防災グッズで本当に必要なものは、「水・食料・携帯トイレ・熱源・明かり」の5つです。中でも最優先は携帯トイレです。内閣府「防災に関する世論調査(令和7年8月調査)」(2025年)によると、3日分以上備蓄している割合は飲料水69.8%・食料品59.7%に対し、携帯・簡易トイレは27.5%と最下位でした。
一方で、日本トイレ研究所が能登町の仮設住宅で行った調査(東京新聞2026年7月2日報道)では、発災から3時間以内に54.7%の人が「トイレに行きたい」と感じています。最も早く必要になるのに、最も備えられていないのが携帯トイレです。
この記事は「品目リスト」ではなく、公的な計算式で必要量を数字に確定させることを目的にしています。あなたの家にあと何個・何リットル足りないかが、読み終わる頃には表で分かります。
買い足す順番は「①携帯トイレ →②水 →③食料と熱源 →④明かりと情報 →⑤衛生・医療」です。備蓄率が低い順=世間の盲点である順に埋めるのが、最短で穴をふさぐ方法です。
結論:まず何をすべきか?最優先は携帯トイレの個数確定です
最初にやるべきことは、携帯トイレを「1人1日5個×日数×人数」で計算し、自宅の在庫との差を数えることです。4人家族なら3日分で60個、1週間分で140個が目安になります。
内閣府(防災担当)「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」(平成28年4月策定・令和4年4月改定)では、トイレの平均的な使用回数を1日5回を一つの目安として、備蓄や災害時用トイレの確保計画を作成することが望ましいとされています。この「5回」が、家庭備蓄の計算の土台になります。
東京都「自宅での避難生活に役立つ今すぐできる防災アクション もしもの時に困らないトイレの備蓄」(2025年)でも、携帯トイレは「1日5個×3日分×家族の人数」が最低ラインで、1週間分が推奨と示されています。経済産業省「トイレ備蓄 忘れていませんか」(2025年)は1人あたり35回分(7日分)を目安として啓発しています。
なぜ水や食料より先にトイレなのですか?
排せつは我慢ができず、水や食料より先に必要になるからです。前述の能登町調査では6時間以内に88.3%が尿意を感じており、備蓄率は災害用トイレ20.6%(飲料水43.3%・食料品37.6%)でした。
しかも、トイレを我慢するために水分や食事を控えると、脱水・エコノミークラス症候群・便秘などの体調悪化につながるとされています。飲食と排せつはセットで考える必要があります。
今日中にできる3ステップ
- 家族の人数 × 5個 × 3日 = 最低必要個数を電卓で出す(4人なら60個)
- 押し入れの在庫を数え、差分をメモする
- 差分のうち、まず3日分を注文する。余裕があれば7日分(4人なら140個)まで伸ばす
携帯トイレは「便器にかぶせて使う袋+凝固剤」が基本形です。断水中に水を流して代用しようとすると、後述のとおり集合住宅では下階への漏水事故につながる恐れがあります。まず個数を確保してください。
防災グッズ本当に必要なものリスト|必要量ぜんぶ計算表(1週間版)

必要量は品目ごとに公的な計算式があります。水は1人1日3L、携帯トイレは1人1日5個、カセットボンベは1人1週間6本が基本の3つです。世帯構成別に必要量をまとめました。
| 品目 | 公的計算式 | 根拠出典 | 一人暮らし(1人) | 夫婦(2人) | 4人家族(大人2+子2) | 離れて暮らす高齢親1人に送る分 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ①飲料+調理水 | 3L×7日×人数 | 農林水産省 aff 2016年9月号 | 21L | 42L | 84L | 21L(2Lボトル×11本相当) |
| ②主食(米・アルファ米) | 1食0.5合(75g)換算/米2kg=約27食 | 農林水産省 aff 2016年9月号 | 米2kg(約27食)で足りる | 米2kg×2袋 | 米2kg×3袋+アルファ米 | 米2kg1袋+湯不要のアルファ米 |
| ③カセットボンベ | 6本×1週間×人数(1本約60分) | 農林水産省「災害時に備えた食品ストックガイド」関連 | 6本 | 12本 | 24本 | 6本(コンロ本体の使用可否を要確認) |
| ④携帯トイレ | 5個×7日×人数(3日なら5×3×人数) | 内閣府ガイドライン/東京都(2025) | 35個(3日=15個) | 70個(3日=30個) | 140個(3日=60個) | 35個(親宅に置く) |
| ⑤トイレットペーパー | 1ロール×1週間×人数(約1か月分推奨) | 経済産業省「トイレットペーパーを備蓄しましょう!」 | 4〜5ロール | 8〜10ロール | 16〜20ロール | 4〜5ロール |
| ⑥常備薬 | 7日分+お薬手帳のコピー | 農林水産省「要配慮者のための食品ストックガイド」等 | 7日分 | 7日分×2人 | 7日分×4人(子の解熱剤も) | 7日分+手帳コピー+服薬メモ |
全国の備蓄率(3日分以上)との照合 — 内閣府「防災に関する世論調査(令和7年8月調査)」(全国18歳以上3000人対象、2025年8〜9月実施)によると、飲料水69.8%・食料品59.7%・衛生用品38.7%・携帯/簡易トイレ27.5%です。あなたの抜けは、たいてい世間の抜けと同じ場所にあります。上の表で「④携帯トイレ」の行が空欄なら、それが最優先の買い足し対象です。
水と食料は「3日」か「1週間」か
結論は最低3日分、できれば1週間分です。農林水産省「災害時に備えた食品ストックガイド」(2024年)は、ライフライン復旧に1週間以上を要するケースが多く、支援物資が3日以上到着しない事態も想定されるとして、3日〜1週間分×人数分の家庭備蓄が望ましいとしています。
中央防災会議の南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループ「最大クラス地震における被害想定について」(2025年3月31日公表)では、断水・停電が被災1週間後も広域で継続する想定が示されました。厚生労働白書(令和6年能登半島地震の特集)によれば、能登半島地震では北陸地方で一時最大約13万戸が断水し、1月末時点でも約8,500戸で断水が続いていました。
米は水と熱源があれば強力な備蓄食です。農林水産省 aff 2016年9月号によると、米2kg(1袋)は約27食分になります。乾麺・レトルト・缶詰と組み合わせれば、特別な非常食を大量に買わなくても1週間分は組めます。
ローリングストックで「賞味期限切れ」を防ぐ
買った物を日常的に食べて買い足す方式にすれば、期限切れの廃棄を防げます。レトルトご飯・缶詰・乾麺・野菜ジュースは月1回のペースで消費し、消費した分だけ買い足すと在庫が一定に保たれます。
携帯トイレも同じ発想で、凝固剤の保存期間(製品により5〜15年)をメモして冷暗所に保管し、期限が近いものからキャンプや車中泊で使ってしまうと無駄がありません。
主な原因を深掘り|なぜ「必要なもの」を買い間違えるのか
買い間違いの主因は「品目リストで満足し、必要量を数えていない」ことです。加えて、情報源の多くが物販企業発信であるという構造的な偏りがあります。
原因1:リストは品目までしか教えてくれない
多くの記事は「携帯トイレ」と品目名を挙げて終わります。個数の計算式がないため、5個入りを1袋だけ買って安心してしまいます。4人家族の3日分は60個ですから、5個入り1袋では必要量の12分の1です。
原因2:時間軸の視点が抜けている
カテゴリ別リストは「いつ必要になるか」を教えてくれません。実際には、発災後の経過時間で必要な物が入れ替わります。
| 経過時間 | 起きること | 最優先の備え |
|---|---|---|
| 0〜3時間 | 揺れ・停電・安否確認。能登町調査では54.7%がこの時間内に尿意 | 明かり(ヘッドライト)、携帯トイレ、スマホの電池 |
| 3時間〜3日 | 断水・停電が継続。支援物資は届きにくい | 水3L/日、携帯トイレ5個/日、常温で食べられる食品 |
| 3日〜1週間 | 物流と生活の立て直し。衛生環境が悪化 | カセットボンベ、トイレットペーパー、ウェットシート、常備薬 |
出典:日本トイレ研究所調査(東京新聞2026年7月2日報道)、農林水産省「災害時に備えた食品ストックガイド」(2024年)
原因3:情報源にポジションがある
ネット上でよく見る「防災グッズでいらなかったものランキング」は、ポータブル電源メーカー(Jackery、EcoFlowなど)が発信元である例が少なくありません。ロープやテントを「不要」側に置き、自社製品を「必要」側に置く構成は、参考にはなっても中立ではありません。
「いらないもの」の判断は、住居・避難方針・同居者で変わります。他人のランキングをそのまま採用せず、次章の判定チャートで自分の条件に当てはめてください。
原因別の見分け方|そのグッズ、あなたには本当に必要か判定チャート
必要・不要は品物ではなく「住居 × 避難方針 × 同居者」の3条件で決まります。よく「いらない」と言われる10品を、この3分岐で振り分けます。
Q1. 住まいはどれですか? → ①戸建て ②マンション5階以上 ③木造住宅密集地域 Q2. 避難方針は? → A在宅避難 B指定避難所へ行く Q3. 同居者は? → 乳幼児 / 高齢者 / ペット / なし
| 品目 | 判定 | 根拠(1行) |
|---|---|---|
| 携帯トイレ | Q1②×Q2A=必須 / それ以外も原則必須 | 高層階は排水管の安全確認前に流せず、代替手段がないため |
| ヘルメット | Q1③=必須 / Q1②(RC造)=条件付き | 木造密集地域は倒壊物・落下物リスクが高いため |
| ポータブル電源 | 在宅避難×医療機器・乳幼児あり=必須 / 避難所前提=不要 | 避難所には電源があることが多く、重量が持ち出しに不向きなため |
| 手回しラジオ | 20,000mAhモバイルバッテリー×2個保有=不要 / FM非対応スマホ=条件付き必須 | 情報取得はスマホで代替可、ただしラジオ機能の有無で分岐するため |
| ヘッドライト | 全条件=必須 | 両手が空くため。片手がふさがる懐中電灯は作業に不向き |
| 寝袋 | Q2A(在宅)=不要(布団がある) / Q2B(避難所)=条件付き | 自宅の寝具が使えるかで価値が変わるため |
| テント | Q1①(庭あり)×車中泊想定=条件付き / Q1②=不要 | 集合住宅では設営場所がないため |
| ロープ | Q1①×自力での救助・固定を想定=条件付き / 一般家庭=不要 | 使う技術と場面が限定されるため |
| コンパス | ほぼ全条件=不要 | 生活圏の避難は地図アプリと事前の徒歩確認で足りるため |
| 浄水器 | 井戸・河川が近い戸建て=条件付き / 都市部マンション=不要 | 原水がなければ機能せず、備蓄水のほうが確実なため |
| カップ麺 | 熱源(カセットコンロ)保有=条件付き可 / 熱源なし=不要 | 湯がなければ食べにくく、水戻しは時間と食味の難があるため |
マンション5階以上の在宅避難が最大の分岐です
地震のあと、排水管の健全性が確認できるまでトイレを流さないのが原則とされています。見た目に異常がなくても配管が破損していると、流した水が下階の天井や壁から漏れる、あるいは逆流する事故につながる恐れがあります。
つまり高層階では、携帯トイレは「あれば便利」ではなく唯一の手段になります。管理組合の防災マニュアルや、被災時の排水制限の連絡方法(掲示・館内放送など)を今のうちに確認しておくと安心です。
一戸建てでも「宅内の排水管や公共下水道が無事か」が分からない間は同じです。自治体からの断水・下水道被害の情報が出るまでは、携帯トイレを使うのが安全側の判断です。
具体的な解決方法|今日から1週間でそろえる手順
最短の手順は「①計算 →②携帯トイレ →③水 →④食料と熱源 →⑤補助金の確認」の5ステップです。1週間あれば実行できます。
- 必要量を計算する(15分) — 前掲の計算表に家族の人数を当てはめ、6品目の必要量を紙に書き出します。
- 携帯トイレを買う(当日) — 3日分(1人15個)を最優先。日本トイレ協会の規格適合品を選ぶと性能表示の裏付けがあります。
- 水を確保する(2日目) — 2Lペットボトル中心に。4人家族の1週間分84Lは2L×42本=6本入り7ケースが目安です。玄関・寝室・車と分散保管すると取り出しやすくなります。
- 食料と熱源を整える(3〜4日目) — 米・レトルト・缶詰でローリングストック。カセットコンロ本体とボンベ(4人1週間で24本)をセットで用意します。
- 明かり・情報・衛生(5日目) — ヘッドライト人数分、モバイルバッテリー、ウェットシート、トイレットペーパー(1人1週間1ロール、約1か月分推奨)。
- 補助金を確認する(6〜7日目) — 自治体名+「防災用品 補助金」で検索します。
自治体の購入補助金を使えば実費が下がります
防災用品の購入費を補助する自治体があります。八王子市では2026年7月1日〜12月25日に市内販売店等で購入・設置した携帯トイレや感震ブレーカー等を対象に最大1万円の補助が実施されています(市内に住民登録のある世帯主が申請可能)。高知県香美市では災害用トイレ等購入費補助金として、市内に住所を有する世帯の初回購入分に上限15,000円の補助があります。
制度は年度・予算・受付期間で変わります。申請前に、必ずお住まいの自治体の公式ページで対象品目・期間・申請方法をご確認ください。「購入後に申請」型が多く、領収書とレシートの保管が条件になることが一般的です。
収納は「分散」が基本です
1か所にまとめると、そこが被災すると全滅します。玄関(持ち出し袋)、寝室(明かり・靴・ヘルメット)、キッチン(水・食料)、トイレ付近(携帯トイレ)、車(車中泊セット)の5か所に分けると、どこかが使えなくても復旧できます。
携帯トイレは100均でもいい?買う前チェック表
結論は「用途を限れば100均も可。ただしメイン備蓄は性能表示のある製品を選ぶ」です。凝固剤の性能と保存期間は製品差が大きく、価格だけで比べると失敗します。
| 種類 | 日本トイレ協会 規格適合 | 凝固剤の保存期間 | 吸収・防臭性能の表示 | 1回あたり実質単価の見方 | 便器以外(車中泊・屋外)での使用 | 補助金の対象 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 100円ショップの携帯トイレ | 原則なし | 表示がない製品もある | 表示なしが多い | 税込価格÷入数で算出。入数が少なく割高になる場合あり | 製品による(袋の強度と容量を要確認) | 自治体により対象外の場合あり |
| ホームセンターの汎用セット | 製品により異なる | 5年程度が中心 | 一部表示あり | 大容量パックは1回あたりが下がりやすい | 可の製品が多い | 対象になりやすい |
| 日本トイレ協会 規格Ver.1.0 適合品 | あり(推奨マーク) | 5〜15年(防災製品等推奨品で常温未開封15年の例) | 構造・吸収性能・表示が必須、防臭は任意項目 | 単価は高めだが性能の裏付けがある | 適合品は使用条件が明記される | 対象になりやすい |
| 自治体補助金の対象品 | 自治体の指定による | 指定による | 指定による | 補助適用後の実質単価で比較する | 指定による | 対象(上限額あり) |
出典:一般社団法人日本トイレ協会「携帯トイレに関する規格適合評価」(規格Ver.1.0、適合製品リストは2026年5月27日更新)
品質を見分ける4つの評価項目
日本トイレ協会の規格適合評価は、構造(必須)・吸収性能(必須)・防臭性能(任意)・表示(必須)の4項目で評価され、適合製品リストと推奨マークが公開されています。パッケージに「何分で固まるか」「1回あたりの吸収量」「保存期間」が書かれているかが、まず見るべきポイントです。
制度は現在進行形で整備中です。経済産業省は「災害時に活用する携帯・簡易トイレの適切な普及に向けた検討会」を開催し、携帯・簡易トイレの区分・性能のJIS化と避難所での適切な活用促進を検討しています(第2回資料は令和8年3月23日付)。2026年時点ではJISはまだ検討段階で、現状の客観基準は協会規格が中心です。
100均で買ってよいもの/慎重に選ぶもの
買ってよい — 圧縮タオル、給水袋、ウェットシート、アルミブランケット、ホイッスル、ポリ袋、紙皿・ラップ。消耗品で性能差が出にくく、数をそろえる価値があります。
慎重に選ぶ — 凝固剤入りの携帯トイレとLEDライト。前者は吸収量・固化時間・保存期間の表示があるか、後者は明るさ(ルーメン)と連続点灯時間の表示があるかを確認してください。表示のない製品は、いざというときの性能が読めません。
100均は「量でカバーする消耗品」に向き、「性能が命綱になる品」には向きません。携帯トイレは規格適合品をメインに、100均品は車載用の予備など補助的な位置づけにするのが現実的です。
ケース別の対処|一人暮らし・4人家族・離れて暮らす高齢の親
必要なものは世帯によって変わります。一人暮らしは「軽さ」、4人家族は「量と分散」、高齢の親には「送る・置く・練習する」が設計の軸です。
一人暮らしの場合
押し入れの1段に収まる量から始めます。水21L(2L×11本)、米2kg、携帯トイレ35個、カセットボンベ6本、ヘッドライト1つ、モバイルバッテリー1つ。ワンルームでも、ベッド下と玄関収納に分散できます。
農林水産省「家庭備蓄ポータル」(2025年)では単身者向けのガイドも公開されており、少量から始める考え方が示されています。
4人家族(大人2+子ども2)の場合
量が一気に増えるため保管場所の分散が最大の課題になります。水84L、携帯トイレ140個(3日なら60個)、ボンベ24本。子どもの成長で必要品が変わるので、年2回(3月と9月など)の点検日を決めておくと管理しやすくなります。
乳幼児がいる場合は液体ミルク・使い捨て哺乳ボトル・おむつ・おしりふきを追加します。おむつは1日あたりの使用枚数×7日で計算してください。
離れて暮らす高齢の親の場合
同居家庭向けの記事では抜けやすい論点です。「送る・置く・練習する」の3点で設計します。
- 送る — 常備薬7日分に加え、お薬手帳のコピー(または服薬内容の写真)を防災袋に入れておきます。親が自分で説明できない状況を想定した備えです。
- 置く — 親宅に携帯トイレ35個(1週間分)を置きます。高齢になるほどトイレの回数と移動の負担が増えるため、寝室近くに置くのが実用的です。
- 練習する — 災害用伝言ダイヤル(171)・災害用伝言板(web171)は毎月1日・15日などに体験利用日が設定されています(NTT東日本、2025年)。平時に一度かけてみるだけで、当日の成功率が大きく変わります。
農林水産省は「要配慮者のための災害時に備えた食品ストックガイド」を公開しており、高齢者・慢性疾患・食物アレルギーのある方向けの備蓄の考え方が整理されています。
持病のある方の常備薬は、種類によって備蓄可能な日数や保管条件が異なります。備蓄量については、かかりつけの医師・薬剤師にご相談ください。
予防・再発防止のコツ|「買って終わり」にしない年2回の点検
備蓄は買った日から劣化が始まります。年2回の点検日を決め、期限・電池・家族構成の変化の3点を確認するのが最も確実な再発防止策です。
点検日を「防災の日」と「年度替わり」に固定する
9月1日(防災の日)と3月11日、あるいは年度替わりの4月。カレンダーに繰り返し予定として登録しておくと忘れません。点検は15分で終わります。
- 食料と水の賞味期限を確認し、期限が近い分を今週の食卓に回す
- 懐中電灯・ヘッドライト・ラジオの電池を入れ替え、点灯を確認する
- 携帯トイレの凝固剤の保存期間(5〜15年)と個数を数え直す
- 家族構成の変化(子の成長、親の同居、ペット)に合わせて品目を足す
- 171の体験利用日(毎月1日・15日など)に家族で1回練習する
「使ったことがある」状態にしておく
携帯トイレもカセットコンロも、初回は手間取ります。平時に1回だけ使ってみると、袋のかぶせ方や凝固の速さ、におい対策の要否が体感で分かります。キャンプや車中泊の機会に消費すれば、ローリングストックにもなります。
防災は「買う」より「回す」ほうが難しく、そして重要です。年2回の点検日と、期限が近い物から日常で使い切る仕組みがあれば、備蓄は自然に最新の状態を保てます。
専門家・公的情報の見解|数字はどこを見ればよいか
信頼できる数字は内閣府・農林水産省・経済産業省・東京都などの一次情報にまとまっています。物販サイトの記事より、まずこちらを確認してください。
「トイレの平均的な使用回数は1日5回を一つの目安として、備蓄や災害時用トイレの確保計画を作成することが望ましい」— 内閣府(防災担当)「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」(平成28年4月策定・令和4年4月改定)
主な参照先は次のとおりです。
- 内閣府「防災に関する世論調査(令和7年8月調査)」(2025年、速報値は同年10月17日公表、確報の集計表は同年12月24日掲載) — 備蓄率の全国データ
- 農林水産省「家庭備蓄ポータル」「災害時に備えた食品ストックガイド」(2024年) — 水・食料の必要量と要配慮者向けガイド
- 経済産業省「トイレ備蓄 忘れていませんか」(2025年) — 携帯トイレ35回分・トイレットペーパー1か月分の目安
- 一般社団法人日本トイレ協会「携帯トイレに関する規格適合評価」(規格Ver.1.0) — 適合製品リスト(2026年5月27日更新)
- 東京都「もしもの時に困らないトイレの備蓄」(2025年9月) — 都民の備蓄率約23%、2030年度までに50%の目標
行政の体制も変わりつつあります
「防災庁」設置法が成立し、政府は2026年11月の発足を目指しています(日本経済新聞、2026年6月報道)。内閣府防災担当を格上げし、復興庁・デジタル庁と同格の内閣直属組織となる方向です。今後、家庭備蓄に関する指針や周知の窓口が変わる可能性があるため、最新情報は各省庁・自治体の公式サイトでご確認ください。
東京都の広報(2025年9月)によると、首都直下地震では発災後1週間以内に最大約5万7千基のトイレが不足すると想定されています。公的な支援が届くまでの時間を、家庭の携帯トイレで埋める必要があるという意味です。
やってはいけないNG対応
避けるべきは「断水中に水で流す」「持ち出し袋を重くしすぎる」「期限を確認しない」の3つです。いずれも実際に困りごとにつながりやすい行動です。
NG1:排水管の安全確認前にトイレを流す
地震後、配管の健全性が確認できていない段階で流すと、下階への漏水や逆流を招く恐れがあります。特に集合住宅では影響が他の住戸に及びます。自治体や管理組合から使用可の連絡が出るまでは携帯トイレを使ってください。
NG2:持ち出し袋を詰め込みすぎる
背負って階段を降りられない重さでは意味がありません。実際に背負って玄関から出る動作を試すのが唯一の確認方法です。重い水と大量の携帯トイレは在宅備蓄側に置き、持ち出し袋には1〜2日分を入れます。
NG3:ランキングをそのまま真似る
「いらなかったものランキング」の多くは、発信元の立場と回答者の住環境が反映されています。木造密集地域の人にとってのヘルメットと、RC造マンション高層階の人にとってのヘルメットでは優先度が違います。自分の条件で判定してください。
NG4:期限と電池を放置する
凝固剤にも保存期間があり、製品により5〜15年と幅があります。乾電池の液漏れは機器を壊します。年2回の点検で防げます。
本記事の数値は、記載した公的資料の公表時点の内容にもとづくものとされています。制度・補助金・被害想定は更新されることがあります。実際の備えを決める際は、お住まいの自治体および各省庁の最新情報をご確認ください。
まとめ|次にやること
防災グッズで本当に必要なものは、水・食料・携帯トイレ・熱源・明かりの5つです。中でも携帯トイレは全国備蓄率27.5%と最下位でありながら、発災3時間以内に54.7%が必要とする、最も早く効いてくる備えです。
今日やることは1つだけです。家族の人数 × 5個 × 3日を計算し、自宅の在庫との差を数えてください。4人家族なら60個。足りない分を注文したら、次は水84L、その次にカセットボンベ24本と進みます。
そのうえで、お住まいの自治体に防災用品の購入補助金がないかを確認すると、実費を下げられます。持病のある方の常備薬や医療的ケアが必要なご家族の備えについては、かかりつけの医師・薬剤師や自治体の福祉窓口にご相談ください。
①携帯トイレの個数を計算する ②水3L×7日×人数を確保する ③熱源と明かりをそろえる ④年2回点検する ⑤171を家族で練習する。この5つで、家庭備蓄の骨格は完成します。
よくある質問
防災グッズ 本当に必要なもの ランキングの1位は何ですか?
備えの緊急度で見れば1位は携帯トイレです。内閣府「防災に関する世論調査(令和7年8月調査)」で3日分以上の備蓄率が27.5%と最も低く、一方で日本トイレ研究所の能登町調査では発災3時間以内に54.7%が尿意を感じています。2位は水(1人1日3L)、3位は熱源(カセットボンベ)と明かりです。
防災グッズ 本当に必要なもの 100 均でそろえてよいですか?
消耗品は可、性能が命綱になる品は慎重にというのが基準です。圧縮タオル・給水袋・ウェットシート・ポリ袋は100均で十分に役立ちます。一方、凝固剤入りの携帯トイレとLEDライトは、吸収量・固化時間・保存期間・明るさ(ルーメン)などの性能表示があるものを選んでください。日本トイレ協会の規格適合品なら構造・吸収性能・表示の評価を通っています。
防災グッズ 本当に必要なもの イラストや図解はどこで手に入りますか?
自治体と省庁が無料のイラスト入り資料を公開しています。農林水産省「家庭備蓄ポータル」には図解入りのストックガイド(単身者向け・要配慮者向けを含む)があり、内閣府や東京都も備蓄品のイラスト付きチェックリストを配布しています。冷蔵庫に貼れる形式のものが多く、家族で共有するのに向いています。
携帯トイレは3日分と1週間分のどちらをそろえるべきですか?
最低3日分、推奨は1週間分です。東京都の広報(2025年)は「1日5個×3日分×家族の人数」を最低ラインとし、1週間分を推奨しています。経済産業省も1人あたり35回分(7日分)を目安に啓発しています。4人家族なら3日分60個、1週間分140個が目安です。
防災用品の購入に補助金は出ますか?
自治体によっては出ます。八王子市は2026年7月1日〜12月25日の購入・設置分について携帯トイレや感震ブレーカー等を対象に最大1万円、高知県香美市は災害用トイレ等の購入費に上限15,000円の補助を実施しています。対象品目・期間・申請方法は自治体ごとに異なり、領収書の保管が必要な場合が一般的です。お住まいの自治体名と「防災用品 補助金」で検索してご確認ください。
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最終確認日:2026年8月12日|本記事は内閣府・農林水産省・経済産業省・東京都・日本トイレ協会等の公表資料にもとづいて作成しています。制度や被害想定は更新されることがあります。ご自身の状況に応じた判断については、自治体の防災担当窓口や、医療に関わる事項はかかりつけの医師・薬剤師にご相談ください。




