断水時のトイレの流し方とは:5〜6L+3〜4Lの2段階投入
| 段階 | 水量 | 注ぎ方 | 目的 |
|---|---|---|---|
| 1段階目 | 5〜6L | 便器中央のたまり水へ一気に | 汚物を排水管へ押し流す |
| 2段階目 | 3〜4L | 静かにゆっくり | 封水(溜水面)を戻し臭気・害虫を防ぐ |
| 2〜3回に1度 | バケツ2杯 | 一気に | 排水管途中の停滞を防ぐ |
【判定フロー】そのトイレ、流していい?5つの質問

Q1. 直前に震度5弱以上の地震がありましたか?
- あった → STOP(携帯トイレへ):自治体・管理組合の排水系統の点検が完了するまで流さない
- なかった → Q2へ
Q2. 自治体から下水道の使用制限・自粛要請が出ていませんか?
- 出ている → STOP(携帯トイレへ):水が出ていても流さない
- 出ていない → Q3へ
Q3. 住まいは戸建てですか、集合住宅ですか?(マンションの断水時の流し方)
- 集合住宅 → 管理会社・管理組合が縦管(排水立管)の点検結果を出すまでSTOP
- 戸建て → Q4へ
Q4. 便器に異常の兆候はありませんか?
- 便器から汚水が上がってくる
- ゴボゴボと異音がする
- たまり水の水位が引かない・上がってくる
- 下水のにおいが強く上がってくる
- ひとつでも該当 → STOP(携帯トイレへ)
- 該当なし → Q5へ
Q5. 断水の原因は下水道と無関係ですか?
- 水道工事・計画断水・凍結・給水管の漏水・渇水 → バケツ洗浄OK
- 原因不明 → STOP(携帯トイレへ)
5問すべてクリアでも、それは「現時点で異常が確認できない」という意味です。余震や追加の被害情報が出た時点で判定はやり直してください。国土交通省の緊急点検結果(2024年11月1日)によると、令和5年度末時点で下水道管路の耐震化率は約72%、下水処理場は約48%、ポンプ場は約46%にとどまり、上水・下水の管路が両方とも耐震化されている重要施設は約15%にすぎません。インフラは途上にあるという前提で判断してください。
STOPが出たときの切り替え手順(携帯トイレ)
- 便器内の水を残したまま、便器全体に大きめのポリ袋をかぶせる(1枚目は汚れ防止用で使い回します)
- その上に携帯トイレの排便袋(2枚目)をセットする
- 用を足したら凝固剤を全体にふりかける
- 2枚目の袋だけを取り出し、空気を抜いて口を固く結ぶ
- フタ付きのゴミ箱や密閉容器に、直射日光の当たらない場所で保管する
【便器タイプ別】断水時の流し方対応表
| 便器タイプ | A. 判別方法 | B. 1回の水量目安 | C. レバー操作 | D. 電源の扱い | E. 絶対NG |
|---|---|---|---|---|---|
| ①従来型タンク式(〜2001年頃・大13L) | タンクあり/タンク裏・便器側面の品番ラベル/製造年シールが2001年以前 | 6L前後、流れが弱ければ8L程度 | 断水中は使わない | 便座の電源プラグを抜く | タンクへの注水 |
| ②節水型タンク式(3.8〜4.8L) | タンクあり/2010年代後半以降の品番/「節水」表示 | 5〜6Lで十分。トラップが狭いため一気投入が必須 | 断水中は使わない | 便座の電源プラグを抜く | ちょろちょろ注ぎ |
| ③タンクレス(電気式) | タンクがない/本体にリモコン・電源コード | 5〜6L+封水3〜4L | 手動レバーは断水時は無効 | 本体の電源プラグを抜く | 手動レバーを引き続ける |
| ④温水洗浄便座付き | 便座に操作パネル・リモコン | 便器本体の種別に準じる | ― | 電源プラグを抜く/自動洗浄を「切」 | 電源を入れたまま注水 |
| ⑤和式 | 段差のある床埋込型 | 6L前後を一気に | ― | ― | 少量ずつの分割投入 |
共通の準備と手順
- バケツ(両手で持てる6〜8L程度が扱いやすい)
- 水5〜6L(飲用でなくて構いません。風呂の残り湯、雨水、生活用水で可)
- 封水を戻す用の水3〜4L
- ゴム手袋、新聞紙やビニールシート(床の養生用)
- 温水洗浄便座の電源プラグを抜き、自動洗浄機能を「切」にする(誤作動・故障の原因になります)
- 床に新聞紙・ビニールシートを敷き、コンセントに水がかからないようにする
- 便座を上げ、バケツに5〜6Lの水を用意する
- 便器のフチではなく、中央のたまり水めがけて短時間で一気に流し込む(勢いがそのまま排出力になります)
- 注ぎ終えたら排水音が落ち着くまで待つ
- 続けて3〜4Lを静かに注ぎ、封水を通常の水位に戻す
残り湯を使うときの注意
トイレを断水時にペットボトルで流す方法(2Lで何本?)
| 用途 | 水量 | 2Lペットボトル換算 |
|---|---|---|
| 1回目(一気に流す) | 5〜6L | 約3本 |
| 2回目(封水を戻す) | 3〜4L | 約2本 |
| 1回分の合計 | 約9〜10L | 約5本 |
- 1回目の5〜6Lは、いったん洗面器や大きめの容器にまとめてから一気に注ぐ
- まとめる容器がない場合は、3本を続けて途切れなく注ぐ(間を空けると勢いが切れます)
- 2回目の封水戻しは、ペットボトルからゆっくり注いで問題ありません
タンクレストイレの断水時の流し方(レバーがない場合)
停電だけで水は出ている場合:手動レバーで流せる
断水している場合:手動レバーでは流せない
レバー式(タンク式)の場合
【在庫計算】浴槽の汲み置きは何日もつ?
| 世帯 | ①1日あたり必要水量 | ②浴槽満水180Lで何日もつか | ③節水運用での持ち日数 | ④7日分に必要な携帯トイレ |
|---|---|---|---|---|
| 1人暮らし | 50L(5回) | 約3.6日 | 約7日 | 17回分 |
| 2人世帯 | 100L(10回) | 約1.8日 | 約3.6日 | 52回分 |
| 3人世帯 | 150L(15回) | 約1.2日 | 約2.4日 | 87回分 |
| 4人家族 | 200L(20回) | 約0.9日 | 約1.8日 | 122回分 |
| 高齢親と同居の2人 | 100L(10回) | 約1.8日 | 約3.6日 | 52回分 |
※③の節水運用=1人1日のうち「大」1回だけをバケツ洗浄し、「小」4回は携帯トイレに回す前提。④は必要回数(人数×5回×7日)から②で流せる回数(180L÷10L=18回)を引いた値。
結論:4人家族なら浴槽1杯は1日で尽きる
備えの現実:家庭の備蓄率は22.2%
浴槽の汲み置きには副作用があります。消費者庁「御家庭内での子どもの溺水事故に御注意ください!」(令和3年)は、0〜1歳の入浴中の溺水事故が最も多くわずかな水深でも発生するとして、入浴後は浴槽の水を抜く、使用後の洗濯機・洗面器・バケツに水をためたままにしないよう呼びかけています。防災の定番アドバイスと真正面から衝突する点です。乳幼児がいるご家庭では、浴槽の汲み置きではなくポリタンク(フタ付き・高い場所)での保管に切り替え、浴室に施錠するなど、両立できる方法を選んでください。
高齢の親・一人暮らし:そもそも「運べるか」を確認する
| 動作 | 高齢者・腰痛のある方への現実性 | 代替案 |
|---|---|---|
| 浴槽から水を汲む | 前かがみの姿勢が負担 | 柄杓とポリタンクで小分けに汲み置き |
| 5〜6Lを運ぶ | 約6kgの持ち運びが負担 | 3Lの小型バケツ×2回に分割運搬 |
| 一気に注ぐ | 持ち上げて勢いをつける動作が困難 | 携帯トイレへ切り替える |
高齢の親の家では携帯トイレを標準装備に
- ポータブルトイレ(据置型の簡易便器)を寝室近くに置くと移動距離が短くなります
- 携帯トイレと消臭袋をセットで、手の届く場所に置く
- 紙おむつ・尿とりパッドの併用も現実的な選択肢です
- トイレを我慢して水分摂取を控えると、脱水や血栓症のリスクが高まります。回数を減らす目的で水分を制限しないよう、あらかじめ伝えておいてください
一人暮らしの場合
断水復旧後の再開手順:トイレは「最後」に流す
- 屋外の蛇口から流すのが最も望ましい(宅内の機器を経由せずに空気と濁りを排出できます)
- 屋外に蛇口がない場合は、洗面所などトイレ以外の水栓で透明になるまで流す
- 水が透明になったことを確認する
- トイレは最後に流す
もうひとつ、上水道と下水道は復旧工程が別です。蛇口から水が出ても下水道が使えるとは限りません。復旧後も、自治体から下水道の使用制限が解除されたかを確認してから通常使用に戻してください。
やってはいけないNG対応
| NG行動 | 起こりうること | 代わりにすること |
|---|---|---|
| 地震後、判定せず流す | 汚水の逆流・噴出、階下への漏水。排水設備の修理は自己負担 | 5問フローで判定、不明なら携帯トイレ |
| 水が出ているから流す | 下水道側が被災していれば逆流(八潮型・2025年1月) | 自治体の使用制限告知を確認 |
| 少量ずつちょろちょろ注ぐ | 汚物が排水管途中で停滞し、詰まりの原因に | 5〜6Lを一気に注ぐ |
| ロータンクに水を入れて流す | 手洗い付きタンクは作動不良の原因(LIXIL 公式Q&A) | 便器のたまり水に直接注ぐ |
| 残り湯をタンクに入れる | 毛髪・皮脂が部品に絡み故障 | 便器に直接投入する |
| 封水を戻さない | 下水のにおい・害虫の侵入 | 洗浄後に3〜4Lを静かに注ぐ |
| トイレットペーパーを流す | 少ない水量では押し流せず詰まる | ゴミとして分別処分 |
| 温水洗浄便座の電源を入れたまま | 誤作動・故障、コンセントへの浸水 | 電源プラグを抜き、床を養生 |
| 復旧後、トイレから最初に流す | 濁り水でフィルター詰まり・器具破損 | 屋外水栓→洗面所→トイレの順 |
| 使用済み袋を屋外に放置 | 収集停止中は衛生害虫・悪臭の発生源に | 密閉して屋内保管、収集再開を待つ |
| トイレを我慢して水分を控える | 脱水・血栓のリスク | 水分は通常どおり摂り、携帯トイレを使う |
使用済み携帯トイレの保管:ごみ収集が止まる前提で
- 口を固く結び、防臭袋に入れる(二重袋が有効です)
- フタ付きのポリバケツを保管専用に用意する
- 直射日光の当たらない場所で屋内保管する
- 屋外に放置しない(衛生害虫の発生源、悪臭の原因になります)
よくある質問
Q1. 断水中、トイレのタンクに直接水を入れて流してもいいですか?
Q2. 断水時、トイレをペットボトルで流すには何本必要ですか?
Q3. マンションで断水しました。トイレはすぐ流していいですか?
Q4. タンクレストイレは断水時どうやって流しますか?
Q5. 断水中のトイレの流し方で、風呂の残り湯や雨水は使えますか?
Q6. 水は出るのに「トイレを流すな」と言われました。どういうことですか?
Q7. 携帯トイレは何回分あれば足りますか?
Q8. 断水が復旧したら、すぐトイレを流していいですか?
Q9. 使用済みの携帯トイレはどう捨てればいいですか?
まとめ
本記事は一般的な備えの考え方をまとめたものです。住宅の構造、下水道か浄化槽か、機器の型式によって適切な対応は異なります。持病がある方、介護が必要な方、妊娠中の方、乳幼児のいるご家庭は個別の配慮が必要です。設備の取り扱いはメーカーの取扱説明書を、集合住宅は管理会社・管理組合の指示を、災害時は自治体の最新発表を最優先してください。制度・指針・製品仕様は更新されます。




