「防災グッズ 本当に必要なもの」を調べている方に、まず結論をお伝えします。必要な防災グッズは、品目リストではなく「住居×世帯×避難形態」の3条件から出る計算結果です。同じ4人家族でも、戸建てとマンション高層階では必要な備蓄日数が変わります。
そして最優先で埋めるべき穴は、水でも食料でもなく携帯トイレです。内閣府「防災に関する世論調査」(令和7年8月調査、2025年10月公表)によると、3日分以上備蓄している世帯の割合は飲料水69.8%、食料品59.7%に対し、携帯・簡易トイレは27.5%と主要品目で最下位でした。多くの家庭で最も空いているのがトイレ対策です。
この記事では、農林水産省と内閣府の公的な算定式をそのまま使い、あなたの世帯の必要量を「2Lペット何ケース」「携帯トイレ何回分」という買い物単位まで落とし込みます。あわせて、他の記事で「いらなかったもの」とされがちな品目を条件別に再審査し、別居の高齢親に向けた備えまで扱います。
本記事の要点は3つです。①必要量は3条件の計算で決まる ②最優先は備蓄率27.5%の携帯トイレ ③「いらないもの」は条件次第で必須に変わる。
結論:本当に必要なものは「3条件」で決まる
防災グッズで本当に必要なものは、住居の種類・世帯構成・想定する避難形態の3条件で決まります。全戸共通の万能リストは存在せず、条件が変われば必要な品目も数量も変わります。
多くの記事は「懐中電灯・ラジオ・簡易トイレ…」という品目の列挙で終わります。しかしその列挙を見ても、「うちは何本の水を、何日分買えばいいのか」は分かりません。判断の順序は次のとおりです。
条件1:住居の種類で「必要日数」が変わる
住居の種類は、備蓄日数を直接左右します。集合住宅は在宅避難が前提になりやすいためです。
東京都が運営する「東京備蓄ナビ」(東京都総務局総合防災部防災戦略課)は、同居人数・性別・年代・住居の種類・ペットの有無を入力すると必要な備蓄品目と数量を自動算出する公式ツールです。同ツールでは、住居の種類によって推奨日数が変わり、戸建ては3日分、マンション等の集合住宅は7日分を目安とする出力仕様が報じられています。集合住宅では断水に加えてエレベーター停止が起こり、上層階では給水所からの水の運搬そのものが困難になるためです。
- 戸建て:3日分を最低ライン。徒歩避難の可能性があるため持ち出し袋の比重が高い
- マンション・集合住宅:7日分を目安。在宅避難前提で、備蓄と携帯トイレの比重が高い
- 木造密集市街地:火災延焼のリスクがあり、素早い徒歩避難を前提にした装備が必要
条件2:世帯構成で「品目の中身」が変わる
世帯構成は、同じ品目でも中身を変えます。乳幼児・高齢者がいる世帯は別建ての備えが必要です。
農林水産省は「災害時に備えた食品ストックガイド」(2019年)とは別に、「要配慮者のための災害時に備えた食品ストックガイド」(2019年)を用意しています。対象は乳幼児・高齢者・咀嚼嚥下機能が低下した方・慢性疾患のある方・食物アレルギーのある方です。通常の防災グッズリストとは別の備えが必要とされている点は、一般的なランキング記事ではほとんど触れられません。
条件3:避難形態で「持つべき装備」が変わる
避難形態は、装備の要不要を分けます。在宅避難・避難所・車中泊で必要なものは同じではありません。
在宅避難なら大容量の備蓄と携帯トイレが中心になり、テントや寝袋は不要です。一方、車中泊を想定するなら寝具や換気・エコノミークラス症候群対策が必要になります。避難所へ徒歩で向かう前提なら、持ち出し袋の重量が制約になります。非常用持ち出し袋の重量目安は成人男性15kg・女性10kg程度とされ、体重の10〜15%に収める考え方もあります。
本記事の数値は全国共通の目安です。津波・土砂災害・液状化などのリスクは地域で大きく異なります。必ずお住まいの自治体のハザードマップと避難場所を確認し、地域の指示を優先してください。
防災グッズ 本当に必要なものリスト|世帯別・必要量ぴったり計算表

必要量は、公的な算定式に人数と日数を掛けるだけで出せます。飲料水は3L×人数×日数、携帯トイレは5回×人数×日数が基本式です。
計算に使う根拠は次の2つです。
農林水産省「家庭備蓄ポータル/災害時に備えた食品ストックガイド」(2019年)によると、家庭備蓄は最低3日分〜1週間分×人数分が望ましいとされています。理由は、ライフライン復旧まで1週間以上を要するケースが多いこと、災害支援物資が3日以上到着しないことや、物流停止で1週間はスーパー・コンビニで食品が手に入らないことが想定されるためです。
内閣府(防災担当)「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」(平成28年4月策定/令和6年12月改定)では、災害用トイレの確保計画は1日あたりの平均排泄回数5回を目安に算定することが望ましいとされ、必要量は「300ml(平均的排泄量)×5回×想定人数」で計算するとされています。
計算式(この3本だけ覚えれば足ります)
- 飲料水 = 3L × 人数 × 日数(出典:農林水産省 家庭備蓄ポータル)
- 携帯トイレ = 5回 × 人数 × 日数(出典:内閣府 トイレの確保・管理ガイドライン)
- カセットボンベ = 1人1日1本目安 × 日数
主食は1人1日3食を基準に、米・パックご飯・乾麺・レトルトを組み合わせて日数分を確保します。
世帯別・必要量早見表(戸建て3日/マンション7日)
| 品目 | 一人暮らし | 夫婦2人 | 4人家族 | 高齢親2人世帯 |
|---|---|---|---|---|
| 飲料水(3日/7日) | 9L/21L | 18L/42L | 36L/84L | 18L/42L |
| 2Lペット換算(6本入ケース) | 5本/11本=1ケース/2ケース | 9本/21本=2ケース/4ケース | 18本/42本=3ケース/7ケース | 9本/21本=2ケース/4ケース |
| 主食(3食×人数×日数) | 9食/21食 | 18食/42食 | 36食/84食 | 18食/42食(嚥下配慮食を一部に) |
| 携帯トイレ(5回×人数×日数) | 15回/35回 | 30回/70回 | 60回/140回 | 30回/70回 |
| カセットボンベ | 3本/7本 | 6本/14本 | 12本/28本 | 6本/14本 |
| モバイルバッテリー | 10,000mAh×1 / ×2 | ×1〜2 / ×2 | 20,000mAh×2 / ×3 | ×1 / ×2+単3電池ラジオ |
※日数は「戸建て=3日/マンション等=7日」の目安に対応しています(東京備蓄ナビの出力仕様に基づく整理)。
買い物リストへの変換例:4人家族・マンション7日
最も見落とされやすい「4人家族・マンション7日分」を、実際の買い物単位に変換します。
- 飲料水84L → 2Lペットボトル42本 = 6本入り7ケース
- 携帯トイレ 140回分 → 50回入りセットなら3セット
- 主食84食 → パックご飯・乾麺・レトルトを合計84食分
- カセットボンベ 28本 → 3本パック×10(予備込み)
携帯トイレ140回分という数字を見て多いと感じるかもしれませんが、これは内閣府ガイドラインの算定式(5回×4人×7日)をそのまま適用した結果です。「簡易トイレも必要」という助言を数字に直すと、この規模になります。
なお、飲料水とは別に生活用水(トイレ・手洗い・洗い物)が1人1日およそ10〜15L必要とされます。浴槽の水を張っておく、給水袋を用意するなど、飲料水とは別枠で考えてください。
自分の世帯の数字を確かめたい場合は、東京都の「東京備蓄ナビ」(無料)に人数・年代・住居種別を入力すると、公式の算出結果が得られます。都外の方でも品目と数量の考え方は参考になります。
なぜ携帯トイレが最優先なのか?
携帯トイレを最優先にすべき理由は、備蓄率が27.5%と最も低く、かつ我慢や代替が最も効かないからです。水や食料は多くの家庭が既に備えており、相対的な不足は小さくなっています。
内閣府「防災に関する世論調査」(令和7年8月調査、2025年10月17日公表/全国18歳以上3,000人対象・1,551人回答)によると、家庭で3日分以上備蓄している割合は次のとおりです。
| 品目 | 3日分以上備蓄している割合 |
|---|---|
| 飲料水 | 69.8% |
| 食料品 | 59.7% |
| 衛生用品 | 38.7% |
| 携帯・簡易トイレ | 27.5% |
飲料水と携帯トイレの差は42.3ポイントです。国の調査が、トイレ対策が備蓄の最大の空白地帯であることを示しています。
断水は「3日」で終わるとは限らない
断水の想定期間は、通説より長く見ておく必要があります。
日本水道協会「令和6年能登半島地震における日本水道協会の対応と今後の取組」(2024年)によると、令和6年能登半島地震では6県39水道事業者で最大約13万7千戸が断水し、ピーク時約11万戸の断水が概ね解消するまで約5カ月を要しました。「3日分あれば足りる」という通説と現実には大きな開きがあります。
断水すると水洗トイレは使えません。汚水管や排水設備が損傷している可能性があるため、通水後も安易に流すべきではないとされています。つまりトイレは、水と違って「近所からもらう」「給水車に並ぶ」といった代替手段がほとんど機能しない領域です。
熱源の確保も同じ理由で優先度が高い
カセットコンロは、復旧が最も遅いライフラインを補う装備です。
内閣府「首都直下地震対策検討ワーキンググループ 最終報告 別添資料」(2013年)では、都心南部直下地震において都市ガスの復旧に約6週間を要すると想定されています。電力や上水道より復旧が大幅に遅れる見込みです。カセットコンロとボンベは、水・食料と同等の優先度で確保すべき理由がここにあります。
カセットコンロは屋内で使用する際、必ず換気を行ってください。また、ボンベには使用期限(製造から約7年が目安とされます)があり、高温になる場所での保管は避ける必要があります。使用前に必ず製品の説明書を確認してください。
防災グッズ 本当に必要なもの ランキングの「いらなかったもの」を再審査する
「いらなかったもの」とされる品目の多くは、不要なのではなく「条件付きで必要」です。条件を書かずに不要と断じると、必要な人が備えを外してしまいます。
体験談ベースのランキングでは、ロープ・コンパス・テント・手回しラジオ・浄水器・カップ麺などが「いらなかったもの」として挙げられがちです。ただしそれらの体験は、多くの場合「在宅避難できた人」「単身または成人のみの世帯」の条件下での話です。以下のマトリクスで、条件別に判定し直します。
本当に必要か判定チャート
| 品目 | 木造密集地・徒歩避難 | RCマンション・在宅避難 | 子ども/高齢者あり | 停電1週間超・車中泊 | 判定理由 |
|---|---|---|---|---|---|
| ヘルメット | 必須 | 不要(防災ずきん等で可) | 必須 | 条件付き | 倒壊・落下物リスクの中を徒歩移動するかで決まります |
| カセットコンロ | 必須 | 必須 | 必須 | 必須 | 都市ガス復旧6週間想定(内閣府2013)。全条件で必須です |
| 携帯トイレ | 必須 | 最優先 | 必須(回数増) | 必須 | 在宅避難では代替手段がありません |
| テント | 不要 | 不要 | 条件付き | 必須 | 車中泊・屋外避難を想定する場合のみ |
| 手回しラジオ | 条件付き | 条件付き | 条件付き | 必須 | 停電が長期化し電池も尽きる想定なら価値が出ます |
| 浄水器 | 条件付き | 条件付き | 条件付き | 必須 | 備蓄が尽きる7日超・給水所が遠い場合に意味を持ちます |
| ロープ | 条件付き | 不要 | 条件付き | 条件付き | 用途が具体的に想定できないなら優先度は低めです |
| コンパス | 不要 | 不要 | 不要 | 条件付き | 地図アプリと事前の避難ルート確認で代替できます |
| カップ麺 | 条件付き | 条件付き | 条件付き | 条件付き | 湯と水を消費するため、水の備蓄量とセットで判断します |
| 寝袋・マット | 条件付き | 条件付き | 必須(体温低下対策) | 必須 | 床の冷えと硬さは体力を確実に削ります |
判定の考え方はシンプルです。「自分がどこで、どれだけの期間、誰と過ごすか」を先に決めれば、要不要はほぼ自動的に決まります。
防災グッズを紹介する記事の一部は、特定製品(ポータブル電源など)への誘導を目的としています。「不要」「必須」という断定を見たときは、どの条件を前提にした話なのかを確認する習慣を持つと判断を誤りにくくなります。
手回しラジオより先に検討したいもの
情報収集手段は、二重化が要点です。
スマートフォンが使える間はそれが最も速い情報源ですが、停電が長引けば充電が課題になります。優先順位としては、①モバイルバッテリー(容量表記の確かなもの)②乾電池式ラジオ+予備電池、③手回し式、の順で検討すると無駄が出にくくなります。手回し式は「電池も尽きた後の最終手段」として位置づけると納得しやすいはずです。
100均 防災グッズ 本当に必要なものはどれ?予算と線引き
100円ショップで揃えてよいものと、避けたほうがよいものは明確に分かれます。命を守る性能が問われるものと、容量表記が性能に直結するものは100均で代替しないのが基本線です。
100円ショップの防災カテゴリは拡充が進んでいます(2026年2月時点の各社比較記事による)。セリアの防災ボトル、ダイソーのソーラー充電式LEDライト、キャンドゥの折りたたみ簡易トイレなどが定番化しています。ただし防災コーナーは主に大型店(300〜500坪以上)に設置され、小型店では品揃えが限られる点に注意が必要です。
100均で十分なもの/避けたいもの
| 100均で十分なもの | 100均では慎重に判断したいもの |
|---|---|
| ポリ袋・ゴミ袋(多用途に使えます) | ヘルメット・防災ヘッドギア(保護性能の規格確認が必要) |
| 使い捨て食器・ラップ・アルミホイル | 携帯トイレの凝固剤(吸水量・処理容量の表記を要確認) |
| 軍手・マスク・ウェットティッシュ | モバイルバッテリー(容量表記と実容量の乖離に注意) |
| ロウソク以外の簡易ライト・電池ケース | 保存食(賞味期限が短く、結局回転が必要) |
| 給水袋・ジッパー袋・タオル | 医療用途の衛生材料(用途に適合するか要確認) |
費用の目安
100円ショップで防災グッズをまとめる場合、20点まとめ買いで合計2,200円(1点110円)という実費例があります(2026年版の100均防災グッズ比較記事による)。消耗品・汎用品をここで押さえ、浮いた予算をヘルメット・携帯トイレ・カセットコンロ・モバイルバッテリーといった「性能が結果を左右するもの」に回す配分が現実的です。
優先順位をつけるなら、次の順で買い足すと空白が埋まりやすくなります。
- 携帯トイレ(計算式で出した回数分)
- 飲料水(3L×人数×日数)
- カセットコンロ+ボンベ
- 主食と副菜(ローリングストックで回す)
- 灯り・情報(乾電池式ライト、モバイルバッテリー、ラジオ)
- 衛生用品・救急用品・常備薬
- 現金(小銭)・身分証コピー・季節対策(防寒/暑熱)
ヘルメットや保護具は、価格ではなく規格表示(産業用ヘルメットの検定表示など)を確認してください。安全性能に関わる製品は、表示のない安価品での代替を避けることが推奨されます。
別居の高齢親のために備える|モノ・情報・手続きの3層チェックリスト
別居の高齢親への備えは、モノだけでは完結せず「情報」と「手続き」の3層で揃える必要があります。特に手続きは、本人か家族が窓口に行かないと進みません。
一般的な防災グッズ記事は自分・自世帯向けに書かれており、離れて暮らす親の備えはほとんど扱われません。帰省時の半日で終えられる順序に並べました。
第1層:モノ(今日〜今週中にできます)
- 常備薬の予備7日分|今日できる:かかりつけ医に災害時の予備処方を相談します
- 嚥下・咀嚼に配慮した食品のストック|今週中:農林水産省「要配慮者のための災害時に備えた食品ストックガイド」(2019年)に沿って、やわらかいレトルトやとろみ調整食品を選びます
- 単3電池式ラジオ+予備電池|今日できる:手回し式より操作が単純で高齢者に扱いやすい選択です
- プルトップ缶・パウチ食品|今日できる:握力や指先の力が落ちても開けられる形状を選びます
- 携帯トイレ(5回×人数×日数)|今日できる:高齢者は夜間の回数が増える傾向があるため、余裕を持たせます
- 室内の安全対策(家具固定・足元灯)|今週中:モノを備える前に、まず倒れてこない部屋にすることが先決です
第2層:情報(今日できます)
- お薬手帳のコピーを紙と写真で二重化|今日できる:紙は持ち出し袋へ、写真は本人と子ども双方のスマホに保存します
- かかりつけ医・処方内容・持病名のメモ|今日できる:搬送時や避難所の救護班に渡せる1枚にまとめます
- 災害用伝言ダイヤル171の使い方を印刷して冷蔵庫に貼る|今日できる:毎月1日・15日などの体験利用日に一度練習しておくと確実です
- 連絡が取れない場合の集合場所を紙で共有|今日できる:スマホが使えない前提で決めます
第3層:手続き(自治体窓口が必要です)
- 避難行動要支援者名簿への登録|自治体窓口:高齢者や障害のある方など、避難に支援が必要な方を登録する制度です。要件や手続きは自治体ごとに異なるため、親の住む市区町村の窓口・ホームページで確認してください
- 地域の一時避難場所と徒歩ルートの下見|帰省時:実際に一緒に歩き、段差・坂・夜間の暗さを確認します
- 近隣・自治会への声かけ|帰省時:離れて住む家族より、隣人の方が先に助けに入れます
高齢親の備えは「薬・情報・名簿登録」の3点が要です。モノを送るより先に、お薬手帳のコピーと名簿登録を済ませる方が効果が大きい場面が多くあります。
専門家・公的情報の見解|2026年の最新動向
公的機関の想定は更新され続けており、備えの前提も定期的な見直しが必要です。ここ数年で被害想定とガイドラインの双方が改定されました。
被害想定の見直し(2025年3月)
内閣府 中央防災会議 防災対策実行会議「南海トラフ巨大地震 最大クラス地震における被害想定について(定量的な被害量)」(令和7年3月)では、約10年ぶりの見直しにより、死者約29万8千人、経済的被害・影響額292兆2千億円、建物全壊・焼失235万棟と算定されました。
また2024年8月8日には、運用開始後初となる「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」が発表され、8月15日に呼びかけが終了しました。このとき店頭では水や保存食の品薄が生じました。臨時情報が出てから買いに走っても間に合わないという実例として、事前備蓄の必要性を示しています。
ガイドラインの改定(2024年12月)
内閣府「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」は令和6年12月に改定され、能登半島地震の教訓を反映した版が現行基準となっています(平成28年策定、令和4年改定に続く3版目)。本記事の「1日5回・300ml」という算定基準は、この最新版に基づくものです。
防災庁の発足予定(2026年11月)
防災庁設置法案が2026年3月6日に閣議決定・国会提出され、政府は防災庁を2026年11月1日に発足させる方針です(内閣府 防災情報のページ等による)。首相を長とし、専任の防災大臣を置き、他府省庁への勧告権を持つとされています。2026年度は「防災力強化総合交付金」35億円を計上し、自治体の被害シミュレーションと防災計画の見直しを支援する内容が報じられています。
家庭備蓄の推奨内容や自治体の支援施策は、今後この動きに伴って変わる可能性があります。年1回は自治体のサイトで最新の推奨内容を確認することをおすすめします。
備蓄は「一度揃えて終わり」ではありません。①賞味期限のローリングストック ②世帯構成の変化(出産・進学・親の加齢)③公的想定の更新、の3点で見直すタイミングが来ます。
やってはいけないNG対応
備えの失敗は、品目選びよりも運用の仕方で起こります。よくある落とし穴を挙げます。
- 一度に全部揃えようとして、結局何も買わない|携帯トイレ1パックからで構いません。優先順位の上から1つずつ埋めます。
- 保存食だけに頼り、ローリングストックをしない|普段食べる食品を少し多めに買い、古いものから使って買い足す方法なら、期限切れの廃棄を防げます。農林水産省も日常備蓄の考え方を推奨しています。
- 備蓄を1カ所にまとめて置く|倒壊や浸水でその一室が使えなくなると全損します。持ち出し袋は玄関、備蓄は複数の部屋に分散させます。
- 家具固定をせずにグッズだけ買う|屋内での負傷を防ぐことが先です。備蓄品は、けがをせず動ける前提があって初めて役に立ちます。
- 家族で置き場所を共有していない|本人が不在時に家族が取り出せなければ意味がありません。置き場所と使い方を共有します。
- 臨時情報や地震発生後にまとめ買いに走る|2024年8月の南海トラフ地震臨時情報の際は品薄が生じました。平時にしか揃えられません。
- 携帯トイレを「数個」で済ませる|4人家族7日分なら140回分が算定結果です。数個では初日で尽きます。
断水中や配管の被害が疑われる状況では、水洗トイレに水を流し込んで使用しないでください。汚水があふれる、下階に漏水するなどの二次被害につながる可能性があります。復旧状況は自治体・管理組合の案内に従ってください。
まとめ|今日やるべき3つのこと
必要な防災グッズは、リストを写すのではなく自分の条件で計算することで初めて確定します。最後に行動を3つに絞ります。
- 自分の条件を確定する:住居(戸建て3日/マンション7日)× 人数 × 想定避難形態を紙に書き出します
- 計算式に当てはめる:飲料水=3L×人数×日数、携帯トイレ=5回×人数×日数、カセットボンベ=1本×人数×日数
- 最も空いている項目から買う:多くの家庭では携帯トイレです(備蓄率27.5%/内閣府 令和7年調査)
「本当に必要なもの」は人によって違います。しかし計算式は全員共通です。式に自分の数字を入れれば、買うべきものと量は今日決められます。
よくある質問
Q. 防災グッズ 本当に必要なものリストを1つだけ選ぶなら何ですか?
携帯トイレです。 内閣府「防災に関する世論調査」(令和7年8月調査)で3日分以上の備蓄率が27.5%と主要品目で最下位であり、かつ断水時に代替手段がほとんどないためです。必要数は「5回×人数×日数」で計算します(内閣府 トイレの確保・管理ガイドライン)。
Q. 防災グッズ 本当に必要なもの ランキングで上位の「いらなかったもの」は買わなくていいですか?
条件次第です。 テント・浄水器・手回しラジオは在宅避難できた人には不要でしたが、車中泊や停電1週間超の想定では必要になります。ヘルメットも、木造密集地で徒歩避難する可能性があるなら必須と考えられます。「誰の、どの条件での体験談か」を確認してください。
Q. 100均 防災グッズで本当に必要なものは揃いますか?
消耗品・汎用品は揃いますが、性能が結果を左右するものは別途用意することをおすすめします。 ポリ袋・軍手・使い捨て食器・給水袋などは100円ショップで十分です。一方、ヘルメット、携帯トイレの凝固剤、モバイルバッテリーは容量や規格の確認が必要です。20点で2,200円という実費例もあり、汎用品を安く押さえて予算を重要品目に回す配分が現実的です。
Q. 備蓄は3日分で足りますか?
戸建てで3日分が最低ライン、マンション等は7日分が目安とされています。 農林水産省(2019年)は最低3日分〜1週間分を推奨しています。ただし令和6年能登半島地震では最大約13万7千戸が断水し、概ね解消まで約5カ月を要しました(日本水道協会2024年)。可能なら1週間分以上を目標にしてください。
Q. 離れて暮らす親には何から送ればいいですか?
モノより先に「情報」と「手続き」です。 お薬手帳のコピーの二重化(紙+写真)と、自治体の避難行動要支援者名簿への登録確認が最優先です。そのうえで常備薬7日分の予備、嚥下に配慮した食品、単3電池式ラジオ、携帯トイレを揃えます。名簿登録の要件は自治体ごとに異なります。
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本記事は公的機関の公表資料に基づく一般的な情報提供です。災害リスクや必要な備えは地域・住居・健康状態によって異なります。持病や服薬、療養上の備えについてはかかりつけ医や薬剤師に、避難支援制度の利用についてはお住まいの市区町村の防災担当窓口にご相談ください。避難の判断は、自治体や気象庁の最新情報に従ってください。
最終確認日:2026年8月24日
主な参照先
- 農林水産省「家庭備蓄ポータル/災害時に備えた食品ストックガイド」(2019年)
- 農林水産省「要配慮者のための災害時に備えた食品ストックガイド」(2019年)
- 内閣府(防災担当)「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」(令和6年12月改定)
- 内閣府「防災に関する世論調査」(令和7年8月調査/2025年10月公表)
- 内閣府 中央防災会議「南海トラフ巨大地震 被害想定」(令和7年3月)
- 内閣府「首都直下地震対策検討ワーキンググループ 最終報告」(2013年)
- 日本水道協会「令和6年能登半島地震における日本水道協会の対応と今後の取組」(2024年)
- 東京都「東京備蓄ナビ」(2025年)




