結論:地震でエレベーターに乗っていたら何をすべきか
乗っている最中の行動
- 全階のボタンを押す:地震時管制運転装置が未設置でも、最寄り階に止まる可能性を上げられます。
- 最初に停止した階で降りる:目的階まで行こうとしないでください。
- 降りたら階段へ:余震・停電で再停止するため、避難にエレベーターは使いません。
閉じ込められたときの最初の3手
- 非常ボタンを押し、インターホンで状況を伝える
- 応答がなくても、時間を置いて繰り返し押す
- 操作盤に記載された保守会社の連絡先をスマホで撮影しておく
注意天井から脱出しようとする、扉をこじ開ける、といった行動は重大な事故につながるおそれがあります。かごが突然動く可能性があるため、行わないでください。
乗っていないときにやるべきこと
なぜエレベーターは地震で止まるのか?主な原因を深掘り
原因1:地震時管制運転装置による自動停止
原因2:停電
原因3:昇降路内の変形・異物
原因4:保守員が来られない
補足大規模地震では、この「原因4」が復旧時間を決める最大の要因になります。設備が新しくても、地域全体で保守員が不足すれば順番待ちは避けられません。
原因別の見分け方:閉じ込めか、長期停止か
| 状況 | 見分け方 | 想定される復旧の順番 |
|---|
| 閉じ込め発生 | かご内に人がいる/インターホンがつながる | 最優先で救出に向かう |
| 閉じ込めなしの停止 | 扉が開いた状態で止まっている、表示が消えている | 救出対応の後。数日かかることがある |
| 停電による停止 | 建物全体が停電している | 通電後、点検を経て再開 |
| 自動診断による仮復旧 | 一定時間後に自動で動き出す | 200Gal以下で異常なしなら約30分が目安 |
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具体的な解決方法:自宅・実家の復旧速度を今日調べる
5問診断チャート:地震後“何時間”で復旧するか
- Q1 そのエレベーターの設置(または全面リニューアル)は2009年9月以降ですか?
- Yes → 地震時管制運転装置は付いている可能性が高い。Q2へ
- No → 管理会社・管理組合に「地震時管制運転装置は付いていますか」と確認。付いていなければ判定Cへ
- Q2 保守契約に遠隔監視は付いていますか?
- 日本エレベーター協会「2024年度昇降機設置台数等調査結果報告」(2025年8月)によると、協会会員が保守する762,223台のうち遠隔監視付は596,096台(約78%)です
- Yes → Q3へ/No → 判定C寄り
- Q3 リスタート運転、または自動診断・仮復旧運転が付いていますか?
- Q4 かご内に防災キャビネット・防災チェアがありますか?
- Q5 建物は首都直下地震緊急対策区域など、保守員が集中的に不足しうるエリアですか?
- Yes なら、各判定の想定時間を1段階遅い側で見積もってください
| 判定 | 想定復旧時間 | 今週やること(1つだけ) |
|---|
| A:自動仮復旧型 | 約30分〜数時間 | 防災キャビネットの中身の消費期限を確認する |
| B:遠隔監視あり・保守員待ち | 半日〜1日 | 管理組合に自動診断・仮復旧運転の見積を依頼し、東京都の補助率1/2・上限200万円の対象か確認する |
| C:管制運転なし・遠隔監視なし | 数日〜 | 保守会社に電話し、設置年と装置の有無を確認する |
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全国の3割は地震時管制運転装置が未装備
相手別・確認の一言テンプレ
| あなたの立場 | 誰に聞くか | 言い方の例 |
|---|
| 分譲マンション | 管理組合・管理会社 | 「防災の確認です。EVの設置年と、地震時管制運転装置・自動診断仮復旧の有無を教えてください」 |
| 賃貸 | 管理会社 | 「地震でEVが止まったとき、どこに連絡すればよいですか。管制運転装置は付いていますか」 |
| 実家(親が持ち家) | 親経由で管理組合 | 「長期修繕計画にEVの地震対策が入っているか、総会資料を見せて」 |
| 実家(親が賃貸) | 親経由で管理会社 | 「停電時にEVがどうなるか、非常時の連絡先を紙で欲しい」 |
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補足電話で聞く際は「設置年」「地震時管制運転装置」「自動診断・仮復旧運転」「遠隔監視」の4語をそのまま使うと話が早く進みます。
ケース別の対処:エレベーター内での90秒プロトコル
時間帯×同乗者マトリクス
| 経過時間 | 一人 | 子ども連れ | 高齢の親と | 車いす |
|---|
| 0〜10秒 | 全階のボタンを押す/手すりを掴んでしゃがむ | 同左+子どもを抱き寄せる | 同左+転倒を防ぐ | 同左+ブレーキをかける |
| 10〜60秒 | 非常ボタンは押しっぱなしにせず数秒ずつ | 子どもに「すぐ助けが来る」と伝える | 先に座らせ、常用薬とトイレの有無を口頭確認 | 座位のまま姿勢を安定させ、床ずれ・むくみに注意 |
| 1〜5分 | 操作盤の連絡先番号をスマホで撮影→メモも取る | 同左+遊びに変える(数を数える等) | 同左+服薬時刻を確認 | 同左+介助者の到着見込みを共有 |
| 5分〜数時間 | 30分おきに非常ボタンを押し直す/体温を保つ | 水分を少量ずつ/泣いても抱えて落ち着ける | 姿勢を変える時間を決める/会話を絶やさない | 除圧のため定期的に姿勢を変える |
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やってはいけない3つ
- 天井から出ようとする
- 扉をこじ開ける
- 全員でドアに寄りかかる
注意かごが復旧作業で突然動く場合があります。扉や天井への働きかけは、いずれも重大な事故につながるおそれがあるとされています。救助を待つのが最も安全です。
持ち物3点セット(個人版・建物版)
- 個人版(かばんに常備):小型ライト/携帯トイレ/モバイルバッテリー
- 建物版(かご内に設置):防災キャビネットの標準仕様は4名×1日分。保存水500ml×10本、簡易トイレ、多機能ラジオライト、アルミブランケット等が入っています(キングジム・コクヨの製品仕様、新宿区の現物支給事業より)
予防・再発防止のコツ:止まったままの1週間を設計する
水と食料の運搬を数字で考える
要配慮者別の事前準備
| 対象 | 事前に決めておくこと |
|---|
| 高齢の親 | 常用薬の予備日数(できれば1週間分)/通院の延期可否をかかりつけ医に事前確認/階段昇降が困難な場合の連絡先 |
| 乳幼児連れ | ベビーカーは使えない前提で抱っこひもを常備/おむつ・ミルクの備蓄を上乗せ |
| 車いす利用者 | 建物内の避難ルートと介助体制を管理組合と共有/自主防災組織への事前登録 |
| 一人暮らし | 安否確認の相手を2人決めて相互登録/在宅避難できる備蓄を優先 |
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在宅避難が国の方針に
閉じ込め対策の費用はいくら?補助金と決裁ルートの比較
対策5つの比較表
| 対策 | 効果の種類 | 復旧までの時間の変化 | 概算費用の考え方 | 使える公的支援 | 決裁主体 |
|---|
| ①防災キャビネット/防災チェア | 閉じ込めても耐えられる | 変わらない | 数万円台〜(製品による) | 港区・中央区は現物無償配布/新宿区は1組織1回・最大2個/文京区は上限7万円の助成 | 管理組合(自治体事業の申請主体は組織単位が多い) |
| ②リスタート運転機能 | 閉じ込め時間を短縮 | 自動での復帰を試みる | 改修工事扱い | 東京都「東京とどまるマンション」補助率1/2・上限200万円 | 管理組合の総会決議 |
| ③自動診断・仮復旧運転機能 | 閉じ込め時間を短縮 | 200Gal以下で異常なしなら約30分で仮復旧(日立ビルシステム等の解説による)。なしなら保守員到着待ちで、閉じ込め救出が優先され後回し | 改修工事扱い | 同上(東京都、補助率1/2・上限200万円) | 管理組合の総会決議 |
| ④遠隔監視 | 閉じ込め自体の把握を早める | 検知・連絡が早くなる | 保守契約の内容による | 保守契約の見直しで対応可能な場合あり | 管理組合・オーナー判断 |
| ⑤停電時自動着床装置 | 閉じ込め自体を回避 | 停電時に最寄り階まで運転 | 改修工事扱い | 大阪市の改修補助等 | 管理組合の総会決議 |
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主な補助制度(2026年8月時点)
- 東京都:2025年5月30日の報道発表で、「東京とどまるマンション」登録の既存マンション向けに「エレベーター閉じ込め防止対策促進事業」の補助を開始。リスタート運転機能と自動診断・仮復旧運転機能の整備が対象で、補助率1/2・上限200万円。マンホールトイレ整備(補助率2/3・上限40万円)も対象化されました。受付は東京都防災・建築まちづくりセンターです。
- 大阪市:エレベーター防災対策改修補助事業は令和8年度から限度額を拡充。対象工事1〜5は上限273万1千円、工事6・7は上限86万2千円(工事1と併せて実施する場合は71万8千円)。補助率は対象工事費の23.0%。対象は平成26年3月31日以前設置かつ延べ面積1,000㎡以上の共同住宅のエレベーターで、長期修繕計画への計上が要件です。受付は2026年4月1日〜12月18日、工事契約前の事前協議が必須とされています。
- 文京区:中高層共同住宅等エレベーター閉じ込め対策費用助成、上限7万円。
- 港区・中央区・新宿区:防災キャビネット・防災チェアの現物配布制度があります。
注意補助制度は年度ごとに要件・金額・受付期間が変わります。申請前に必ず各自治体の最新の公式ページで確認し、工事契約前の事前協議が必要な制度に注意してください。
立場別・言い方テンプレ
| 立場 | 誰に | そのまま使える一言 |
|---|
| 分譲(区分所有者) | 管理組合の理事会 | 「次回総会の議案に、EVの自動診断・仮復旧運転の導入検討を入れてください。東京都の補助率1/2・上限200万円が使えるか確認したいです」 |
| 賃貸(入居者) | 管理会社 | 「かご内に防災キャビネットの設置をご検討いただけませんか。区の無償配布制度があるか確認をお願いします」 |
| 実家(親が持ち家) | 管理組合 | 「長期修繕計画にEVの地震対策を計上できないか、次の理事会で議題にしてほしい」 |
| 実家(親が賃貸) | 管理会社 | 「高齢の入居者がいるため、停電時の対応と非常時の連絡先を書面でいただけますか」 |
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専門家・公的情報の見解:どこまでが確認された事実か
都心南部直下地震(M7.3)における都内のエレベーター停止台数は約166,000台、うち人の閉じ込めにつながり得る停止台数は22,426台(閉じ込め率13.5%)。前回想定の7,473台から約3倍に増えたのは、2018年大阪府北部地震の実態を踏まえ、閉じ込め発生割合を高く見積もり直したためとされています。
— 東京都防災会議「首都直下地震等による東京の被害想定」(令和4年5月25日公表)
都心南部直下地震の新被害想定では、エレベーター内に閉じ込められる人は約1万6000人。死者は最悪ケースで約1万8000人、経済被害は総額82兆円超と推計されています。
— 中央防災会議 防災対策実行会議 首都直下地震対策検討ワーキンググループ(令和7年12月19日公表)
補足被害想定は前提条件(発生時刻・季節・風速など)で数値が変わります。数字は「上限の目安」ではなく「対策の優先順位を決める材料」として使うのが実務的です。
やってはいけないNG対応
- 天井の点検口から脱出しようとする:かごが動き出す可能性があり、極めて危険とされています。
- 扉をこじ開ける:昇降路に転落するおそれがあります。
- 避難のためにエレベーターを使う:余震や停電で再停止します。階段を使ってください。
- 非常ボタンを押し続ける:数秒ずつ、時間を空けて押し直すほうが確実です。
- 管制運転で止まった=壊れたと判断して連絡しない:安全動作である可能性が高いものの、復旧には手順が必要です。管理会社への連絡は行ってください。
- 「新しい建物だから大丈夫」と確認を省く:装置の有無は設置年だけでは断定できません。管理会社への確認が確実です。
- 地震後に自己判断で運転を再開する:点検前の使用は避け、専門業者の確認を待ってください。
注意体調不良や持病の悪化が疑われる場合は、我慢せず非常ボタンで症状を具体的に伝えてください。救出の優先順位に関わります。医療的な判断は医師にご相談ください。
まとめ:今日やる3つのこと
よくある質問
Q1. エレベーターに地震で閉じ込められたら、どのくらいで助けが来ますか?
Q2. エレベーターの地震感知器はどんな仕組みですか?
Q3. 地震でエレベーターが停止したあと、復旧方法はどうすればよいですか?
Q4. うちのエレベーターに地震時管制運転装置が付いているか、どう調べればよいですか?
Q5. 高齢の親が一人で住んでいます。何から準備すればよいですか?
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