防災 高齢者|命を守る持ち物は6kgで決まる|関連死449人から逆算
防災備蓄の教科書 / 記事

防災 高齢者|命を守る持ち物は6kgで決まる|関連死449人から逆算

/

防災を高齢者向けに考えるとき、最初に決めるべきは「何を足すか」ではなく「6kgに何を残すか」です。石川県危機管理部危機対策課「令和6年能登半島地震における災害関連死の概況(第37回審査会まで)」(2025)によると、認定された災害関連死449人のうち既往歴「あり」が430人(95.8%)、80代以上が368人(82.0%)を占めました。つまり高齢者の命を奪ったのは「持ち物の不足」より、持病の悪化とライフラインの途絶でした。

この記事は、上位記事にありがちな「全部そろえる網羅リスト」をやめ、実際の災害関連死データから逆算して優先順位を決め、高齢者が背負える重量の目安6kgに収まるまで引き算する設計手順をまとめたものです。あわせて、2025年12月に従来の健康保険証が有効期限を迎えたことによる「持ち物の中身の入れ替え」と、行政の個別避難計画に頼れない現実への対処も扱います。

備えの正解は地域差・家庭差・健康状態で大きく変わります。最後は必ずお住まいの自治体のハザードマップ・避難情報と、主治医・薬剤師・ケアマネジャーへの相談で調整してください。

ポイント

高齢者の防災は「重さの上限」を先に決める作業です。6kgという枠を決めてから、S(ないと持病が悪化する物)→A(ライフライン途絶の負担を減らす物)→B(快適さ)の順に入れると、迷いが消えます。

結論:防災の高齢者対策は「関連死の原因」から逆算する

高齢者の防災で最優先すべきは、常備薬と医療情報・電源・水分と排泄の3点です。これは好みの問題ではなく、実際に亡くなった方の原因区分から導かれる順番です。

石川県(2025)の同資料によると、災害関連死449人の原因区分(複数選択)は「地震のショック、余震への恐怖による肉体的・精神的負担」395件(88.0%)に次いで、「電気、水道等の途絶による肉体的・精神的負担」が233件(51.9%)でした。死因は心血管疾患136件(30.3%)、呼吸器疾患126件(28.1%)と、持病の延長線上にあるものが上位を占めます。

さらに、亡くなった時期にも特徴があります。同資料では発災1か月以内の死亡が147人(32.7%)、半年以内で87.5%に達しています。「避難生活が長引くほど危ない」のではなく、初期1か月が最も危険という構図です。

ここから導かれる優先順位は次のとおりです。

  1. S:これがないと持病が悪化し死に直結するもの(常備薬、お薬手帳、医療情報、眼鏡、補聴器用電池)
  2. A:ライフライン途絶による負担を直接減らすもの(水、携帯トイレ、電源、保温、食べられる食品)
  3. B:あると快適なもの(着替え、圧縮タオル、日用品)

内閣府「防災に関する世論調査(令和7年8月調査)」(2025)では、3日分以上備蓄している割合は飲料水69.8%に対し、携帯トイレ・簡易トイレは27.2%にとどまります。水は用意されているのに排泄は放置されている、という偏りが全国的に残っています。

まとめ

「網羅」ではなく「逆算」。既往歴あり95.8%・原因の51.9%がライフライン途絶という数字が、薬・電源・水・トイレを最上位に押し上げます。

防災グッズを高齢者向けに選ぶ基準は「6kg」

防災グッズを高齢者向けに選ぶ基準は「6kg」

高齢者の防災グッズ選びは、品目の議論より先に総重量の上限を決めることから始めます。持てない荷物は、避難そのものを遅らせるからです。

非常持ち出し袋の重さの目安は、成人男性15kg・成人女性10kgに対し、こども・高齢者は6kgとされています(京都光華大学 社会科学部 防災ラボ「その防災リュックの重さ、本当に背負って走れますか?」)。体重の10〜15%を上限の目安とする考え方です。上位記事によくある「全部入りリスト」をそのまま詰めると、この枠は簡単に超えます。

そこで、実際に積算しながら削るためのシートを用意しました。

6kgから逆算する高齢者の防災リュック設計シート

品目概算重量(g)優先度削れる条件更新月
常備薬7日分+お薬手帳約200S削らない毎月
マイナンバーカードまたは資格確認書+コピー約20S削らない12月
眼鏡の予備約30S眼鏡を使わない場合のみ年1回
補聴器用電池1か月分約20S補聴器なしの場合のみ3か月ごと
入れ歯洗浄剤7日分約70A入れ歯なしの場合半年ごと
飲料水500ml×21,000A在宅避難が確定なら1本へ半年ごと
携帯トイレ5回分+ゴミ袋約250A削らない年1回
常温保存できる高たんぱく食品3食約450A2食へ減らす半年ごと
モバイルバッテリー10,000mAh約200A削らない3か月ごと
ヘッドライト約90A削らない半年ごと
圧縮タオル・下着約300B最初に削る年1回
保温用アルミブランケット・カイロ約150A夏季のみ減量半年ごと
現金(小銭中心)・連絡先1枚約100S削らない年1回
合計約2,880
6,000gとの差分約3,120gの余裕ここに靴・雨具・介護用品を追加

使い方は次のとおりです。

  1. 上の表に、本人固有の品(大人用おむつ、とろみ剤、血糖測定器、在宅酸素の予備など)を実測して書き足します。
  2. 合計が6,000gを超えたら、B→Aの順に削ります。Sは削りません。
  3. 削った物は捨てず、玄関の在宅備蓄箱へ回します。持ち出せなかった分は、在宅避難で使う想定に切り替えます。

重要なのは携帯トイレの扱いです。内閣府(防災担当)「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」(令和6年12月改定)では、1人1日あたりのトイレ使用回数を5回として必要数を算定します。7日分なら1人35回分ですが、この量をリュックに入れると重量が破綻します。リュックには5回分、残り30回分は在宅備蓄側に分離してください。

食料については、農林水産省「要配慮者のための災害時に備えた食品ストックガイド」(2019)が、要配慮者は災害時に適した食品が手に入りにくいため家庭備蓄が特に重要であり、高齢者はサルコペニア・フレイル予防の観点からたんぱく質確保を意識した備蓄が望ましいとしています。備蓄日数も一般より長め(2週間程度)が推奨されています。

注意

薬は自己判断で減らしたり中断したりしないでください。持ち出し量や予備処方は、必ず主治医・薬剤師に相談して決めてください。

高齢者の防災グッズは「避難先」で変わる(判定チャート)

持ち物の正解は一つではなく、どこへ避難するかで必要な物が入れ替わります。先に避難先を決めてから、そのルート専用の物を足すのが効率的です。

高齢者の避難先判定チャート

``` Q1. ハザードマップで自宅は浸水・土砂・津波の想定区域か? ├─ いいえ → Q3へ └─ はい → Q2へ

Q2. 想定浸水深より上の階に、階段を使って安全に留まれるか? ├─ はい → Q3へ └─ いいえ → 立ち退き避難が前提。Q3へ

Q3. 電源が止まると命に関わる医療機器を使っているか? (在宅酸素濃縮器・人工呼吸器・吸引器・電動ベッド) ├─ はい → 停電に耐えられないなら B / C / D を検討 └─ いいえ → Q4へ

Q4. 要介護認定・車いす・常時見守りが必要か? ├─ はい → Q5へ └─ いいえ → 自宅が安全なら【A 在宅避難】/危険なら【B 指定避難所】

Q5. 市町村の個別避難計画があるか、指定福祉避難所の受入対象か? ├─ はい → 【C 指定福祉避難所へ直接避難】 └─ いいえ → 【D 親戚宅・ホテル等の分散避難】を第一候補に、自治体へ相談 ```

終端ごとに追加する物は次のとおりです。

終端そのルートでだけ追加で要る物
A 在宅避難携帯トイレ35回分、カセットコンロとボンベ、非常用電源、水の在宅備蓄
B 指定避難所スリッパ、耳栓、アイマスク、エアーマット、大判タオル
C 指定福祉避難所へ直接避難受給者証・介護度がわかる書類、ケアマネジャーの連絡先、個別避難計画の写し
D 分散避難現金(小銭)、お薬手帳のコピー、数日分の着替え、移動手段の確保

ここで前提を一つ共有します。内閣府・消防庁「避難行動要支援者名簿及び個別避難計画の作成等に係る取組状況の調査結果」(令和7年4月1日現在、令和7年6月20日公表)によると、個別避難計画の作成率が20%以下の市町村が920団体・52.8%と過半数を占めます(これまでに計画が作成された要支援者は累計1,451,097人)。未作成の市町村は50団体(2.9%)まで減りましたが、「計画がまだない」のがむしろ普通という状況です。

そこで、家族が自作する「わが家の個別避難計画」を1枚にまとめます。記入項目は次の5つで十分です。

  1. 避難先(第1候補と第2候補、経路)
  2. 連絡先3件(家族、かかりつけ医、ケアマネジャー)
  3. 持病と薬(薬剤名、用法、アレルギー)
  4. 支援してくれる近所の人(氏名と連絡先)
  5. 集合時刻とルール(警戒レベル3で動く、など)

なお内閣府(防災担当)「福祉避難所の確保・運営ガイドライン」(令和3年5月改定)では、令和3年の災害対策基本法改正を受け、指定福祉避難所の受入対象者を公示したうえで、個別避難計画等の作成プロセスを通じて事前に調整し、直接避難することが促進されています。自作の計画を持って自治体窓口に相談すると、話が具体的に進みやすくなります。

ポイント

「計画がないから避難できない」ではなく、「自作の1枚を持って窓口に相談する」が現実的な一歩です。

2026年版:身分証と医療情報の持ち物アップデート

持ち物リストで今いちばん古びやすいのが本人確認書類と医療情報です。ここは2024〜2025年に制度が動いたため、古いリストのままだと使えない書類を持ち歩くことになります。

これまで定番だった物2026年現在の正解変わった理由(出典年)今日の準備手順
健康保険証のコピーマイナンバーカード(保険証利用登録済)または資格確認書+そのコピー2024年12月2日以降、従来の健康保険証は新規発行されずマイナ保険証を基本とする仕組みへ移行。マイナ保険証を保有しない人には申請不要で資格確認書が無償交付される(政府広報オンライン/デジタル庁 2024)。従来の保険証は2025年12月1日で法的な有効期限が満了財布とリュックの中身を今すぐ確認し、資格確認書が届いているか探す。古い保険証のコピーは差し替える
紙のお薬手帳のみ紙+電子お薬手帳アプリ+薬のパッケージのスマホ写真の三重化お薬手帳等で服用薬が確認できれば処方箋がなくても調剤される取扱いがあり、確認手段の冗長化が命綱になる(東京都保健医療局 2024)次に薬を飲む前に、パッケージをスマホで1枚撮る
緊急連絡先の手書きメモ連絡先+かかりつけ医+ケアマネ+避難先を1枚にした個別避難計画の写し(本人リュック・冷蔵庫・別居家族の3か所)要配慮者支援は自治体任せでは間に合わない。作成率20%以下の市町村が52.8%(内閣府・消防庁 2025)上記5項目を1枚に書き、コピーを3か所へ
電池式ラジオだけ医療機器の電源計画(内蔵バッテリー稼働時間の実測メモ+外部電源+自治体の購入助成の確認)関連死の原因の51.9%が電気・水道等の途絶(石川県 2025)機器の内蔵バッテリーで何時間動くか実測し、メモをリュックに入れる

電源については、在宅酸素濃縮器・電動ベッド・吸引器・電動車いすなど、止まると生活と命が直結する機器から順に対策します。自治体によっては非常用電源の購入助成制度がありますので、お住まいの市区町村の障害福祉・高齢福祉窓口で確認してください。

薬が尽きた場合の入手手順も、事前に家族で共有しておきます。東京都保健医療局「被災時の薬の入手方法」(2024)は、①かかりつけの病院・薬局に連絡、②避難所に開設された救護所に相談、③避難所の管理スタッフに相談、という順序を示しています。お薬手帳等で服用薬が確認できれば、処方箋がなくても調剤される取扱いがあるため、手帳の写真1枚が実務的な意味を持ちます。

注意

制度は今後も変わる可能性があります。保険証まわりは年1回、点検日に「今の正解」を自治体・健保組合の案内で確認してください。

離れて暮らす親に備えさせる手順

離れて暮らす親の防災は、「送る」より「一緒にやる」ほうが確実です。本人が準備を拒む、置き場所を忘れる、という前提で設計します。

国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計(全国推計)2024年推計」によると、高齢世帯のうち単独世帯は2020年から2050年にかけて+346万世帯(+47%)増える見通しです。「一人で判断して一人で避難する高齢者」は今後さらに増えます。

帰省時に一緒にやる手順は次の4ステップです。

  1. 置き場所を親に決めてもらう:こちらが決めると忘れられます。「玄関の靴箱の下」など、親自身の言葉で決めてもらい、その場をスマホで撮影します。
  2. 薬とお薬手帳を撮る:薬のパッケージ、お薬手帳の直近ページ、かかりつけ医の診察券を撮影し、自分のスマホにも保存します。
  3. 6kgシートを一緒に埋める:親に実際に背負ってもらい、玄関から道路まで歩けるか試します。歩けなければ、その場でBから削ります。
  4. ハザードマップを一緒に開く:自宅が浸水・土砂の想定区域か、避難先はどこかを、親の口から言えるまで確認します。

役割分担の考え方は次のとおりです。

置く場所親の家に置く物別居家族が持つ情報
玄関6kgのリュック、履き慣れた靴リュックの中身リストの写真
冷蔵庫の扉個別避難計画の写し、連絡先同じ内容のコピーとスマホ写真
寝室ヘッドライト、スリッパ、笛親の避難先候補と経路
収納在宅備蓄(水・携帯トイレ30回分・食料)賞味期限と更新月のリマインダー
補足

親が準備を嫌がるときは、「防災のため」ではなく「停電したとき困らないため」と言い換えると受け入れられやすい傾向があります。断水・停電という生活課題として話すのが実用的です。

高齢 者 防災でよくある落とし穴とNG対応

結論として、「薬の自己中断」「重すぎる荷物」「情報が本人の頭の中だけにある状態」が3大NGです。良い品をそろえても、この3つがあると機能しません。

  • 薬を自己判断で減らす・やめる:もったいないからと節約するのは危険です。予備の確保は主治医・薬剤師に相談して決めます。
  • 荷物を詰め込みすぎる:6kgを超えた時点で避難が遅れます。超過分は在宅備蓄へ回します。
  • 本人しか中身を知らない:薬名も置き場所も家族が知らなければ、いざという時に代われません。
  • 「まだ大丈夫」と避難を先延ばしにする:警戒レベル3「高齢者等避難」は、避難に時間がかかる方が先に動くための段階です。
  • 古い保険証のコピーを入れっぱなしにする:2025年12月1日で従来の保険証は法的な有効期限が満了しています。中身の差し替えが必要です。
  • トイレを後回しにする:備蓄率27.2%(内閣府 2025)という全国的な弱点が、そのまま自宅の弱点になっていないか確認してください。
  • 市販セットを買って安心する:本人専用品(薬・眼鏡・入れ歯・補聴器電池)を足して初めて機能します。

点検は年2回(例:3月と9月)を目安に、賞味期限・電池・薬・書類の4点を確認します。体調や介護度が変われば、持ち物も変わります。

まとめ

NGの共通点は「準備しっぱなし・本人任せ・遅い判断」です。逆に、家族で共有し、定期点検し、警戒レベル3で動くだけで、下げられるリスクは相当あります。

防災クイズで高齢者と一緒に確認する5問

知識の定着には、リストを読むよりクイズ形式で答えてもらうほうが有効です。地域の集まりや帰省時に、そのまま使える5問を用意しました。答え合わせをしながら、自宅の備えを点検してください。

Q1. 高齢者が背負う非常持ち出し袋の重さの目安は? A. 約6kg。成人男性15kg・成人女性10kgに対し、こども・高齢者は6kgが目安とされています(京都光華大学 防災ラボ)。体重の10〜15%を上限とする考え方です。

Q2. 携帯トイレは1人1日何回分を見込む? A. 5回。内閣府のトイレガイドライン(令和6年12月改定)が必要数の算定に用いる回数です。7日分なら35回分になります。

Q3. 警戒レベル3の名称は? A. 「高齢者等避難」。避難に時間のかかる方が、ここで先に避難を始める段階です。

Q4. 2026年現在、防災リュックに入れる健康保険関係の書類は? A. マイナンバーカード(保険証利用登録済)または資格確認書。従来の健康保険証は2025年12月1日で法的な有効期限が満了しました。

Q5. 薬が手元にないとき、最初に連絡する先は? A. かかりつけの病院・薬局。次に避難所の救護所、避難所の管理スタッフの順です。お薬手帳等で服用薬が確認できれば、処方箋なしで調剤される取扱いがあります(東京都保健医療局 2024)。

ポイント

全問正解より、間違えた項目がそのまま「今週やること」になります。1問ずつ潰していけば十分です。

公的情報の見解と、この記事の位置づけ

公的機関は一貫して「早めの避難」と「一人ひとりに合わせた備え」を呼びかけています。持ち物リストは、この考え方の上に置いて初めて機能します。

過去の災害では、高齢者に被害が集中してきました。内閣府「平成25年版高齢社会白書」によると、東日本大震災の死者のうち年齢が判明している15,681人中、60歳以上が10,360人で66.1%を占めました。これは避難行動そのものの難しさを示す数字です。

制度面も動いています。2025年5月28日に改正災害対策基本法・改正災害救助法が成立し、災害救助の種類に「福祉サービスの提供」が追加され、在宅避難者を含む要配慮者支援と避難所の良好な生活環境の確保が法的に位置づけられました。また、防災庁設置法が2026年7月に公布され、防災庁は2026年11月1日に発足予定で、内閣府防災部門は約220人から352人へ約1.6倍に拡充される見通しです。制度は変わり続けるため、リストも年1回は見直す前提で運用してください。

一次情報は次で確認できます。

  • 石川県 危機管理部危機対策課「令和6年能登半島地震における災害関連死の概況」(2025年12月25日資料提供)
  • 内閣府・消防庁「避難行動要支援者名簿及び個別避難計画の作成等に係る取組状況の調査結果」(2025年6月20日公表)
  • 内閣府「防災に関する世論調査」(令和7年8月調査)
  • 内閣府(防災担当)「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」(令和6年12月改定)/「福祉避難所の確保・運営ガイドライン」(令和3年5月改定)
  • 農林水産省「要配慮者のための災害時に備えた食品ストックガイド」
  • お住まいの自治体のハザードマップと防災ページ
注意

本記事は一般的な情報の整理です。健康状態・服薬・医療機器・介護に関わる判断は、必ず主治医・薬剤師・ケアマネジャー・自治体窓口にご相談ください。地域の災害リスクや支援制度には差があります。

よくある質問

Q. 防災グッズは高齢者向けの市販セットを買えば十分ですか? A. 市販セットは基本部分をそろえるには有効ですが、常備薬・お薬手帳・眼鏡・入れ歯・補聴器電池といった本人専用品は入っていません。まず本人専用品を足し、そのうえで総重量が6kgを超えないよう調整してください。

Q. 何日分の備蓄が必要ですか? A. 一般には最低3日分、可能なら7日分が目安とされています。ただし農林水産省のストックガイドは、要配慮者は災害時に適した食品が手に入りにくいため一般より長め(2週間程度)の備えを推奨しています。薬や医療機器が欠かせない方ほど余裕を持たせてください。

Q. 携帯トイレはどのくらい必要ですか? A. 内閣府のガイドラインが算定に用いる1人1日5回で計算すると、7日分で35回分です。リュックには5回分だけ入れ、残りは在宅備蓄側に分けるのが現実的です。全国の備蓄率は27.2%(内閣府 2025)にとどまるため、優先的に取り組む価値があります。

Q. 個別避難計画は誰が作ってくれますか? A. 本来は市町村が作成しますが、作成率20%以下の団体が52.8%を占めます(内閣府・消防庁 2025)。家族が自作した1枚を持って自治体窓口に相談するのが現実的です。指定福祉避難所への直接避難は事前調整が前提のため、早めの相談が有効です。

Q. 在宅酸素を使っています。停電時はどうすればよいですか? A. まず機器の内蔵バッテリーで何時間動くかを実測し、メモを持ち物に入れてください。そのうえで外部電源の確保、自治体の非常用電源購入助成の有無、機器提供事業者の緊急連絡先を事前に確認します。具体的な対応手順は必ず主治医と機器提供事業者に確認してください。

Q. 親が「うちは大丈夫」と準備してくれません。 A. 「防災」ではなく「停電・断水で困らないため」と言い換え、帰省時に一緒に置き場所を決めて実際に背負ってもらう方法が有効です。本人が決めた置き場所は忘れにくく、実際に歩いてみると重さの問題もその場で解決できます。

---

高齢者の防災は、そろえる作業ではなく決める作業です。6kgという上限を決め、S→A→Bの順に入れ、超えた分は在宅備蓄へ回す。保険証まわりを2026年の正解に入れ替え、避難先を家族で1つ決めておく。この4つが済めば、備えの骨格は完成します。

まずは今日、リュックを開けて古い保険証のコピーが入っていないか確認するところから始めてください。健康・服薬・医療機器・介護に関する判断は、必ず専門家にご相談ください。

本記事の最終確認日:2026年8月6日

関連記事