常温3日・冷蔵10日を目安に使い切ります。
注意

給水拠点の運用・容器の指定・開設場所は自治体によって大きく異なります。この記事の数値は主に東京都・大阪市・熊本市・川崎市など公表資料に基づくものです。必ずお住まいの自治体の水道局サイトで最新情報をご確認ください。

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そもそもマンションの断水はなぜ起きる?給水方式で変わります

そもそもマンションの断水はなぜ起きる?給水方式で変わります

マンションの断水には、地域全体が止まる「地域断水」と、建物内の設備が原因の「建物内断水」の2種類があります。停電でポンプが止まると、水道本管は生きているのに建物内だけ断水します

大阪市水道局(2020年)は、直結増圧方式(建物内の給水管途中に増圧ポンプを設ける方式)と受水槽方式(いったん受水槽に貯めてポンプで送水する方式)の別により、停電時の断水の起き方が異なるため、ビル・マンション等は停電に備えた対策が必要だとしています。

4つの給水方式と停電時の挙動

給水方式仕組み停電したら建物内で水を取れる可能性
直結直圧方式本管の圧力で直接各戸へ水は出る(低層のみ採用)各戸の蛇口がそのまま使える
直結増圧方式途中の増圧ポンプで加圧上階から順に断水1階の直結栓なら出る可能性
受水槽方式受水槽に貯めてポンプ送水送水停止・タンク内に水は残る受水槽給水栓があれば取水可
高置水槽方式屋上タンクから重力で配水タンク残量分は出る残量が尽きるまで各戸で使える

高置水槽方式は、停電直後もしばらく水が出ます。これは「断水していない」のではなく、屋上タンクの残りを使っている状態です。気づかず大量に使うと、本当に必要なときに空になります。停電を認識したら使用を最小限に絞ってください。

「1階の直結栓」とは何か

直結栓は、地下の水道本管に直接つながった共用の水栓です。ポンプを経由しないため、停電中でも水圧があれば出ます。

熊本市上下水道局は、この直結栓の場所は建物により異なるため事前に管理会社へ確認するよう推奨しています。また、停電復旧後も水が出ない場合はポンプの復旧操作が必要なことがあるとしています。

川崎市上下水道局は、受水槽を活用した非常時専用の蛇口(受水槽給水栓)の制度を設けています。設置しておけば、停電・ポンプ停止時に受水槽の貯留水を直接取り出せます。設置には水道局への申請等が必要です。

補足

直結栓・受水槽給水栓は「あるマンションとないマンション」があります。断水してから探しても間に合いません。平常時に管理会社へ確認しておくことが、この記事で最も費用対効果の高い準備です。

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あなたはどこで水を受け取れる?3分岐チャート

受け取り場所は3つの質問で絞り込めます。停電の有無・近隣の断水状況・工事告知の有無を順に確認すれば、連絡先と持ち物が決まります。

判定チャート

``` Q1. 停電していますか? ├─ YES → 【A】ポンプ停止型へ └─ NO → Q2へ

Q2. 近隣の戸建て・他のマンションも断水していますか? ├─ YES → 【B】地域断水型へ └─ NO → Q3へ

Q3. 管理会社から工事の告知が出ていましたか? ├─ YES → 【D】計画断水型へ └─ NO → 【C】建物内故障型へ ```

4つの出口と、それぞれの動き方

状況最初に連絡する先受け取り場所持って行くもの
【A】ポンプ停止型停電でポンプ停止。本管は生きている管理会社(直結栓の場所)1階の直結栓・受水槽給水栓給水袋、懐中電灯、キャリーカート
【B】地域断水型地震・管路事故で地域一帯が断水自治体の水道局(HP・アプリ)災害時給水ステーションリュック型給水袋、油性ペン、身分証
【C】建物内故障型自分の建物だけ断水(ポンプ故障・漏水)管理会社・管理組合管理会社手配の給水車・仮設給水給水袋(拠点は対象外の可能性あり)
【D】計画断水型ポンプ交換等の工事による予告断水管理組合(理事会)仮設受水槽・共用の仮設水栓容器は事前配布の有無を確認

【A】ポンプ停止型は、熊本市上下水道局の案内どおり1階の直結栓が使える可能性があります。まず管理会社に「うちに直結栓はありますか、場所はどこですか」と確認してください。川崎市のように受水槽給水栓の制度がある自治体では、受水槽の貯留水を直接取り出せる場合もあります。

【B】地域断水型は自治体の給水拠点へ向かいます。東京都水道局は都内213か所(浄水場・給水所・応急給水槽等)に災害時給水ステーションを開設する計画で、おおむね半径2km内に1か所を基準に整備しています。開設状況は水道局HP、東京都水道局アプリ、掲示物、拡声器付広報車、ビラ、在京ラジオで周知されます。

【C】建物内故障型は要注意です。地域は断水していないため、自治体の給水拠点は開設されません。頼りになるのは管理会社が手配する給水車や仮設給水です。判断が遅れると水が届くのが翌日になることもあります。

【D】計画断水型は、後述するとおり管理組合への働きかけで断水時間そのものを短縮できます。

ポイント

【A】と【C】は「自治体に電話しても解決しない」型です。連絡先を間違えると、つながらない電話に時間を浪費します。まず断水の範囲を確認してから、どこに電話するかを決めてください。

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給水拠点に行く前の準備・必要なもの

給水拠点へ行く前に必要なのは、背負える容器・受取日を書くための油性ペン・運搬手段の3点です。ポリタンクだけを持っていくと運べません。

東京都水道局は持参容器として「背負えるタイプの給水袋や、空のペットボトルとリュックサックなど」を推奨し、「3リットル(3kg)の水は重い」と注記しています。手提げではなく、両手が空く形が基本です。

容器の選び方

容器容量満水時の重さ階段運搬実勢価格の目安
リュック型給水袋6L6kg現実的約660円(防災館)
リュック型給水袋10L10kg短距離なら可約715円(防災館)
折りたたみタンク10L10kg手提げは厳しい商品による
ポリタンク20L20kg階段では非現実的商品による

背負い式(リュック型)非常用飲料水袋は、防災館の販売価格で6L用が約660円、10L用が約715円です。1,500円前後で6L袋を2枚そろえられるため、コストの割に効果が大きい備えです。

拠点は「係員が入れてくれる場所」ではありません

ここは多くの読者の前提が崩れるところです。大阪市水道局(2025年4月18日更新)は「水道局職員は市内各区や地域での応急給水拠点の設置や、給水車での水の運搬に携わるため、応急給水拠点にとどまることはできません」と明記し、市民による応急給水拠点の自主運営への協力を要請しています。

水道局職員は市内各区や地域での応急給水拠点の設置や、給水車での水の運搬に携わるため、応急給水拠点にとどまることはできません。

— 大阪市水道局「災害時の自助・共助」(2025年4月18日更新)

つまり、蛇口の開け閉め、列の整理、容器への注水は住民側で回すことが想定されています。「行けば誰かが入れてくれる」と思って手ぶらで行くと、容器がないまま並ぶことになります。

持ち物チェックリスト(給水受け取りバッグ)

  • リュック型給水袋 6L × 2枚
  • 油性ペン(受け取った日付を容器に書くため)
  • キャリーカート(平地の運搬用。階段では使えません)
  • 母子手帳・お薬手帳(避難所併設拠点での手続き用)
  • 集合住宅名と部屋番号を書いたメモ
  • 消費期限メモ(常温3日・冷蔵10日)
  • 懐中電灯・ヘッドライト(停電時の階段用)
  • 軍手(容器の持ち手が手に食い込むため)
補足

東京都水道局アプリはGPSで現在地から最寄りの災害時給水ステーションを検索でき、発災時には開設状況を通知します。断水・濁水のお知らせ機能も備えています。平常時にインストールしておくと、発災後に検索する手間が省けます。

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手順を順番に詳しく解説:受け取りから自室まで

給水の受け取りは、蛇口を閉める→範囲を確認→取水→運搬→保存管理の5段階です。順番を守ると、復旧時の漏水事故と二度手間を防げます。

手順1〜3:断水を確認して受け取り先を決める

  1. 家中の蛇口をすべて閉める。 台所・洗面・浴室・洗濯機・屋外水栓まで。復旧は予告なく起こるため、開いたままだと水浸しになります。
  2. 断水の範囲を確認する。 ベランダから近隣の様子を見る、自治体の水道局HPを見る、エントランスの掲示を見る。停電の有無も同時に確認します。
  3. 前章のチャートで型を判定し、連絡先へ問い合わせる。 【A】【C】【D】は管理会社・管理組合、【B】は自治体です。

手順4〜5:取水して自室へ運ぶ

  1. 容器を持って取水する。 建物内の直結栓が使える場合は1階へ。拠点へ行く場合は開設状況を確認してから出ます。応急給水拠点は、住民が無理なく手で水を運べる距離として約500mを考慮して配置されています(江戸川区危機管理室 給水部会「江戸川区応急給水マニュアル」平成27年8月)。
  2. 容器に受取日を書き、自室へ運ぶ。 階段運搬は次章の計算表を参照してください。

受け取った水は何日もつのか

鹿児島市(上下水道局FAQ)によると、清潔な容器に満水で密栓した水道水は、直射日光を避けて常温で3日程度、冷蔵庫で10日程度の飲用保存が可能とされています。一度煮沸した水や浄水器を通した水は、消毒効果(残留塩素)が失われるため保存には不向きです。

これは受け取る側にとって重要な意味を持ちます。「せっかくもらったから煮沸しておこう」「浄水器に通しておこう」という善意の処理が、保存期間を縮めてしまうのです。飲料用として保存するなら、受け取ったままの状態で密栓するのが基本です。

注意

保存期間は容器の清潔さや保管環境で変わります。濁り・におい・浮遊物に気づいたら飲用は避けてください。乳幼児や体調のすぐれない方が口にする水は、特に慎重に扱うことが望まれます。判断に迷う場合は自治体の水道局や医療機関にご相談ください。

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階段で水を運ぶ「何往復問題」を数字で解く

エレベーターが止まると、水の受け取りは運搬問題に変わります。4人家族の3日分は36L・36kgで、10L袋なら4往復必要です。

計算の考え方は次のとおりです。

  • 必要往復回数 =(家族人数 × 3L × 日数)÷ 容器容量
  • 総運搬重量 = 人数 × 3kg × 日数
  • 階段運搬時間 = 往復回数 ×(階数 × 約20秒 × 2)

1人1日3リットルという目安は、東京都水道局・大阪市水道局が示す給水量の基準です。大阪市水道局と農林水産省(家庭備蓄ポータル)は、備蓄として1人1日3リットル・最低3日分(できれば1週間分)を推奨しています。

世帯別・容器別の必要往復回数(3日分)

世帯必要量(3日)総重量6L袋10L袋10Lタンク20Lポリタンク
1人暮らし9L9kg2往復1往復1往復1往復
夫婦+子127L27kg5往復3往復3往復2往復
4人家族36L36kg6往復4往復4往復2往復
高齢親2人18L18kg3往復2往復2往復1往復

10階まで運ぶと何分かかるか

階段の昇降を1階あたり約20秒(往復で約40秒)とすると、10階の1往復は約7分です。4人家族が10L袋で4往復すると、階段の昇降だけで約28分。ここに拠点までの往復(片道500m前後)と待ち時間が加わります。

数字から見える結論は明確です。

  • 20Lポリタンクは20kgで、階段では非現実的です。 往復回数は減りますが、1回が持ち上がりません。エレベーターが動く場合や1〜3階のみ有効です。
  • 10階以上は6Lリュックを複数持つのが現実解です。 1回あたりの負荷を下げ、家族で分担したほうが総所要時間は短くなります。
  • 2人で行けば往復回数は半分になります。 4人家族が6L袋2枚で2人で行けば、12L/回で3往復です。
ポイント

ここまでの計算は飲料水だけの話です。トイレを流す、体を拭く、食器を洗うといった生活用水を含めると、必要量は桁が変わります。トイレ1回の洗浄水は数リットル規模になるため、階段で運び上げてまかなうのは現実的ではありません。生活用水は「運ぶ」のではなく「使わない工夫」で対応します。

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つまずきやすいポイントと対処法

断水中に事故が起きやすいのは、トイレの排水と、復旧時の水の出しっぱなしです。地震後は排水管の健全性が確認されるまで、トイレを流さないのが原則とされています。

マンションの断水中、トイレは流していい?

流してよいかは断水の原因で変わります。計画断水や停電によるポンプ停止で、建物や配管に損傷がない場合は、バケツの水で流せることがあります。地震のあとは、排水管や下水道本管が破損している可能性があるため、点検が済むまで流さないのが安全側の判断です。

マンション特有のリスクとして、上階で流した汚水が破損箇所から下階に漏れる事故があります。自分の部屋で異常がなくても、建物全体としては危険な状態のことがあります。

対処法は次のとおりです。

  1. 便器に大きめのポリ袋を二重にかぶせる
  2. 新聞紙や凝固剤(市販の携帯トイレ)を入れる
  3. 使用後は袋を縛り、指定の方法で保管・処分する
  4. 流してよいかの判断は、管理会社・管理組合の指示を待つ
注意

「流していいか」の最終判断は、個人ではなく建物側(管理会社・管理組合)が出すべきものです。誰が判断を出すのかを平常時に確認しておくと、発災後の混乱を減らせます。

復旧後に水が出ない・濁った水が出る

停電が復旧しても水が出ない場合、給水ポンプの復旧操作が必要なことがあります。熊本市上下水道局はこの点を明示し、管理会社への問い合わせを案内しています。制御盤の操作は専門的なため、住民が自己判断で触るべきではありません。

断水復旧直後は、配管内の空気やサビで濁った水が出ることがあります。しばらく蛇口を開けて透明になるまで流し、それまでは飲用・調理用に使わないでください。

給水拠点に行ったのに水がもらえない

【C】建物内故障型でよくある失敗です。地域が断水していなければ拠点は開設されません。自分の建物だけの断水では、管理会社の手配を待つのが原則です。

また、拠点の開設状況は刻々と変わります。東京都は水道局HP・アプリ・掲示物・広報車・ビラ・在京ラジオで周知するとしています。出発前の確認を習慣にしてください。

まとめ

つまずきの多くは「誰に聞くか」を間違えることから生まれます。地域断水は自治体、建物内断水は管理会社。この切り分けができれば、無駄な移動と待ち時間の大半は避けられます。

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マンションの給水ポンプ交換による断水は短くできる?

計画断水は交渉で短縮できます。仮設受水槽をレンタル設置すれば、実際に水が止まるのは配管切替の数時間だけにできるとされています。

加圧給水ポンプの交換工事は、工期そのものは半日程度とされます(港ポンプ工業FAQ、高畠商事)。ただし工事中ずっと断水させる段取りにすると、住民は半日から1日、水が使えません。

管理組合に要求すべき3点

  1. 仮設受水槽・仮設ポンプのレンタル設置を検討したか。 設置すれば断水は配管切替の数時間に短縮できます。追加費用はかかりますが、全戸が半日断水する不便と比較する価値があります。
  2. 断水時間帯の設定。 平日日中に寄せるのか、在宅者の多い時間を避けるのか。高齢者・乳幼児のいる世帯への配慮が必要です。
  3. 断水中の代替給水。 仮設水栓の設置、ペットボトルの共用備蓄からの配布など。

計画断水は「決まったことに従うもの」ではなく、管理組合の議題として住民が選択できるものです。総会や理事会で工事案件が出たら、断水時間の短縮策が検討されたかを確認してください。

補足

計画断水は事前に日時が分かる点で、災害断水より圧倒的に対処しやすいものです。前日に浴槽へ水を張る、飲料水を買い足す、洗濯を済ませておくといった準備で、実害はかなり抑えられます。

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断水になる前に管理会社へ聞く7項目

平常時の準備で最も効くのは、管理会社への7つの質問です。回答をメモしておけば、発災時に「どこで水を取れるか」が即座に分かります。

以下はそのままコピーして使える質問文です。

  1. 「うちのマンションの給水方式は、直結直圧・直結増圧・受水槽・高置水槽のどれですか?」
  2. 「1階に本管直結の共用水栓(直結栓)はありますか。ある場合、場所はどこですか?」
  3. 「受水槽の非常用給水栓(受水槽給水栓)は設置されていますか。鍵は誰が管理していますか?」
  4. 「受水槽の容量は何立方メートルで、居住者の何人分・何日分に相当しますか?」
  5. 「停電時に給水ポンプを動かす非常用電源はありますか。『東京とどまるマンション』等の登録はありますか?」
  6. 「地震後、排水管の点検が終わるまでトイレを流してよいかの判断は、誰がどのように出しますか?」
  7. 「計画断水を伴う工事のとき、仮設受水槽で断水時間を短縮する選択肢はありますか?」

質問5に関連して、東京都住宅政策本部の「東京とどまるマンション情報登録・閲覧制度」は、停電時でも水の供給とエレベーター1基以上の運転を同時または交互に行える非常用電源設備の設置(ハード)と、防災マニュアル策定(ソフト)等を要件に登録・公開する制度です。水とエレベーターの両方が動くという要件は、まさにこの記事の「運搬問題」を解消するものです。

さらに東京都は、この制度に関する補助事業の令和8年度受付を2026年6月5日に開始しました(〜2027年1月15日)。防災備蓄資器材の購入は補助率3分の2〜10分の10で上限100〜150万円、非常用電源・太陽光・V2Xは上限2,000〜3,000万円、エレベーター閉じ込め防止は上限266万円、マンホールトイレ整備は上限40万円とされています。

ポイント

管理組合の役員をしている方は、この補助事業を理事会の議題にする価値があります。備蓄資器材だけなら比較的少額から検討でき、給水袋やマンホールトイレの整備につながります。対象要件や受付状況は東京都の公表資料で最新情報をご確認ください。

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注意点・リスク:断水は「数日」で終わらないことがあります

断水は数日で復旧するとは限りません。令和8年熊本地震では、8月7日時点で3万6000戸余の断水が継続し、解消は8月末までかかる見込みと報じられています。

2026年7月28日に発生した令和8年熊本地震(宇城市・氷川町で最大震度7)では、熊本県内で大規模な断水が発生しました。報道による戸数の推移は次のとおりです。

時点断水戸数出典
2026年7月30日約8万戸NHKニュース
2026年8月1日7市町村 6万9400戸熊本日日新聞
2026年8月7日3万6000戸余NHKニュース

8月1日時点の内訳は、八代市25,300戸、宇城市17,800戸、宇土市12,200戸ほかとされています。配水管の復旧に時間がかかり、解消は8月末までかかる見込みと報じられました。発災から1か月です。

この事実は「3日分の備蓄で足りる」という前提を見直させます。農林水産省(家庭備蓄ポータル)が「できれば1週間分」を推奨する理由がここにあります。

注意

3日分(1人9L)はあくまで最低ラインです。給水拠点からの受け取りを前提にしても、拠点までの距離、階段の階数、家族の体力によって実際に確保できる量は変わります。高層階にお住まいの方、運搬が難しい方は、備蓄量を多めに見積もることをおすすめします。

情報源の変更にも注意

国土交通省(2024年)によると、水道整備・管理行政は令和6年(2024年)4月1日に厚生労働省から国土交通省(施設整備・経営・災害復旧支援等)および環境省(水質基準等)へ移管されました。約60年ぶりの機構改革です。

断水に関する古い記事やパンフレットには「厚生労働省」と書かれているものがありますが、現在の所管は国土交通省・環境省です。国の一次情報にあたる際は、この点にご注意ください。

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具体例・ケーススタディ

受け取り方は世帯の条件で大きく変わります。同じ4人家族でも、3階と12階では必要な準備が違います。3つのケースで見ていきます。

ケース1:タワーマンション12階・4人家族・停電を伴う地震

エレベーターが停止し、直結増圧方式のためポンプも停止。1階の直結栓が使えることを管理会社に確認済み。

  • 必要量:4人 × 3L × 3日 = 36L(36kg)
  • 容器:6Lリュック袋 × 4枚(夫婦で2枚ずつ)
  • 往復:12L/回 × 2人 = 24L/回 → 2往復で48L確保
  • 階段時間:12階 × 20秒 × 2 = 8分/往復 → 2往復で約16分

拠点まで行かず建物内で完結できたため、往復距離はゼロ。直結栓の確認が済んでいたことが最大の差になりました。もし拠点まで片道500mを歩いていたら、往復ごとに20〜30分が上乗せされます。

ケース2:5階・一人暮らし・給水ポンプ交換による計画断水

管理会社から「工事のため9時〜17時断水」の告知。事前に理事会へ確認したところ、仮設受水槽の設置を追加すれば断水は切替の数時間のみに短縮できると判明。

  • 対応:理事会で仮設受水槽の設置を提案 → 断水は12時〜15時の3時間に短縮
  • 事前準備:前夜に浴槽へ水を張る、飲料用に2Lペットボトル5本(9L超)を確保
  • 実害:トイレはバケツの水で対応、外出して不在にすることで実質的な影響はほぼゼロ

計画断水は交渉と事前準備でほぼ無害化できるタイプです。

ケース3:離れて暮らす高齢の親(2人)への代理受け取り

実家は7階建てマンションの6階。親は80代で、3kgの水を持って階段を6階まで上がるのは困難です。

応急給水拠点は、住民が無理なく手で水を運べる距離として約500mを考慮して配置されています(江戸川区応急給水マニュアル、平成27年8月)。しかしこの「無理なく」は、健康な成人を前提とした距離設計です。

設計すべきことは3点あります。

  1. 誰が運ぶかを事前に決める。 同じ建物の住民、近隣の親族、自治会の共助の枠組み。「頼める相手」を平常時に1人でも作っておきます。
  2. 必要量を減らす。 親2人の3日分は18L。うち9L分を平常時からペットボトルで備蓄しておけば、発災後に運ぶのは9Lで済みます。備蓄は運搬量を減らす手段でもあります。
  3. 建物内の取水口を確認しておく。 実家の管理会社に、前章の7項目を子世代が代わりに聞いておきます。1階の直結栓が使えれば、階段の下り上りだけで済みます。
まとめ

高齢の親の給水は「本人が拠点まで行く」前提では設計できません。運ぶ人・減らす量・建物内で取れる水、の3つで組み立ててください。事前の1本の電話が、発災後の何往復にも相当します。

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まとめ:今日できることは「管理会社への1本の電話」です

マンション断水時の給水は、①建物内の直結栓・受水槽給水栓、②自治体の給水拠点、③自室への運搬、の3層で設計します。要点を再整理します。

  • 断水に気づいたら、まず家中の蛇口をすべて閉める
  • 停電による断水なら、1階の直結栓が使える可能性がある(熊本市上下水道局)
  • 地域断水なら自治体の給水拠点へ。東京都は213か所、給水目安は1人1日3L
  • 拠点に職員は常駐しない。容器は自分で持参する(大阪市水道局)
  • 3Lは3kg。4人家族3日分は36kgで、10階なら階段だけで約28分
  • 受け取った水は常温3日・冷蔵10日。煮沸・浄水器通水は保存に不向き(鹿児島市)
  • 計画断水は仮設受水槽で数時間に短縮できる余地がある

最初の一歩は、管理会社への電話です。「うちの給水方式は何か」「1階に直結栓はあるか」——この2問だけでも、発災時の動き方が変わります。

断水対策は、災害の規模や建物の設備、家族の状況によって最適解が異なります。給水拠点の運用や容器の指定は自治体ごとに違いますので、お住まいの自治体の水道局サイトで必ずご確認ください。建物の設備・非常用電源・受水槽の仕様については管理会社や管理組合へ、健康上の不安がある場合は医療機関へご相談ください。

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よくある質問

マンションの断水中、トイレは流していいですか?

地震のあとは、排水管の点検が済むまで流さないのが安全とされています。 マンションでは上階から流した汚水が破損箇所から下階へ漏れる事故が起こりえます。一方、計画断水や停電によるポンプ停止で建物・配管に損傷がない場合は、バケツの水で流せることがあります。最終的な判断は管理会社・管理組合の指示に従ってください。判断が出るまでは、ポリ袋と凝固剤を使った携帯トイレで対応します。

給水拠点でもらった水は何日もちますか?

清潔な容器に満水で密栓すれば、常温で3日程度、冷蔵庫で10日程度が飲用保存の目安とされています(鹿児島市 上下水道局FAQ)。ただし一度煮沸した水や浄水器を通した水は、消毒効果が失われるため保存には不向きです。容器には受取日を油性ペンで書いておき、古いものから使ってください。濁りやにおいがある場合は飲用を避けてください。

マンションの断水で使える「直結栓」はどこにありますか?

1階の共用部にあることが多く、正確な場所は建物によって異なります。 熊本市上下水道局(2025年)は「マンション等の1階には地下の水道本管に直結した水栓がございますので、停電でポンプが止まっている間もそこから給水ができます」としつつ、場所は建物により異なるため事前に管理会社へ確認するよう推奨しています。すべてのマンションにあるとは限らないため、平常時の確認が必須です。川崎市のように、受水槽から取水する非常時専用の蛇口(受水槽給水栓)の制度を設ける自治体もあります。

災害時給水ステーションには何を持って行けばいいですか?

背負えるタイプの給水袋、または空のペットボトルとリュックサックです。 東京都水道局は両手が空く容器を推奨し、「3リットル(3kg)の水は重い」と注記しています。リュック型給水袋は6L用が約660円、10L用が約715円程度で購入できます(防災館)。あわせて油性ペン(受取日記入用)、キャリーカート、懐中電灯、軍手があると運搬が楽になります。20Lポリタンクは満水で20kgとなり、階段では現実的ではありません。

マンションの給水ポンプ交換工事による断水は、どのくらい続きますか?

工事自体は半日程度とされますが、仮設受水槽をレンタル設置すれば実際に水が止まるのは配管切替の数時間だけにできるとされています(港ポンプ工業、高畠商事)。管理組合の議題として「仮設受水槽で断水時間を短縮する選択肢を検討したか」を確認する価値があります。日時が事前に分かるため、前夜に浴槽へ水を張る、飲料水を買い足すといった準備で実害は大きく抑えられます。

高齢の親が自分で水を受け取れない場合はどうすればいいですか?

「運ぶ人」「減らす量」「建物内で取れる水」の3点で設計します。 応急給水拠点は住民が無理なく手で水を運べる距離として約500mを考慮して配置されていますが(江戸川区応急給水マニュアル、平成27年8月)、これは健康な成人を前提とした設計です。平常時から近隣や親族に運搬を頼める相手を決めておく、ペットボトルの備蓄で発災後に運ぶ量を減らす、実家の1階に直結栓があるかを子世代が管理会社に確認しておく——この3つを事前に進めておくことをおすすめします。

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最終確認日:2026年8月9日

本記事は上記時点で公開されている各自治体・省庁の公表資料および報道に基づいて作成しています。給水拠点の運用、容器の指定、補助制度の要件は自治体・年度によって変わります。実際の行動にあたっては、お住まいの自治体の水道局および建物の管理会社・管理組合の最新の案内に従ってください。

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