防災グッズ 本当に必要なものは何か:結論と5つの数字
- 水:1人1日3L(農林水産省 家庭備蓄ポータル/内閣府 防災情報)
- 携帯トイレ:1人1日5回分(東京都「広報東京都」2025年9月)
- 断水復旧:約17日(東京都防災会議 2022/都心南部直下地震の想定)
- 停電復旧:約4日(同上)
- 災害関連死:能登で死者の約61%(内閣府『令和7年版 防災白書』2025)
3日分では足りないと考えられる理由
断水日数・停電日数は東京都が想定した都心南部直下地震のケースの数値です。お住まいの地域・被害規模・季節により復旧日数は大きく変わります。自治体の被害想定とハザードマップで、ご自身の地域の数字を必ず確認してください。
断水17日から逆算する必要量 早見計算表

| 品目 | 1人1日あたり(根拠) | 計算式 | 3日分(4人) | 7日分(4人) | 17日分(4人) |
|---|---|---|---|---|---|
| 飲料・調理水 | 3L(農水省・内閣府) | 3L×人数×日数 | 36L | 84L | 204L |
| 携帯トイレ | 5回分(東京都2025) | 5回×人数×日数 | 60回 | 140回 | 340回 |
| 主食 | 3食(農水省ストックガイド) | 3食×人数×日数 | 36食 | 84食 | 204食 |
| カセットボンベ | 1日1本目安(強火約60分/本) | 1本×日数 | 3本 | 7本 | 17本 |
| ウェットティッシュ | 10枚(断水時の清拭目安) | 10枚×人数×日数 | 120枚 | 280枚 | 680枚 |
| 常用薬 | 1日分+予備2日 | 日数+2日 | 5日分 | 9日分 | 19日分 |
| 電力(スマホ充電) | 約15Wh(1台1日1回) | 15Wh×台数×日数 | 約180Wh | 約420Wh | 約1,020Wh |
※水量・携帯トイレ回数・主食食数は公的資料の目安に基づく計算です。カセットボンベ・ウェットティッシュ・電力量は、一般的な製品仕様と使用実感から算出した参考値であり、公的な基準値ではありません。使用量は調理内容・機種・気温で変動します。
この表の読み方
保管の現実解
防災グッズ 本当に必要なものリスト:優先順位つき
- 水:1人1日3L。飲用と調理・清拭で半々を想定。
- 携帯トイレ:1人1日5回分。凝固剤と防臭袋がセットのもの。
- カセットコンロ+ボンベ:湯が沸かせると、食事・保温・清拭の質が一気に変わります。
- 明かり・電源:ヘッドライト(両手が空く)、乾電池式ラジオ、モバイルバッテリー、予備乾電池。
- 食料:加熱不要で食べ慣れたもの中心。農林水産省「家庭備蓄ポータル」はローリングストックを基本としています。
- 衛生:ウェットティッシュ、ポリ袋、ラップ、歯みがきシート、マスク、ゴミ袋。
- 常用薬・お薬手帳:日数分+予備2日。最も代替が効かない品目です。
100均で買ってよいもの・避けたいもの
| 100均で十分に検討できるもの | 慎重に選びたいもの |
|---|---|
| ポリ袋・ゴミ袋・ラップ | 携帯トイレ(吸収・防臭性能に差) |
| 軍手・レジャーシート・ホイッスル | モバイルバッテリー(発火リスク) |
| 給水用ポリタンク(予備として) | ヘルメット(規格適合品を推奨) |
| 使い捨て食器・ウェットティッシュ | 常備薬関連(薬剤師に相談) |
製品評価技術基盤機構(NITE)のプレスリリース(2025)によると、リチウムイオン電池搭載製品の事故は2020〜2024年の5年間で1,860件、うち約85%(1,587件)が火災に至り、製品別ではモバイルバッテリーが最多でした。NITEの2025年度事故情報収集報告書(2026年6月公表)でも、充電器類が製品群別の事故発生数トップとなっています。買った防災グッズ自体がリスクになり得るという視点を持ち、膨張・変形したものは使用を中止し、自治体の区分に従って処分してください。
「いらなかったもの」10品目 公的基準クロス検証表
| 品目 | 「不要」とされる理由 | 公的資料での扱い | 不要になりやすい条件 | 逆に必須になる条件 | 判定 |
|---|---|---|---|---|---|
| コンパス | スマホ地図で足りる | 公的備蓄リストでの扱いは限定的 | 都市部・徒歩圏に避難所 | 山間部・土地勘のない土地 | △条件付き |
| ロープ | 使う場面がない | 同上 | 平地・集合住宅 | 浸水域・傾斜地 | △条件付き |
| カップ麺 | 水と湯を大量に使う | 農水省ストックガイドは食べ慣れた食品を推奨 | 断水が長期化する想定 | 給水が確保できる/熱源あり | △条件付き |
| 浄水器 | 給水車が来る | 公的リストでは水の備蓄が基本 | 給水拠点が徒歩圏 | 断水17日想定・運搬困難な高層階 | △条件付き |
| 手回しラジオ | 回すのが重労働 | 情報入手手段の確保は一貫して推奨 | 乾電池式ラジオを別途保有 | 電池切れ後の最終手段として | △条件付き |
| テント | 避難所に不要 | 避難所運営の公的指針が前提 | 都市部の在宅避難 | 車中泊・庭での避難生活 | △条件付き |
| ヘルメット | かさばる | 消防庁等が落下物対策を啓発 | ― | 家具・落下物リスクのある屋内外 | ◎必須級 |
| 寝袋 | 場所を取る | 避難生活の環境確保が制度上の課題に | 通年温暖・寝具を持ち出せる | 冬季・停電中の在宅避難 | ◎在宅避難なら必須 |
| 簡易トイレ | 避難所で借りられる | 内閣府ガイドラインが設置基準を明記 | ― | 断水時は全世帯 | ◎必須 |
| 大容量ポータブル電源 | 高価・重い | 公的リストでは必須扱いではない | 停電が約4日で復旧する想定 | 医療機器使用・真夏/真冬 | △条件付き |
※「公的資料での扱い」は、内閣府ガイドライン・農林水産省ストックガイド・消防庁および自治体の啓発資料での言及状況を整理したものです。品目ごとの要否を公的機関が個別に判定しているわけではありません。
判定が逆転する3つの分岐点
「ランキング10」を一言でまとめると
内閣府は2024年12月、「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」と「避難生活における良好な生活環境の確保に向けた取組指針」を改定し、発災当初は避難者約50人あたり1基、長期化時は約20人あたり1基、女性用と男性用の割合を3対1とする目安を明記しました。避難所に行けばトイレが十分にある、という前提は成り立ちにくいことが、公的指針からも読み取れます。
離れて暮らす高齢親の家で、帰省30分でできる備えチェックリスト
| # | やること | 所要時間 | 根拠・参照 |
|---|---|---|---|
| 1 | お薬手帳をスマホで撮影し、家族で共有 | 2分 | 厚労省 事務連絡(2024) |
| 2 | 常用薬7日分を玄関の持ち出し袋に別置き | 5分 | 同上 |
| 3 | 処方箋なし調剤の特例を親に説明し、最寄り薬局の名称と電話をメモ貼付 | 5分 | 厚労省 事務連絡(2024) |
| 4 | 自治体窓口へ「個別避難計画」の作成状況を電話確認 | 5分 | 内閣府・消防庁 調査(2025) |
| 5 | 携帯トイレを1個開封し、実際に便器にセットして1回使う | 5分 | 東京都 広報東京都(2025) |
| 6 | 毎月1日・15日に171を親子で体験利用する約束をする | 2分 | NTT東日本(2025) |
| 7 | 寝室の家具転倒防止と就寝位置を確認 | 3分 | 消防庁等の啓発 |
| 8 | 寝室〜トイレ動線に停電時の足元灯を設置 | 2分 | ― |
| 9 | モバイルバッテリーの製造年・膨らみを点検(5年以上/膨張は使用中止) | 1分 | NITE(2025) |
| 10 | 薬・アレルギーを書いた緊急連絡カードを親の財布へ | 3分 | ― |
特に効く3項目の理由
薬の中断や変更は健康に直結します。備蓄日数や災害時の入手方法は自己判断で決めず、かかりつけの医師・薬剤師に事前に相談してください。慢性疾患・食物アレルギーのある方の備蓄については、農林水産省「災害時に備えた食品ストックガイド」(概要版は2025年3月に内容変更)に対象者別のガイドが整備されています。
備えを使える状態に保つ:点検と買い替えの基準
年2回の点検項目
- 水・食料の賞味期限を確認し、期限が近いものから日常で消費・補充する(ローリングストック)。
- 乾電池・モバイルバッテリーの残量と外観を確認する。
- 季節に合わせて防寒/防暑品を入れ替える。
- 家族の変化を反映する(子の成長、新たな持病、ペットの増減)。
- 携帯トイレの在庫数を数え直す(消費期限のある凝固剤もあります)。
買い替え・処分の判断基準
やってはいけないNG対応
停電時のろうそくは火災リスクがあります。明かりは電池式を基本にしてください。また、南海トラフ巨大地震については2025年3月31日に被害想定が約10年ぶりに見直され、最悪ケースで死者約29万8000人・経済的被害292兆2000億円と公表されました(内閣府 中央防災会議)。想定は更新されるため、備蓄計画も定期的に見直すことをおすすめします。




