停電時の夏の熱中症対策7選|高齢の親・乳幼児がいる家庭の備え方
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停電時の夏の熱中症対策7選|高齢の親・乳幼児がいる家庭の備え方

夏の停電で熱中症を防ぐ行動は、「涼しい場所への移動」「水分・塩分の補給」「首・脇の下の冷却」の3つが基本です。総務省消防庁の発表によると、2024年5〜9月の熱中症による救急搬送者は約9万7,000人と過去最多で、発生場所の約4割は住居でした。エアコンが止まった閉め切りの室内は短時間で危険な暑さになり得るため、「停電したらどう動くか」をあらかじめ決めておくことが重要です。本記事では、停電直後30分の行動から、高齢の親・乳幼児などケース別の対処、平時からの備えまで、公的情報に基づいて解説します。

結論:停電した夏はまず何をすべきか?

停電した夏はまず、家の中で最も涼しい場所に移動し、水分と塩分を補給しながら首や脇の下を冷やすことが最優先です。

エアコンの復旧をじっと待つ「我慢」が最も危険な選択になりがちです。次の7つを順番に行ってください。

  1. 停電情報の確認: 契約している電力会社の公式アプリ・Webサイトで、停電範囲と復旧見込みを確認します。
  2. 涼しい場所の確保: 直射日光が入らない北側・1階・風通しのある部屋へ移動します。
  3. 水分・塩分の補給: 水や麦茶に加え、塩飴や経口補水液を少量ずつ摂ります。
  4. 体の冷却: 保冷剤や凍らせたペットボトルをタオルで包み、首・脇の下・太ももの付け根に当てます。
  5. 冷蔵庫の開閉を最小限に: 中の保冷剤と冷気を「冷却資源」として温存します。
  6. 家族の状態確認: 高齢者・子どもに声をかけ、顔色・汗のかき方・受け答えを確認します。
  7. 避難の判断: 復旧まで数時間以上かかりそうなら、クーリングシェルターや営業中の商業施設への移動を検討します。
ポイント

熱中症のリスクは「暑さを我慢した時間」に比例して高まるとされています。復旧見込みが不明なら、体調が悪くなる前に涼しい場所へ移る判断が有効です。

なぜ夏の停電で熱中症のリスクが急上昇するのか?

なぜ夏の停電で熱中症のリスクが急上昇するのか?

主な原因は、冷房停止による室温の上昇、高齢者ほど暑さを自覚しにくい体の特性、夜間に進む脱水の3つです。

冷房停止で室温は想像以上に上がる

閉め切った室内は、外気温を上回る暑さになることがあります。日射が入る部屋では冷房停止後1〜2時間で環境が大きく変わり、特に最上階や西向きの部屋は熱がこもりやすくなります。総務省消防庁の2024年統計では、熱中症の発生場所は住居が約4割と最も多く、「屋内だから安全」とは言えないことがデータからも分かります。

高齢者は暑さと喉の渇きを感じにくい

加齢により温度感覚と口渇感は低下するとされています。消防庁の統計では、救急搬送者の半数以上を65歳以上が占めます。「暑くない」「喉は渇いていない」という本人の言葉だけで判断せず、温湿度計の数値と、汗のかき方・顔色で客観的に確認することが推奨されています。

夜間の停電は「気づかない脱水」が進む

熱帯夜の停電では、睡眠中に脱水が進みやすくなります。就寝中は自覚症状が出にくく、朝方に体調を崩すケースもあるとされています。さらに停電中はテレビが使えず、スマホの電池切れが重なると、環境省・気象庁が発表する「熱中症警戒アラート」などの情報も届きにくくなります。

補足

2019年の台風15号では千葉県を中心に最大約93万戸が停電し、復旧に長い地域で約2週間かかりました。9月でも厳しい残暑があり、停電の長期化と熱中症は無関係ではありません。

熱中症のサインは?重症度別の見分け方

めまいや立ちくらみは軽症、頭痛・吐き気は中等症、呼びかけに応じない場合は重症で、直ちに119番通報が必要です。

日本救急医学会の分類では、熱中症は重症度によりI〜III度に分けられます。

重症度主な症状対応
I度(軽症)めまい・立ちくらみ・こむら返り・大量の汗涼しい場所で冷却と水分・塩分補給。必ず誰かが付き添って経過観察
II度(中等症)頭痛・吐き気・強いだるさ・集中力の低下医療機関の受診を検討。自力で水が飲めない場合は受診
III度(重症)意識がおかしい・けいれん・まっすぐ歩けない・体が熱いただちに119番。救急車の到着まで全力で体を冷やす

判断に迷ったときは、次の2点を確認します。

  • 呼びかけに応じるか: 反応が鈍い・受け答えがおかしい場合は119番に通報します。
  • 自力で水を飲めるか: 飲めない・むせる場合は医療機関へ。意識がはっきりしない人に無理に飲ませるのは危険とされています。
注意

停電中は救急要請の判断も遅れがちです。「意識がおかしい」と感じたら様子見をせず119番へ。判断に迷う場合は救急安心センター(#7119、未実施の地域あり)に相談できます。

エアコンなしで乗り切る具体的な解決方法

エアコンなしの対処は「体を直接冷やす」「風と日射をコントロールする」「電源を確保する」の3本柱で行います。

体を直接冷やす:太い血管と気化熱を使う

冷却効率が高い部位は首・脇の下・太ももの付け根です。保冷剤や凍らせたペットボトルをタオル越しに当てます。濡らしたタオルで体を拭き、うちわや扇風機で風を送ると気化熱で体温が下がります。霧吹きで肌を湿らせてから扇ぐ方法も有効とされ、近年は手のひらや足の裏を冷水で冷やす方法も研究されています。

飲む量と経口補水液の目安

水分はコップ1杯(150〜200ml)を1時間ごとなど、少量をこまめに摂るのが基本です。大量に汗をかいた場合は塩分も必要で、経口補水液が適しています。市販品がない場合の応急的な代用として、水1Lに食塩3g・砂糖40gを溶かす方法が自治体などで紹介されていますが、あくまで応急用です。腎臓病・高血圧などで塩分制限のある方は、主治医の指示を優先してください。

風と日射をコントロールする

対角線上の窓を2カ所開けて風の通り道を作ります。すだれや遮光カーテンで日射を遮り、打ち水は朝夕の涼しい時間帯に行うと効果的とされています。ただし外気温が室温より高い日中は、窓を大きく開けると熱気が入って逆効果になることがあるため、温度計で外気温と室温を比べて判断します。

電源を確保して「動く冷房」に頼る選択肢

乾電池式扇風機・充電式ハンディファンとモバイルバッテリーは、停電時の基本装備です。ポータブル電源があれば、消費電力30W前後の扇風機を300Whクラスで8時間程度動かせる計算です(変換ロスで実際は2〜3割目減りします)。長時間の停電では車のエアコンで休憩する方法もありますが、ガソリン残量に注意し、車庫など閉め切った場所でのアイドリングは排ガスがこもるため行わないでください。子どもだけを車内に残すことも避けてください。

ポイント

「冷やすのは首・脇・足の付け根」「飲むのは少量をこまめに」。この2つは停電時に限らない熱中症対策の基本とされています。

ケース別の対処:高齢の親・乳幼児・一人暮らし

対処の優先順位は家族構成で変わります。高齢者は声かけと移動の支援、乳幼児は体温チェック、一人暮らしは連絡の確保が要です。

高齢の親(同居・近居)の場合

本人の「大丈夫」を基準にしないことが第一です。停電前からエアコンを使わず室温が高いケースもあります。停電したら、(1)温湿度計で部屋の状態を測る、(2)「飲んで」と言うだけでなく一緒に水分を飲む、(3)涼しい場所やシェルターへ一緒に移動する、の順で支援します。

遠方の親の場合

電話で確認すべきは「受け答えが普段どおりか」「今いる部屋の暑さ」「水分を摂ったか」の3点です。会話がかみ合わない場合は、近隣の親族・知人や自治体の地域包括支援センターに訪問を依頼します。緊急性が高いと感じたら、離れた場所からでも親の住所地を管轄する119番に通報できます。

乳幼児のいる家庭

乳幼児は体温調節機能が未熟なうえ、身長が低いため地面からの照り返しの影響も強く受けます。首の後ろや背中に手を入れて汗と体温を確認し、授乳・水分をこまめに与えます。ベビーカーでの移動は路面の熱に注意し、短時間でも子どもを車内に残すことは避けてください。

一人暮らし(自分自身)の場合

体調が悪化しても気づかれにくいことが最大のリスクです。停電したら家族や友人に「停電中であること・今いる場所」を一報し、つらくなる前に営業中の商業施設・図書館・クーリングシェルターへ移動します。「まだ大丈夫」の段階で動くのが原則です。

在宅医療機器を使う家族がいる場合

人工呼吸器・たん吸引器・在宅酸素などは、停電が命に直結します。平時から医療機関や機器メーカーに停電時の対応を確認し、外部バッテリーや非常用電源を確保しておくことが推奨されています。停電したら速やかに機器業者・訪問看護・かかりつけ医に連絡し、指示を仰いでください。

注意

多くの自治体には、災害時に支援が必要な人の「個別避難計画」の制度があります。高齢・持病・医療機器などの事情がある場合は、平時に市区町村の窓口へ相談しておきましょう。

予防・再発防止:平時からの備えチェックリスト

備えの基本は、飲料水を1人1日3L×最低3日分と、電気に頼らない冷却手段を2つ以上そろえておくことです。

内閣府の防災情報では、飲料水は1人1日3Lを目安に最低3日分、できれば1週間分の備蓄が推奨されています。夏の停電対策では、これに「冷やす手段」を上乗せして考えます。

備蓄品目安ポイント
飲料水1人1日3L×3日分以上ローリングストックで期限切れを防ぐ
経口補水液1人2〜3本大量発汗時用。粉末タイプは軽く保管しやすい
保冷剤・凍結ペットボトル冷凍庫に常備停電時は体を冷やす道具に転用できる
乾電池式扇風機1人1台+予備電池濡れタオルと併用すると効果が上がる
モバイルバッテリー10,000mAh以上情報収集と安否連絡の生命線
ポータブル電源300Wh〜冷蔵庫等も動かすなら1,000Wh級+定格出力を確認
温湿度計各居室に1つ感覚でなく数値で危険を判断する
すだれ・遮光カーテン西日の窓に停電前からの室温上昇を抑える

物以外の備えも重要です。

  • クーリングシェルターの場所を調べておく: 2024年施行の改正気候変動適応法により、市区町村が冷房の効いた「指定暑熱避難施設(クーリングシェルター)」を指定しています。自宅と実家の最寄りを自治体サイトで確認しておきましょう。
  • 停電情報アプリの登録: 契約中の電力会社のアプリを家族全員のスマホに入れておきます。
  • 家族ルールを決める: 「停電が2時間を超えて復旧見込み不明なら○○へ移動する」など、判断基準を事前に共有しておくと迷いません。
まとめ

夏の停電対策は「水3L×3日分」「電気に頼らない冷却手段」「避難先の目星」の3点セットで考えると、家庭ごとの過不足が見えやすくなります。

専門家・公的機関の見解:何を基準に行動すべきか

公的機関は、暑さ指数(WBGT)に基づく行動判断と、室温が28℃を超えない環境づくりを推奨しています。

環境省の「熱中症予防情報サイト」では、気温だけでなく湿度や日射を加味した暑さ指数(WBGT)を公開しており、WBGT28以上で「厳重警戒」、31以上で「危険」とされています。危険レベルでは外出を控えて涼しい室内へ移ることが推奨されますが、停電時は「涼しい室内」自体が確保できないため、シェルター等への移動判断がより重要になります。

環境省・気象庁は、熱中症の危険性が極めて高い気象状況が予測される際に「熱中症警戒アラート」を、さらに深刻な場合には「熱中症特別警戒アラート」(2024年運用開始)を発表しています。

また、総務省消防庁が毎年公表する「熱中症による救急搬送状況」では、2024年5〜9月の搬送者は約9万7,000人と過去最多で、65歳以上が半数以上を占めました。日本救急医学会の熱中症診療ガイドラインでも、重症例では「いかに早く体温を下げるか」が経過を左右するとされています。停電時であっても、早く冷やし、早く救急要請するという原則は変わりません。

ポイント

数値の基準(WBGT・室温・湿度)を平時から見る習慣をつけておくと、停電時にも「感覚に頼らない判断」ができます。

やってはいけないNG対応

最も危険なのは発電機の屋内使用と、暑い室内での我慢の継続です。良かれと思った行動が事故につながることもあります。

  1. 発電機を屋内・玄関・閉め切ったガレージで使う: 排ガスによる一酸化炭素中毒の死亡事故が起きており、消費者庁やNITE(製品評価技術基盤機構)が屋外での使用を強く呼びかけています。
  2. 高温の室内で扇風機の風だけに頼り続ける: 気温が35℃を超えるような環境では、扇風機だけでは体温上昇を防げない恐れがあると米CDC(疾病予防管理センター)などが指摘しています。濡れタオルとの併用か、涼しい場所への移動を優先します。
  3. アルコールやカフェインの多い飲料で水分補給する: 利尿作用により、かえって脱水を進める恐れがあるとされています。
  4. 子どもやペットを車内に残す: 停車中の車内は短時間で危険な温度に達します。「少しの間だけ」も避けてください。
  5. 冷蔵庫を何度も開け閉めする: 冷気が逃げ、保冷剤も早く溶けます。開閉しなければ冷蔵室は2〜3時間程度、満杯の冷凍室は1日程度保冷が続くとされます(機種や状況で差があります)。
  6. 意識がもうろうとした人に無理に水を飲ませる: 誤嚥の危険があります。飲めない場合は体を冷やしながら救急車を待ちます。
  7. 「復旧まで待とう」と我慢を続ける: 復旧予定時刻は前後することが多く、待つ時間の分だけリスクが積み上がります。
注意

NG対応の多くは「節約・我慢・善意」から起こります。停電時は「安全>節約」を家族の合言葉にしてください。

まとめ:今日からできる3つの行動

夏の停電対策は、初動の知識と少しの備えでリスクを大きく下げられるとされています。次の3つから始めてみてください。

  • 今日: 冷凍庫に凍結ペットボトルか保冷剤を常備し、各部屋に温湿度計を置く。
  • 今週: 自治体サイトでクーリングシェルターの場所を確認し、「停電したら○○へ」の家族ルールを共有する。
  • 今月: 水3L×人数×3日分と、乾電池式扇風機・モバイルバッテリーを点検・補充する。
まとめ

「移動・水分・冷却」の初動7ステップと、水・冷却手段・避難先の3点セットの備え。この2つがそろえば、停電と猛暑が重なった日の行動に迷いがなくなります。

よくある質問

停電中、扇風機やハンディファンだけで熱中症は防げますか?

風だけでは不十分な場合があります。特に室温が体温に近い環境では、濡れタオルや霧吹きで肌を湿らせ、気化熱と組み合わせることが推奨されています。それでも暑さがつらい場合は、涼しい施設への移動を優先してください。

夜間に停電したら、眠るときはどう対策すればよいですか?

風通しの良い部屋で、保冷剤を首や脇の下に当てて休むのが基本です。冷気は低い場所にたまるため、床に近い位置のほうが涼しいことがあります。枕元に飲み物を置き、家族がいる場合は互いに朝の体調を確認し合ってください。

ポータブル電源はどのくらいの容量を選べばよいですか?

扇風機とスマホ充電が目的なら300Wh前後が一つの目安です。消費電力30Wの扇風機なら理論上10時間、変換ロスを差し引くと8時間程度動く計算です。冷蔵庫や小型冷風機も動かしたい場合は、1,000Wh級の容量と定格出力(W)の確認が必要です。

遠方に住む高齢の親が停電地域にいます。何ができますか?

まず電話で「受け答え・部屋の暑さ・水分」の3点を確認してください。連絡がつかない、または会話の様子がおかしい場合は、近隣の親族や自治体の地域包括支援センターに訪問を依頼し、緊急性が高ければ親の住所地の119番に通報します。平時から近所の連絡先を1つ確保しておくと対応が早くなります。

停電したら冷蔵庫の保冷剤や食品はどう使えばよいですか?

開閉を最小限にして冷気を保つのが第一です。そのうえで、熱中症の危険を感じたら保冷剤や凍結ペットボトルは迷わず体の冷却に使ってください。食品の傷みより体の安全が優先です。冷凍食品は溶けかけでも保冷材の代わりになります。

補足

本記事は公的機関の公開情報に基づく一般的な情報提供であり、診断や治療に代わるものではありません。体調に不安があるときは、医師・薬剤師、救急安心センター(#7119)、かかりつけ医に相談してください。

最終確認日: 2026年7月19日

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