停電対策で家庭ができること|必要なもの一覧と時間別チェックリスト
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停電対策で家庭ができること|必要なもの一覧と時間別チェックリスト

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「停電対策として、家庭でできることは何から始めればいい?」——結論からお答えします。停電時に最低限必要なものは、①懐中電灯・LEDランタン ②予備電池 ③モバイルバッテリー ④乾電池式ラジオ ⑤飲料水(1人1日3L) ⑥カセットコンロとボンベ ⑦携帯トイレ の7点です。そのうえで、量を決める基準は「わが家は何時間の停電まで耐える設計にするか」という一点に集約されます。

停電の多くは数時間で復旧します。一方で、経済産業省(2019)によると、2019年の台風15号では千葉県を中心に最大約93万戸が停電し、復旧までに約2週間を要しました。また資源エネルギー庁(2018)によると、2018年の北海道胆振東部地震では日本初のブラックアウトが発生し、最大約295万戸が停電、ほぼ全域の送電再開まで約45時間かかっています。「3時間の停電」と「3日の停電」では、必要なものも量もまったく違う——これが、グッズの羅列だけでは備えが完成しない理由です。

この記事では、①最低限必要なもの7点と5軸の備蓄量、②停電継続時間×生活領域のマトリクス表、③必要電力量の計算ワークシート、④自分の地域の停電リスクの調べ方、⑤住まい(戸建て・マンション高層階・太陽光/オール電化)と家族構成による補正、の順で「わが家の停電シナリオ」を作れるように構成しました。

ポイント

一度に完璧を目指す必要はありません。まず「24時間の停電に耐える」を目標にし、政府推奨の「最低3日分、できれば1週間分」へ段階的に広げるのが現実的です。

停電対策で家庭ができること|まず「何時間耐えるか」を決める

家庭の停電対策は、「耐える時間を決める→必要なものを5軸で揃える→住まいと家族で補正する」の3段階で設計します。

家庭の停電対策とは、停電そのものを防ぐことではなく、復旧までの時間を安全に乗り切るための事前準備である——これが出発点です。だからこそ「復旧まで何時間を想定するか」を最初に決める必要があります。公的データの実績値が、その判断材料になります。

  • 数時間:設備事故や落雷などによる停電の多くは、この範囲で復旧します。
  • 約45時間:資源エネルギー庁(2018)によると、北海道ブラックアウト(最大約295万戸)でほぼ全域の送電再開までにかかった時間です。
  • 約2週間:経済産業省(2019)によると、台風15号(最大約93万戸)で完全復旧までにかかった期間です。

なお内閣府は2025年3月31日、南海トラフ巨大地震の被害想定を約10年ぶりに全面見直しし、全壊・焼失は最大235万棟と公表しました。ライフラインの長期停止を前提に、家庭の備蓄を見直す契機とされています。

設計の手順は次の3ステップです。

  1. 目標時間を決める:「〜3時間/〜24時間/〜3日/1週間超」の4段階から、地域の災害リスクと家庭の事情で選びます。
  2. 5軸(灯り・情報・電源・食と水・温度)を揃える:目標時間から逆算して量を決めます。
  3. 住まい・家族で補正する:マンション高層階なら断水対策、在宅医療機器があれば電源と制度、と弱点を上乗せします。
まとめ

「何時間の停電まで耐えるか」を決めれば、必要なものと量は自動的に絞り込めます。次の章で具体的な品目を確認しましょう。

停電時に必要なものリスト|最低限の7点と、時間別に足すもの

停電時に必要なものリスト|最低限の7点と、時間別に足すもの

停電時に必要なものは灯り・情報・電源・食と水・温度の5軸で揃え、量は目標時間から逆算します。まずは24時間ラインの7点からです。

まず揃える最低限の7点(24時間ラインの目安)

#必要なもの数量の目安(大人2人)ひとこと
1懐中電灯・LEDランタン1人1灯+室内用に1台ろうそくは火災リスクがあるため電気式を優先
2予備の乾電池使用機器の2回分サイズ違いに注意(単3・単4を混同しやすい)
3モバイルバッテリー1人1台(20,000mAh級)半年に一度、残量と膨張の点検を
4乾電池式・手回しラジオ1台スマホが圏外でも情報が取れる手段
5飲料水1人1日3L(2人×1日=6L)3日分なら18L、1週間分なら42L
6カセットコンロ+ボンベ本体1台+ボンベ3本〜オール電化の家ほど優先度が高い
7携帯トイレ1人1日5回想定マンション高層階は停電=断水と考える

目標時間ごとに足していくもの

  • 〜3日を目指すなら:水と食料を3日分へ、ボンベを増量、保冷剤・凍らせたペットボトル、ポータブル電源の検討。
  • 1週間超を目指すなら:水と食料を1週間分へ、電池のローリングストック、給水拠点の確認、携帯トイレの大量備蓄。

5軸それぞれの考え方

  1. 灯り:懐中電灯・LEDランタン・ヘッドライトを1人1灯+予備電池。停電時の移動は転倒事故につながるため、両手が空くヘッドライトが安全です。
  2. 情報:乾電池式・手回しラジオを1台。総務省(2025)が災害時の携帯電話基地局の停波対策(蓄電池の大容量化・発電機配備)を事業として進めているとおり、大規模災害でスマホが圏外になるリスクは公的にも認識されています。スマホ一本に頼らない情報手段が必要です。
  3. 電源:モバイルバッテリー1人1台。容量は次章のワークシートで計算します。
  4. 食と水:水は1人1日3Lが目安。首相官邸(2024)によると、家庭備蓄は最低3日分、できれば1週間分が推奨です。カセットコンロのボンベは、岩谷産業(2024)の試算で大人2人・1週間なら気温25℃で約6.3本、気温10℃で約9.1本と、冬は約1.5倍必要になります。
  5. 温度:夏は保冷剤・凍らせたペットボトル、冬は毛布・カイロ・重ね着。冷暖房の停止は後述のとおり命に関わるリスクです。

冷蔵庫の扱いも数字で覚えておくと迷いません。米国CDC(2020)によると、停電中でもドアを開けなければ冷蔵室は約4時間、冷凍室は満杯で約48時間・半分で約24時間、安全な温度を保てます。停電に気づいたら「開けない」を家族で徹底し、食べる順番は冷蔵室→冷凍室とします。

まとめ

「水は1人1日3L・最低3日分」「ボンベは冬1.5倍」「冷蔵庫は開けなければ約4時間」——この3つの数字が、必要なものの量を決める基準になります。

停電継続時間×生活領域マトリクス表|どこまで備えるかの早見表

下の表で「停電が何時間続くと、生活のどこが困るか」を確認し、わが家の目標ラインを決めましょう。

継続時間(実例)灯り情報・通信食・冷蔵庫冷暖房水・トイレ医療・ケア
〜3時間(設備事故・落雷など。停電の大半はここで復旧)スマホライト+懐中電灯電力会社の停電情報サイトを確認冷蔵庫を開けない(冷蔵室は約4時間安全)夏は水分補給・冬は重ね着で対応可通常は影響小(高層階は即影響も)機器の内蔵バッテリー残量を確認
〜24時間(台風・大雪の広域停電)LEDランタン+予備電池を人数分乾電池ラジオ/モバイルバッテリー1人1台冷凍品から消費・カセットコンロで調理夏:保冷剤・凍らせたペットボトル/冬:毛布・カイロ飲料水1人3L・高層階は断水前提に外部バッテリー確保・電力会社へ事前登録
〜3日(2018年北海道ブラックアウトは約45時間)ランタン複数+電池を多めに車載充電・手回しラジオ政府推奨の最低ライン=3日分の水・食料ポータブル電源+扇風機/電気毛布携帯トイレ1人15回分(マンションは断水前提)非常用電源+避難先を医師と事前相談
1週間超(2019年台風15号は約2週間)電池のローリングストック在宅避難か移動かを判断する情報収集1週間分の備蓄+ボンベ約6〜9本(大人2人)大容量電源・発電機や親戚宅等への一時移動給水拠点の確認・携帯トイレの大量備蓄自治体・医療機関と長期停電時の計画を共有

表の見方はシンプルで、自分の目標時間の行まで、各列の備えを揃えれば完成です。たとえば「24時間ライン」を目標にするなら、LEDランタンと予備電池、モバイルバッテリー1人1台、カセットコンロ、飲料水1人3L、季節の温度対策までが守備範囲になります。マンション高層階の方は、どの時間帯でも「水・トイレ」の列を1段厳しめに見てください(理由は後述します)。

ポイント

停電の大半は表の1行目で収まります。ただし45時間(北海道ブラックアウト)・約2週間(台風15号)という公的な実績がある以上、台風常襲地域や地震リスクの高い地域では「〜3日」ラインまでの備えを検討する価値があります。

わが家の必要電力量を計算する|モバイルバッテリーか、ポータブル電源か

電源は「なんとなく大容量」ではなく、機器×時間で1日の必要Wh(ワットアワー)を計算してから選びます。

停電時に動かしたい機器を書き出し、次のワークシートで合計してください。

機器計算のしかた計算例
スマホ充電約10Wh/回 × 人数 × 回数2人×1回/日=約20Wh
LEDランタン約5W × 点灯時間5W×8時間=約40Wh
扇風機約30W × 使用時間30W×10時間=約300Wh
冷蔵庫実効約70W × 24時間約1,680Wh/日
CPAP等の医療機器取扱説明書の消費電力 × 使用時間機種差が大きく必ず個別確認

計算手順は3つです。

  1. 動かしたい機器の1日分のWhを合計する
  2. 合計×1.3(変換ロスの係数)を必要容量とする
  3. モバイルバッテリーは==Wh=mAh×3.7V÷1000==で換算する(例:20,000mAh≒74Wh)

モデルケース1:一人暮らしの24時間——スマホ2回+ランタン8時間で約60Wh。変換ロスを見込むと約78Whとなり、20,000mAhクラスのモバイルバッテリー2本が目安です。

モデルケース2:4人家族の3日間(冷蔵庫なし)——スマホ4人分+ランタン2灯+扇風機で約900Wh。1000Whクラスのポータブル電源が候補になります。冷蔵庫まで動かすなら1日約1,680Wh×1.3が上乗せされるため、大容量機や発電機との併用、あるいは「冷蔵庫は諦めて保冷剤で守る」という割り切りが必要です。

ポイント

医療機器を使う家庭は、この計算を自己判断で完結させず、必ず機器業者・かかりつけ医に相談してください。必要容量や稼働可否は機種ごとに異なります。

自分の地域の停電リスクを確認する3ステップ

地域の停電リスクは「電力会社の停電情報」「ハザードマップ」「自宅設備」の3点を順に確認すれば、備える時間の目安がつかめます。

  1. 電力会社の停電情報サイト・アプリを平常時に登録する:契約中の電力会社が公開している停電情報ページをブックマークし、停電時にどの粒度で範囲・復旧見込みが出るかを一度見ておきます。過去の大規模停電に関する報告書を公開している事業者もあり、自分の地域で何が起きたかを把握できます。
  2. ハザードマップで災害リスクを確認する:国土交通省のハザードマップポータルサイトや自治体のハザードマップで、洪水・土砂災害・高潮・地震の想定を確認します。倒木や送配電設備の被害が起きやすい山間部・強風地域、浸水想定区域は、復旧に時間がかかりやすい条件が重なります(地域別の停電リスクを数値化した公的な統一指標はないため、あくまで判断材料として使います)。
  3. 自宅側の条件を確認する:マンションなら給水ポンプの有無と非常用電源、オール電化なら調理・給湯の代替手段、在宅医療機器があれば電力会社への事前登録。ここは次章以降で詳しく扱います。

判断の目安として、台風の常襲地域・豪雪地帯・山間部など復旧に時間がかかりやすい条件が重なる場合は、「〜3日」ラインを最低目標にすることをおすすめします。都市部のマンションでも、停電が断水を伴うため水と携帯トイレは3日分から見積もってください。

まとめ

地域リスクの確認は「電力会社+ハザードマップ+自宅設備」の3点セット。年に一度、防災の日などに見直すと更新漏れを防げます。

住まいタイプ別の停電対策|マンション高層階・太陽光・オール電化の落とし穴

同じ停電でも、マンション高層階は「断水」、太陽光やオール電化の家は「切替操作と調理手段」と、住まいで弱点が変わります。

マンション高層階:停電=断水とセットで考える 多くのマンションでは給水ポンプが電気で動いているため、停電すると水道・トイレも同時に止まるおそれがあります。エレベーター停止も重なり、「電気だけの被害」では済みません。管理会社に給水方式(ポンプの有無・非常用電源の有無)を確認し、飲料水を多めに、携帯トイレ(3日想定なら1人15回分)と階段昇降用のヘッドライトを備えましょう。

太陽光発電・オール電化:「あるから安心」は誤解 太陽光パネルがあっても、停電時に自動で家中に給電されるわけではありません。パワーコンディショナを自立運転モードへ手動で切り替え、専用の「自立運転コンセント」から給電する必要があり、出力は最大1500Wが各社共通の上限です(パワーコンディショナ各社共通仕様)。しかも自立運転は日射があるときに限られるため、夜間や悪天候では使えません。

オール電化住宅では、IHクッキングヒーター・エコキュート・電気式床暖房がいずれも停止します。したがってオール電化の家ほどカセットコンロの備えが重要です。なお、エコキュートの貯湯タンクには生活用水として使える水が残っている機種があり、非常用の取り出し方法が取扱説明書に記載されています(飲用可否や手順は機種により異なるため、必ず自宅の説明書で確認してください)。メーカーごとに切替手順が異なるので、手順メモを分電盤の近くに貼っておきましょう。

蓄電池を検討する場合:補助金の状況(2026年7月時点) 国の2026年度DR家庭用蓄電池補助金(上限60万円)は、2026年3月24日の受付開始後、5月29日に予算上限到達で受付を終了しました。一方、東京都の補助金(10万円/kWh・上限120万円/戸)は国の補助金と併用可で継続中と報告されています(補助金情報サイトによる2026年5月時点の公募状況)。制度は年度・自治体で大きく変わるため、申請前に必ず公式情報を確認してください。

注意

発電機を導入する場合、室内・ベランダなど換気の悪い場所での使用は絶対に避けてください。一酸化炭素中毒で命に関わるおそれがあります。

家族構成別の備え|在宅医療機器・高齢の親・乳幼児

在宅医療機器がある家庭は「制度への事前登録」、高齢の親の家は「帰省時30分の点検」が要になります。

在宅医療機器(人工呼吸器・在宅酸素など)を使う家庭 停電が直接命に関わるため、個人の備えに加えて公的制度の活用を確認してください。一般的な防災記事ではほとんど触れられませんが、次の2つは事前に手続きできます。

  • 自治体の非常用電源購入助成:東京都保健医療局(2021)は在宅人工呼吸器使用の難病患者向けに非常用電源設備(発電機・蓄電池)の整備事業を実施しており、2021年12月からは蓄電池も対象に追加されています。同種の助成を行う自治体は他にもあるため、お住まいの自治体の難病・障害福祉の窓口に確認しましょう。
  • 電力会社への事前登録:在宅医療機器の使用を電力会社に登録しておくと、停電時の情報提供などの対応を受けられる場合があります。契約中の電力会社に問い合わせてください。

そのうえで、停電時の対応(内蔵バッテリーの持続時間・外部電源への切替・避難先)をかかりつけ医と機器業者に必ず相談しておきます。

離れて暮らす高齢の親:帰省時に30分で確認する10項目チェックリスト

#確認項目
1寝室から玄関までの動線に懐中電灯・足元灯があるか
2感震ブレーカーが設置されているか(未設置なら簡易型は3千円程度から)
3エアコン停止時の暑さ対策があるか(保冷剤・通風・涼しい場所へ移る手順)
4在宅医療機器・電動ベッドはあるか→自治体の電源助成と電力会社への事前登録を確認
5カセットコンロとボンベの使用期限は切れていないか
6冷蔵庫に保冷剤・凍らせたペットボトルが入っているか
7携帯トイレの備蓄はあるか
8固定電話は停電時にも使える機種か(電源不要のアナログ式か)
9安否確認の取り決めがあるか(災害用伝言ダイヤル171の使い方カードを電話のそばに)
10古いモバイルバッテリーが膨張・発熱していないか

3番が重要な理由はデータにあります。総務省消防庁(2025)によると、2025年5〜9月の熱中症救急搬送は過去最多の10万510人で、発生場所は住居が38.1%と最多、65歳以上が57.1%を占めました。停電でエアコンが止まった高齢者の住まいは、まさにこの高リスク条件に重なります。

乳幼児がいる家庭:ミルク用の湯(カセットコンロで沸かす)、常温で使える液体ミルク、おむつ・おしりふきを多めに用意します。停電時は「お湯を作れるか」が最初の壁になります。

まとめ

家族構成の備えは「人」から逆算します。医療機器→制度と専門家への相談、高齢親→10項目点検、乳幼児→湯とミルク。この順で確認しましょう。

夏と冬の停電リスク|熱中症と一酸化炭素中毒

夏の停電は熱中症、冬は低体温と一酸化炭素中毒——季節によって命に関わるリスクが入れ替わります。

夏:冷房停止は「住居内熱中症」の高リスク条件 前述のとおり、総務省消防庁(2025)の確定値では2025年夏の熱中症搬送は10万510人と過去最多でした。停電時は、保冷剤や凍らせたペットボトルで首・脇を冷やす、直射日光をカーテンで遮って風を通す、こまめに水分・塩分を補給する、日中は冷房のある施設や親戚宅へ移動する、といった対応を優先します。高齢者・乳幼児は体温調節が難しいため、特に注意して見守ってください。

冬:暖房は「換気しながら」が絶対条件 電気を使わない石油ストーブやカセットガスヒーターは停電時に有効ですが、使用中の換気を怠ると一酸化炭素中毒のおそれがあります。重ね着・毛布・カイロで体温を保ち、家族でひと部屋に集まって暖を取りましょう。発電機の屋内使用は季節を問わず厳禁です。

通電火災と感震ブレーカー|設置率5.2%の盲点

地震後の停電では「電気が復旧した瞬間」が火災リスクです。対策の本命である感震ブレーカーの設置率は、まだ5.2%にとどまります。

通電火災とは、地震などによる停電が復旧して通電が再開した際に、転倒した電気器具や損傷した配線から出火する火災のことです。総務省消防庁(2024)によると、阪神・淡路大震災では地震火災139件のうち電気火災が85件と約6割を占めました。一方、揺れを感知して自動で電気を止める感震ブレーカーの設置率は5.2%(2022年9月時点)にとどまっています。内閣府(2024)も、大規模地震に備える家庭の停電対策として感震ブレーカーの設置と通電火災防止を公式に案内しています。

  • 簡易型:数千円程度から。おもりやバネでブレーカーを物理的に落とすタイプで、工事不要のものが多く賃貸でも導入しやすい選択肢です。
  • 分電盤タイプ:数万円程度。感知精度や機能は高い一方、設置工事が必要です。

注意点として、在宅医療機器がある家庭では「揺れたら即遮断」がかえって危険になり得ます。電源が突然切れると機器が停止するため、遮断までに時間差のあるタイプの選択や、医療機器側の予備電源とセットでの検討を専門業者に相談してください。また、感震ブレーカーの有無にかかわらず、避難時はブレーカーを落としてから家を出ることが推奨されています。

「備えるほど増える」リチウムイオン電池の火災・廃棄リスク

モバイルバッテリーを増やすことは火災リスクの持ち込みでもあります。点検と廃棄のルールまでが停電対策です。

製品評価技術基盤機構(NITE)(2025)によると、リチウムイオン電池搭載製品の事故は2020〜2024年の5年間で1,860件、約85%(1,587件)が火災に発展し、気温が上がる6〜8月がピークです。さらにNITEの2025年度報告書では、モバイルバッテリーを含む「充電器」が製品群別の事故発生数で初めてトップになったと報じられています(2026年6月)。防災用にバッテリーを買い足す家庭が増えた今、他人事ではありません。

廃棄のルールも変わりました。資源有効利用促進法の政令改正により、2026年4月からモバイルバッテリー等のメーカーに回収・再資源化が義務化されています(背景は、ごみ処理施設での発火事故の急増)。家庭では次の3点を習慣にしましょう。

  1. 半年に一度の点検:膨張・発熱・強い落下歴のあるバッテリーは使用をやめる(高齢の親の家の分も忘れずに)。
  2. 保管場所:夏の車内や直射日光の当たる場所を避ける(事故は6〜8月がピーク)。
  3. 廃棄:普通ごみに混ぜず、自治体の回収ルールかメーカー・販売店の回収窓口へ出す。
注意

膨らんだモバイルバッテリーを「まだ使えるから」と防災袋に入れたままにするのは危険です。防災用こそ、状態のよい電池に更新してください。

停電したときの対処法|初動5ステップとNG対応

停電に気づいたら「安全確認→明かり→範囲確認→情報→節電」の順で動きます。慌てた行動が二次被害を生みます。

  1. 安全確認:暗がりで動く前に、足元と火の元(コンロ・ストーブ)を確認します。
  2. 明かりの確保:スマホのライトや懐中電灯を点けます(ろうそくは避けます)。
  3. 範囲の確認:自宅だけか、近隣も停電かを見ます。自宅だけならブレーカーを確認し、上げてもすぐ落ちる場合は漏電の可能性があるため、無理に復旧せず電力会社・電気工事店へ相談します。
  4. 情報の入手:電力会社の停電情報サイト・アプリで範囲と復旧見込みを確認します(平常時のブックマーク登録が有効です)。
  5. 電源の節約:スマホを省電力モードにし、冷蔵庫は開けないようにします。

あわせて、やってはいけない対応も押さえておきましょう。

  • 発電機を室内・ベランダなど換気の悪い場所で使う(一酸化炭素中毒のおそれ)
  • 換気せずにストーブ・カセットコンロを長時間使う
  • 漏電が疑われるのにブレーカーを上げ続ける
  • 冷蔵庫を頻繁に開ける/傷みが疑われる食品を見た目だけで判断して食べる
  • 未確認情報・デマをSNSで拡散する

復旧後にも注意が必要です。電気が戻ったら、電気ストーブやアイロンの電源が入ったままになっていないか、倒れた家電・濡れた配線がないかを確認してください(通電火災の予防)。

停電対策のよくある質問

停電に備えて最低限必要なものは何ですか?

最低限は①懐中電灯・LEDランタン ②予備電池 ③モバイルバッテリー ④乾電池式ラジオ ⑤飲料水(1人1日3L) ⑥カセットコンロとボンベ ⑦携帯トイレの7点です。まず24時間分を揃え、そこから3日分・1週間分へ広げるのが現実的な進め方です。

停電対策で家庭は何から始めればよいですか?

まず「24時間の停電に耐える」ことを目標に、上記7点を揃えるのが第一歩です。手持ちの懐中電灯・バッテリー・水の残量確認から始め、次に本記事のマトリクス表で目標時間を引き上げるか判断しましょう。

停電の備えは何日分必要ですか?

首相官邸(2024)によると、家庭備蓄は最低3日分、できれば1週間分が推奨です。水は1人1日3Lが目安です。マンション高層階(断水リスク)や災害の多い地域では、水と携帯トイレを多めに見積もってください。

自分の地域の停電リスクはどこで確認できますか?

契約中の電力会社の停電情報サイト、国土交通省のハザードマップポータルサイト、自治体のハザードマップの3つが基本です。地域別の停電リスクを数値化した公的な統一指標はないため、災害想定と過去の停電事例から総合的に判断します。

停電中、冷蔵庫の食品は何時間もちますか?

米国CDC(2020)によると、ドアを開けなければ冷蔵室は約4時間、冷凍室は満杯で約48時間・半分で約24時間、安全な温度を保てます。開閉を最小限にし、長時間の停電後に安全が疑わしい食品は口にしないでください。

オール電化の家は停電するとどうなりますか?

IHクッキングヒーター・エコキュート・電気式床暖房がいずれも止まるため、調理と給湯の代替手段(カセットコンロ)が必須です。太陽光発電があっても自動給電はされません。エコキュートの貯湯タンクの水を生活用水として取り出せる機種もありますが、可否と手順は機種ごとに異なるため取扱説明書で確認してください。

太陽光発電があれば停電しても電気は使えますか?

自動では使えないことが多く、パワーコンディショナを自立運転モードへ手動で切り替え、専用の自立運転コンセントから最大1500Wの範囲で使う仕組みが一般的です。日射があるときに限られるため、夜間は使えない点にも注意してください。

マンションで停電すると水も止まるのはなぜですか?

多くのマンションが電動の給水ポンプで各戸へ水を送っているためです。停電するとポンプが止まり、断水・トイレ使用不可・エレベーター停止が同時に起こり得ます。自分の建物の給水方式は管理会社に確認できます。

ポータブル電源は本当に必要ですか?

全家庭の必需品ではありません。3日以上の停電に備えたい家庭や、医療機器・乳幼児・高齢者がいる家庭では検討の価値があります。本記事の計算ワークシートで必要Whを出し、モバイルバッテリーで足りるかを先に確認しましょう。

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補足

本記事は家庭での一般的な停電対策をまとめたものです。医療機器の運用・建物設備・補助金制度など個別の判断が必要な事項は、かかりつけ医・機器業者・電力会社・管理会社・お住まいの自治体の一次情報を必ずご確認ください。

本記事の最終確認日:2026年8月8日

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