台風の前日にやることは、「①情報 → ②判断 → ③物資 → ④住まい → ⑤別居の親 → ⑥翌日以降の証拠」の6レイヤーを、風が弱い明るいうちに順番に片付けることに尽きます。ただし2026年5月29日から防災気象情報の名前が変わりました。去年の記憶のまま「土砂災害警戒情報」を待っていると、その名前はもう発表されません。
この記事では、家族・一人暮らし・別居の高齢親・ポンプ式マンションという4つの世帯タイプごとに、前日24時間の動き方を時間帯別のタイムライン表で示します。一般論のチェックリストではなく、自分の条件に合う前日の段取りが手に入る形にまとめました。
前日にやることの優先順位は「①避難するかを決める → ②外回りを日没前に終える → ③停電・断水の備え → ④別居の親への連絡」です。迷ったら、まず国土交通省の重ねるハザードマップ(https://disaportal.gsi.go.jp/)で自宅の色を確認するところから始めてください。
台風 前日 準備の結論:まず「情報の名前」と「避難の要否」を確定させる
台風の前日にまずやるべきは、自宅が在宅避難できる場所かをハザードマップで確認し、同時に「何という名前の情報を待つのか」を頭に入れ直すことです。この2つが決まらないと、買う物も動き出す時刻も定まりません。
気象庁「新たな防災気象情報について(令和8年~)」(2026)によると、2026年5月29日から河川氾濫・大雨・土砂災害・高潮の4災害について情報名に警戒レベルの数字が付き、レベル4に「危険警報」が新設されました。従来の「土砂災害警戒情報」は「レベル4土砂災害危険警報」に、「大雨警報」は「レベル3大雨警報」になっています。前日の判断は、この新しい名前を基準に組み立ててください。
前日に押さえる6レイヤーは次のとおりです。上から順に手を付けると手戻りがありません。
- 情報: 新名称で何を待つかを確認する(レベル3警報/レベル4危険警報/気象防災速報)。
- 判断: 避難の要否、計画運休・休校・出社・買い物・給油をいつ決めるかを固める。
- 物資: 飲料水・食料・電源・明かり・薬を、明るいうちに買い足す。
- 住まい: 飛散物の撤去、窓の補強、側溝の掃除、車の移動を日没前に終える。
- 別居の高齢親: 個別避難計画の有無、医療機器の停電対策、薬の残量、171の使い方を共有する。
- 翌日以降の証拠: 罹災証明書・火災保険の請求に備え、被害前の家の写真を撮っておく。
前日の最優先は「避難するかしないかを決めること」。そして今年からは「待つべき情報の名前が変わったこと」を家族全員で共有することが、同じくらい重要になりました。
以降では、この6レイヤーを時間帯別のタイムライン表に落とし込み、新旧の情報名の対応表、浴槽への貯水を判断するフローチャート、別居の親向けタスク、前日に撮る写真の順に解説します。
【独自】台風前日T-24hタイムライン表(世帯タイプ別)

前日の動き方は、「何時に、何を根拠に、何をするか」を1枚に固定しておくと迷いが消えます。ここでは前日朝から当日朝までを4区切りにし、根拠にする情報源と世帯タイプ別の追加タスクまで対応させました。
印刷またはスクリーンショットで手元に残せる形にしています。記事末にコピペ用のテキスト版も置きました。
| 時間帯 | (A)やること | (B)根拠にする情報・情報名 | (C)所要時間 | (D)世帯タイプ別の追加タスク |
|---|---|---|---|---|
| 前日 朝〜昼<br>(T-24〜T-16h) | ハザードマップで自宅の色を確認/避難の要否を決定/買い出しと給油/現金をおろす/勤務先・学校へ翌日の方針を確認 | 気象庁の台風進路予報・暴風域に入る確率/重ねるハザードマップ/鉄道各社の計画運休(24時間前に運転計画) | 3〜4時間 | 乳幼児あり: 液体ミルク・おむつを1週間分に増やす<br>一人暮らし: 家族へ「在宅か避難か」を連絡<br>別居の高齢親: 電話で実家のハザードマップを一緒に確認<br>ポンプ式マンション: この時間帯に生活用水を容器へ貯める |
| 前日 夕方<br>(T-16〜T-8h) | ベランダ・庭の飛散物を屋内へ/雨戸・シャッターを閉める/側溝・排水溝の掃除/車を高い場所へ移動/家の全景4面と屋根・外壁・給湯器を撮影 | 気象庁の風速予報(平均30〜35m/sでトラック横転・屋根材飛散)/自治体の避難所開設情報 | 2〜3時間 | 乳幼児あり: 抱っこひもを持ち出し袋の上に置く<br>一人暮らし: 玄関に持ち出し袋を配置<br>別居の高齢親: 明るいうちの避難を促す(レベル3相当で開始)<br>ポンプ式マンション: エレベーター停止を前提に上階の買い物を完了 |
| 前日 就寝前<br>(T-8〜T-2h) | スマホ・モバイルバッテリー・ポータブル電源を満充電/浴槽貯水の可否を判断(後述のフローチャート)/冷蔵庫を強に/懐中電灯を枕元へ/ブレーカー位置の確認/貴重品を2階へ | 気象庁のレベル3警報・レベル4危険警報の発表状況/自治体の高齢者等避難・避難指示 | 1時間 | 乳幼児あり: 浴槽に貯水しない判断を優先<br>一人暮らし: モバイルバッテリー2個を確保<br>別居の高齢親: 171の使い方を電話で復習<br>ポンプ式マンション: 停電=即断水を家族に共有 |
| 当日 朝の最終確認<br>(T-2h〜) | 避難情報の再確認/外出の中止判断/窓から離れた部屋へ移動/断水前に容器へ追加給水 | 気象防災速報(線状降水帯直前予測・発生の2〜3時間前目標)/レベル4危険警報/レベル5特別警報 | 15分 | 乳幼児あり: ミルクの調乳用湯を魔法瓶へ<br>一人暮らし: SNS等で安否を発信<br>別居の高齢親: 電話が輻輳する前に一度連絡<br>ポンプ式マンション: 揚水ポンプ停止に備えトイレ用水を確保 |
国土交通省「鉄道の計画運休の実施についての取りまとめ」(2019)では、実施予定時刻の48時間前に実施の可能性を、24時間前に詳しい運転計画を情報提供することが望ましいと整理されています。つまり前日の朝には翌日の運転計画がほぼ出そろうため、出社・登校・帰省の判断はこのタイミングで固められます。
表の時刻はあくまで目安です。台風の速度や進路によって暴風域に入る時刻は前後します。実際の行動時刻は、お住まいの自治体と気象庁の最新情報で必ず調整してください。
【重要】2026年5月から情報の名前が変わりました|新旧対応表
2026年5月29日以降、去年までの名前で情報を待っていると気づけない可能性があります。気象庁「新たな防災気象情報について(令和8年~)」(2026)によると、河川氾濫・大雨・土砂災害・高潮の4災害で情報名に警戒レベルの数字が付き、レベル4に「危険警報」が新設されました。
前日のうちに、家族で「待つべき言葉」を揃えておいてください。
| 2026年5月28日までの名称 | 現在の名称(2026年5月29日〜) | 前日〜当日にとる行動 |
|---|---|---|
| 大雨注意報 | レベル2 大雨注意報 | 持ち出し袋の最終点検、避難経路の確認 |
| 大雨警報 | レベル3 大雨警報 | 高齢者等避難と同レベル。高齢の親に電話し、避難を開始してもらう |
| 土砂災害警戒情報 | レベル4 土砂災害危険警報 | 危険な場所から全員避難を完了させる |
| 氾濫危険情報 | レベル4 氾濫危険警報 | 河川近くは避難完了。移動が危険なら垂直避難へ切替 |
| 大雨特別警報 | レベル5 大雨特別警報 | すでに災害が発生している段階。命を守る最善の行動をとる |
| (新設) | 気象防災速報(線状降水帯直前予測) | 発生の2〜3時間前を目標に一次細分区域単位で発表。外出中なら即座に屋内退避 |
内閣府(防災担当)「避難情報に関するガイドライン」は令和8年3月に改定され、新しい防災気象情報に対応するとともに、警戒レベル5は他とは異なる段階であることから「警戒レベル4までに必ず避難」と明記されました。前日準備のゴールは、レベル4が出る前に避難または在宅避難の態勢を完了させることです。
気象庁報道発表(令和8年3月10日)によると、「気象防災速報(線状降水帯直前予測)」は令和8年5月下旬から運用が始まり、線状降水帯の発生の2〜3時間前を目標に発表されます。なお、半日程度前に市町村単位で把握できる格子形式の分布図の提供は令和11年からの予定とされています。
名前が変わったのは「情報の呼び方」であって、危険度の考え方そのものではありません。数字(レベル)で覚え直すのが最も混乱しにくい方法です。レベル3で高齢者等避難、レベル4までに全員避難、と覚えてください。
【独自】台風前日、お風呂に水を張っていいか?判定フローチャート
「浴槽に水をためる」は台風前日の定番ですが、全世帯に無条件でおすすめできる対策ではありません。家族構成と住まいの給水方式によって、正解が変わります。前日のうちに次の3分岐で判断してください。
分岐1:家に0〜5歳の子どもがいますか?
- はい → 浴槽への貯水は行わないのが安全側の判断です。消費者庁「御家庭内での子どもの溺水事故に御注意ください!」(2021)は、子どもの溺水事故防止のため、入浴後はお風呂の水を抜く、浴室にベビーゲートを設置する、洗濯機や洗面器・バケツに水を溜めたままにしないよう呼びかけています。台風対策で水を張ると、この注意喚起と真逆の状態を作ることになります。
- どうしても生活用水が必要な場合は、浴槽ではなく別容器に移してください。飲料用ポリタンク、給水バッグ、フタ付きのバケツ、洗濯機の給水などが代替になります。やむを得ず浴槽に張る場合は、必ずフタをして浴室ドアを施錠し、大人が常時管理できる状態を保ってください。
- いいえ → 分岐2へ
分岐2:住まいはポンプ加圧式のマンション(受水槽+ポンプ/直結増圧)ですか?
- はい → 台風が来てからでは間に合いません。前日の日中のうちに貯水を完了させてください。 大阪市水道局「停電によるビル・マンション等の断水に備えましょう」(2024)によると、停電で加圧ポンプが止まると、水道本管が断水していなくても建物内で水が出なくなります。停電=即断水です。
- あわせて、自分の建物が高架水槽方式(屋上タンクに水を溜める方式で停電後もしばらく出ることがある)か、直結増圧方式かを管理会社に確認しておくと、前日の貯水量の見当がつきます。
- いいえ(戸建て・低層で本管直結) → 分岐3へ
分岐3:高齢者・要介護者と同居していますか?
- はい → 浴槽に張るなら、汲み出し用の柄杓とバケツを浴室の外に置いてください。 浴槽の縁をまたいで水を汲む動作は転倒リスクが高く、断水時に何度も繰り返す作業になります。浴室内で作業を完結させない配置が安全です。
- いいえ → 通常どおり浴槽への貯水が有効です。 ただし翌朝、断水しなかった場合は早めに水を抜いてください。
必要な水量の目安(各分岐の共通事項)
| 用途 | 必要量の目安 | 3人家族・3日分の換算 |
|---|---|---|
| 飲料水 | 1人1日3L | 約27L(2Lペット14本相当) |
| トイレ1回 | 5〜8L | 1人5回×3人×3日で約225〜360L |
| 手洗い・洗顔等 | 適宜 | 浴槽1杯(約180〜200L)で補える範囲 |
内閣府 令和2年版 防災白書(2020)によると、令和元年東日本台風(台風第19号)では断水が最大約16.8万戸発生しました。断水は「起こるかもしれない」ではなく、大型台風では実際に広範囲で起きています。
断水対策として水を溜める行為は、小さな子どもにとっては別のリスクになります。「防災のため」という理由があっても、乳幼児がいる家庭では浴槽貯水を優先しないでください。安全対策どうしが衝突する場面では、日常的に起こりやすいリスク(溺水)を先に潰すのが基本です。
停電への備えは「復旧が長引く前提」で組む
台風の停電対策で最も重要なのは、「数時間で戻る」前提を捨てることです。過去の大型台風では、復旧までに数日〜数週間を要した事例があります。
内閣府 令和2年版 防災白書(2020)によると、令和元年房総半島台風(台風第15号)では千葉市で最大瞬間風速57.5m/s(観測史上1位)を記録し、最大約93万4,900戸の大規模停電が発生しました。被害状況の確認や倒木処理に時間を要し、復旧が長期化しています。同じく令和元年東日本台風では停電が最大約52万戸に達しました。
前日にやる停電対策は次のとおりです。
- 満充電を徹底する: スマホ、モバイルバッテリー、ポータブル電源、ノートPC、電動アシスト自転車のバッテリー、モバイルWi-Fi。
- 明かりを分散配置する: LEDランタンや懐中電灯を1人1台。玄関・寝室・トイレに分けて置きます。ろうそくは転倒火災の危険があるため使わないでください。
- 冷蔵庫を強にして詰める: 保冷剤や凍らせたペットボトルを入れておくと保冷時間が延びます。停電時に扉を開けなければ冷えを保てる時間は約2〜3時間が目安とされます(設置場所や季節により変動します)。
- カセットコンロとボンベを確認する: 停電・ガス停止でも湯が沸かせます。ボンベの使用期限(製造から約7年が目安)も見ておきます。
- 車のガソリンを満タンにする: 全国石油商業組合連合会「満タン&灯油プラス1缶運動」(2025)は、災害時にガソリン・灯油が入手困難になることを避けるため、平時からの燃料備蓄を推奨しています。車はスマホの充電拠点にもなります。
- ブレーカーの位置を確認する: 避難時や停電時にブレーカーを落としておくと、復旧時の通電火災を防げます。
風速の目安も知っておく
気象庁「風の強さと吹き方」(2024)によると、平均風速30〜35m/sで走行中のトラックが横転し、固定の不十分な屋根の建材が飛散します。瞬間風速は平均風速の1.5倍程度ですが、大気の状態が不安定な場合は3倍を超えることもあります。予報で平均風速30m/s前後が示されたら、屋外作業はすべて前日の日中に終える判断をしてください。
気象庁報道発表(2023年6月26日)によると、2023年6月26日以降に発生する台風から進路予報の予報円が絞り込まれ、5日先の予報円の半径は最大40%小さくなりました。以前より早い段階で進路の見当がつくため、前日どころか2〜3日前から準備を始めやすくなっています。
【独自】別居の高齢親のために「前日にやること」
上位の解説記事は自宅の物理対策に集中しがちですが、実際に命に関わりやすいのは、離れて暮らす高齢の親側の準備です。内閣府 令和3年版 防災白書(2021)によると、令和2年7月豪雨の死者は84名で、その約8割が65歳以上でした。熊本県球磨村の特別養護老人ホーム千寿園では14名が犠牲になるなど、高齢者の被害割合が高くなっています。
前日の電話で確認すべきことを、優先順に整理しました。
1. 個別避難計画があるかを確認する
避難行動要支援者には、避難の支援者・避難先・移動手段を事前に定めた「個別避難計画」が作られている場合があります。内閣府・消防庁「避難行動要支援者名簿及び個別避難計画の作成等に係る取組状況の調査結果」(令和7年6月20日)(2025)によると、未作成の市町村は令和7年4月1日時点で50団体(2.9%)まで減少した一方、作成率80%超は253団体(14.5%)にとどまっています。つまり「制度はあるが、親の分が実際に作られているかは自治体差が大きい」状況です。前日に「計画書はあるか」「誰が迎えに来る手はずか」を口頭で確認してください。
2. 電源が必要な医療機器の停電対策を確認する
在宅酸素、人工呼吸器、吸引器、電動ベッドなどを使っている場合、停電は生命に直結します。福岡県「在宅で人工呼吸器を御使用の方及びその御家族等の方へ(停電への備え)」(2024)は、外部バッテリーを複数台常時充電しておくこと、電力会社への事前登録、業者・訪問看護師との連絡手段と避難先の共有を平時から行う必要があるとしています。前日には、バッテリーの充電状況と、機器業者・訪問看護ステーションの電話番号が親の手元にあるかを確認してください。
3. 処方薬の残量とお薬手帳を確認する
「あと何日分あるか」を具体的な日数で聞き取ります。残りが少なければ、前日の日中に受診・受け取りができるか薬局へ相談します。お薬手帳は持ち出し袋に入れるか、スマホで撮影して家族と共有しておくと、避難先での処方が円滑になります。
4. 電話がつながらない時の連絡手段を事前に決める
災害時は電話が輻輳し、つながりにくくなります。NTT東日本「災害用伝言ダイヤル(171)体験利用のご案内」(2025)によると、171・web171は毎月1日・15日、正月三が日、防災週間(8月30日9時〜9月5日17時)、防災とボランティア週間に体験利用でき、171は1伝言30秒、1電話番号あたり20伝言までという仕様です。「実家の固定電話番号をキーにして録音する」という約束を前日に確認しておくと、当日に迷いません。使い方に不安がある場合は、体験利用日に一度一緒に練習しておくのが確実です。
5. 明るいうちの避難を約束する
レベル3(大雨警報・高齢者等避難)の段階で移動を始めてもらうのが原則です。「暗くなる前に避難所へ」を合言葉に、前日のうちに移動手段(誰の車か、徒歩か)まで決めておいてください。
医療機器や在宅医療に関する判断は、必ずかかりつけ医、機器のレンタル業者、訪問看護ステーション、電力会社の案内に従ってください。本記事は一般的な確認項目の整理であり、個別の医療的助言ではありません。
【独自】台風「後」のために、前日に撮っておく写真
見落とされがちですが、前日に家の写真を撮っておくと、台風後の罹災証明書申請や火災保険(風災)の請求で大きく効きます。被害の前後を比較できる資料は、被害の程度を説明する材料になります。
内閣府「災害に係る住家の被害認定」(2024)によると、住家の被害認定(罹災証明書)の申請には、片付け・修理の前に建物の全景(周囲4面)、被害箇所ごとの遠景・近景、浸水深をメジャーで測った写真が必要とされています。「被害後」の写真は誰でも撮りますが、「被害前」を持っている人はほとんどいません。
前日の夕方、外回り対策を終えたタイミングで次を撮影してください。所要時間は5分程度です。
- 建物の全景を4面(前・後・左・右から1枚ずつ)
- 屋根(可能な範囲で地上から。屋根に上らないでください)
- 外壁・雨どい・雨戸・シャッター
- 給湯器・エアコン室外機・カーポート・物置・フェンス
- 窓ガラス周り(既存のひび割れがあれば分かるように)
- 車(駐車位置と車体の状態)
撮影時は、スマホの位置情報と日時記録をオンにしておくと、撮影日が証明しやすくなります。撮ったらクラウドにも保存し、スマホが水没・故障しても残る状態にしてください。
なお、火災保険の風災補償について、保険法第95条第1項では保険金請求権の消滅時効は3年とされています。ただし保険会社の約款で1〜2年に制限される場合があるため、被害があった場合は早めに保険会社へ連絡してください。
前日の5分の撮影が、台風後の手続きを何時間分も短縮します。屋根に上る、強風時に外へ出るといった危険な撮影は絶対に行わないでください。撮れる範囲で十分です。
台風 対策 チェックリスト|前日にやること一覧
ここまでの内容を、印刷・コピーして使える形にまとめました。前日の朝に一度目を通し、終わった項目にチェックを入れてください。
情報・判断
- [ ] 重ねるハザードマップで自宅の色(浸水・土砂災害・高潮)を確認した
- [ ] 避難するか在宅避難かを決めた
- [ ] 避難する場合、避難先と経路、移動手段を決めた
- [ ] 新しい情報名(レベル3警報/レベル4危険警報)を家族で共有した
- [ ] 鉄道の計画運休、学校の休校、勤務先の方針を確認した
- [ ] 家族の連絡手段(171・web171・SNS)を確認した
物資
- [ ] 飲料水(1人1日3L×3日分)を確保した
- [ ] 調理不要で食べられる食料を3日分確保した
- [ ] カセットコンロとボンベの残量・期限を確認した
- [ ] 常用薬・お薬手帳を持ち出し袋に入れた
- [ ] 現金(小銭含む)を用意した
- [ ] 携帯トイレ・ウェットティッシュを用意した
- [ ] 乳幼児用品(液体ミルク・おむつ・離乳食)を多めに用意した
- [ ] ペットのフード・キャリー・トイレ用品を用意した
電源・明かり
- [ ] スマホ・モバイルバッテリー・ポータブル電源を満充電にした
- [ ] LEDランタン・懐中電灯を1人1台、各部屋に配置した
- [ ] 乾電池の在庫とサイズを確認した
- [ ] 車のガソリンを満タンにした
- [ ] 冷蔵庫を強にし、保冷剤・凍らせたペットボトルを入れた
住まい
- [ ] ベランダ・庭の飛散物(植木鉢・物干し竿・自転車・ゴミ箱)を屋内へ入れた
- [ ] 雨戸・シャッターを閉め、施錠した
- [ ] 雨戸がない窓に飛散防止フィルム/カーテンの対策をした
- [ ] 雨どい・側溝・排水溝の詰まりを取り除いた
- [ ] 車を浸水しない高い場所へ移動した
- [ ] 浸水の恐れがある場合、玄関に水のうを置いた
- [ ] ブレーカーの位置を確認した
水(フローチャートで判断後)
- [ ] 浴槽貯水の可否を家族構成・給水方式で判断した
- [ ] 乳幼児がいる場合、別容器での貯水に切り替えた
- [ ] ポンプ式マンションの場合、前日日中に貯水を完了した
別居の高齢親
- [ ] ハザードマップで実家の危険度を一緒に確認した
- [ ] 個別避難計画の有無と支援者を確認した
- [ ] 医療機器のバッテリーと業者連絡先を確認した
- [ ] 処方薬の残量を日数で確認した
- [ ] 171の使い方とキーにする電話番号を共有した
- [ ] 明るいうちの避難を約束した
台風後の備え
- [ ] 建物の全景4面・屋根・外壁・給湯器を撮影した
- [ ] 写真をクラウドにバックアップした
- [ ] 火災保険の証券番号・連絡先を確認した
平時にやっておくと前日が楽になること
台風シーズンを消耗せずに乗り切るコツは、前日にやることを「最終確認と外回り」だけに減らしておくことです。毎回ゼロから準備すると、そのたびに買い出しと在庫確認が発生します。
ローリングストックで在庫を切らさない
農林水産省 家庭備蓄ポータル/災害時に備えた食品ストックガイド(2025)では、普段の食品を少し多めに買い置きし、古いものから消費して買い足すローリングストックで、常に一定量を保つことが推奨されています。台風前に慌てて買い出す必要が減り、賞味期限切れも防げます。
持ち出し袋を玄関の定位置に置く
押し入れの奥にしまうと、いざというときに探すことになります。玄関や寝室の手の届く場所に固定し、年2回(梅雨前と台風シーズン前)に中身を点検してください。
171を体験利用日に一度使ってみる
毎月1日・15日と防災週間(8月30日9時〜9月5日17時)に体験利用ができます。特に高齢の親とは、実際に一度録音・再生を試しておくと当日の成功率が変わります。
マイ・タイムラインを1枚作る
| 接近までの時間 | やること |
|---|---|
| 2〜3日前 | 進路確認、買い出し、予定・出張の調整、給油 |
| 前日 | 本記事のT-24hタイムラインを実行 |
| 当日(接近前) | 避難情報の確認、必要なら避難開始 |
予防の本質は「準備の負担を平時に分散すること」です。ローリングストック・持ち出し袋の定位置・171の練習・マイ・タイムラインの4点を一度整えれば、前日にやることは大きく減ります。
やってはいけないNG対応
台風前日で最も避けたいのは、「風雨が強まってからの屋外作業」と「去年の情報名のまま待つこと」です。前者は命に直結し、後者は避難の遅れにつながります。
NG1:強風時に屋根・ベランダ・雨どいを見に行く
点検や補強は風が強まる前に終えてください。台風の最中に屋根や側溝を確認しようとした転落・飛来物による事故が毎年起きています。
NG2:川や海の様子を見に行く
増水した川や高潮の海を見に行く行動は、水難事故の典型例です。確認は自治体の河川ライブカメラや気象庁のキキクル(危険度分布)で行ってください。
NG3:夜間・暴風雨のなかで避難を始める
避難は明るく風雨が弱いうちが原則です。すでに外の移動が危険な場合は、頑丈な建物の上階へ移る垂直避難のほうが安全な場合もあるとされています。状況に応じて選んでください。
NG4:「土砂災害警戒情報」を待ち続ける
2026年5月29日以降、この名称は「レベル4土砂災害危険警報」に変わりました。去年の記憶のまま待っていると、発表されているのに気づけない恐れがあります。数字(レベル)で覚え直してください。
NG5:乳幼児がいるのに浴槽へ貯水する
消費者庁の注意喚起と真逆の状態になります。別容器での貯水に切り替えてください。
NG6:情報を1回見ただけで判断を固定する
進路や強さは変化します。前日朝の情報のまま決めつけず、夕方・就寝前にも更新を確認してください。
NG7:片付けてから被害写真を撮る
罹災証明書や保険の請求では、片付け前の状態が必要です。安全を確保したうえで、片付けの前に撮影してください。
「ここまで準備したから大丈夫」という油断が、最後の判断を鈍らせます。避難指示(レベル4)が出たら、準備の途中でも避難を優先してください。物より命を優先する、という原則を最後まで忘れないでください。
よくある質問
Q1. 台風 前日 準備で、まず何から手を付ければいいですか?
ハザードマップで自宅の危険度を確認し、避難するか在宅避難かを決めることからです。これが決まらないと、買う物も準備の中身も変わります。次に、日没前に終わらせる外回り(飛散物の撤去・窓の対策・車の移動)に取りかかってください。
Q2. 「危険警報 とは」何ですか?いつから始まりましたか?
気象庁「新たな防災気象情報について(令和8年~)」(2026)によると、2026年5月29日から運用が始まった警戒レベル4に相当する情報の名称です。大雨危険警報・土砂災害危険警報・高潮危険警報・氾濫危険警報の4種類があり、従来の「土砂災害警戒情報」や「氾濫危険情報」に代わるものです。発表されたら、危険な場所からの避難を完了させる段階にあたります。
Q3. 台風 断水 備え、お風呂の水は張るべきですか?
家庭の状況によります。0〜5歳の子どもがいる家庭では、消費者庁が溺水事故防止のため入浴後の水抜きを呼びかけているため、浴槽ではなくポリタンクや給水バッグなど別容器での貯水をおすすめします。ポンプ加圧式のマンションでは停電=即断水になるため、台風接近後ではなく前日の日中に貯水を済ませてください。本文のフローチャートで判断できます。
Q4. 台風 停電 備えで、優先度が高いものは何ですか?
電源(スマホ・モバイルバッテリー・ポータブル電源の満充電)、明かり(LEDランタン1人1台)、情報(乾電池式ラジオ)、水と食料の4点です。内閣府 令和2年版 防災白書(2020)によると、令和元年房総半島台風では最大約93万4,900戸が停電し、復旧が長期化しました。数日単位で続く前提で準備してください。在宅医療機器を使っている場合は、機器業者と電力会社への事前確認が最優先です。
Q5. マンションでも台風の準備は必要ですか?
必要です。頑丈な中高層マンションは在宅避難に向きますが、停電するとエレベーターが止まり、ポンプ加圧式なら水も出なくなります。大阪市水道局(2024)によると、水道本管が断水していなくても建物内で水が出なくなるためです。低層階や地下駐車場は浸水リスクもあるため、ハザードマップで自宅の階と立地を必ず確認してください。
Q6. 窓ガラスの補強はどうすればいいですか?
雨戸・シャッターがあれば閉めるのが最も確実です。ない場合は、飛散防止フィルムを貼る、カーテンを閉める、内側から段ボールを当てるといった対策が一般的です。ガラスに×印のテープを貼るだけでは割れそのものは防げないため、割れた際の飛散を抑える工夫を中心に行ってください。
Q7. 離れて暮らす高齢の親には、前日に何を確認すればいいですか?
①個別避難計画の有無と支援者、②電源が必要な医療機器のバッテリーと業者連絡先、③処方薬の残量(日数で)、④171の使い方とキーにする電話番号、⑤明るいうちの避難の約束、の5点です。内閣府 令和3年版 防災白書(2021)によると、令和2年7月豪雨の死者84名の約8割が65歳以上でした。自宅の物理対策より優先度が高い場合があります。
Q8. 準備したのに台風がそれたら、無駄になりませんか?
無駄にはなりません。水や食料はローリングストックとして普段の生活で消費でき、点検した持ち出し袋はそのまま次に備えられます。撮影した家の写真も、次の台風や地震のときの比較資料として使えます。空振りは「成功した訓練」と捉えてください。
コピペ用:台風前日チェックリスト(テキスト版)
``` 【台風前日 T-24h チェックリスト】
■ 前日 朝〜昼 □ ハザードマップで自宅の色を確認 □ 避難するか在宅避難かを決定 □ 買い出し(水3L×人数×3日/食料3日分) □ 給油(満タン) □ 現金をおろす □ 勤務先・学校の翌日方針を確認 □ 鉄道の計画運休を確認(24時間前に運転計画) □ 別居の親に電話(避難計画・薬・医療機器・171)
■ 前日 夕方(日没前に完了) □ ベランダ・庭の飛散物を屋内へ □ 雨戸・シャッターを閉めて施錠 □ 雨どい・側溝・排水溝の掃除 □ 車を高い場所へ移動 □ 家の全景4面・屋根・外壁・給湯器を撮影 □ 玄関に持ち出し袋を配置
■ 前日 就寝前 □ スマホ・バッテリー類を満充電 □ 浴槽貯水の可否を判断(乳幼児がいる場合は別容器へ) □ ポンプ式マンションは貯水完了を確認 □ 冷蔵庫を強に、保冷剤を入れる □ 懐中電灯を枕元へ □ ブレーカーの位置を確認 □ 貴重品を2階・高い場所へ
■ 当日 朝 □ 避難情報を再確認(レベル3警報/レベル4危険警報) □ 外出の中止を判断 □ 窓から離れた部屋へ移動 □ 断水前に容器へ追加給水
【覚え直す情報名(2026年5月29日〜)】 レベル2 大雨注意報 → 持ち出し袋の点検 レベル3 大雨警報 → 高齢者は避難開始 レベル4 土砂災害危険警報/氾濫危険警報 → 全員避難完了 レベル5 大雨特別警報 → 命を守る最善の行動 気象防災速報(線状降水帯直前予測)→ 即座に屋内退避 ```
---
本記事は一般的な防災情報の整理であり、個別の状況に対する助言ではありません。避難や安全に関わる判断は、必ず気象庁・お住まいの自治体・専門機関の最新情報に従ってください。停電時の医療機器やインフラに関する事項は、医療機関・電力会社・自治体にご相談ください。保険金請求の可否や手続きは、契約中の保険会社・代理店にご確認ください。(最終確認日:2026年8月1日)




